こんやはなにもないのかな
と、きみはひとりごとをいった

ぜんぶあるよ
いましかないものが

こんやがこたえた

すうせんねんまえ
おなじしつもんをした
かいわのつづき ....
もう少し
視野を広く持ちたくて
川の土手で写生していた
目の前を一頭の牛が通り過ぎて行く
あれを描けばよかったのに
川の土手で都会の高層ビルを描いていた
そこで暮らす自分の姿を ....
はたちのころすっていた
くうきをおもいだした

そらやきのにおいがした
きみのにおいも

おいかけるために
ひつようだったのだ
すんだくうきを

おいこして
まってい ....
飛行機で見た
ダイハード2なら覚えてる
予定時刻になっても着陸しなくて
滑走路に火が灯っていたことも覚えてる
無事着陸して抱きあった
あのひとが思い出せない
映画館だった気もす ....
 
 
詩を書くこと、つまり芸術というのは、一枚の写真を撮ることに似ている。

一見、平和そうに見える世界も、逆にそうでなく見える世界も、
ここからこんなふうに写真を撮れば、こんなふうにも見 ....
ふと目覚めた枕もとに
思い出がきていた

いつなのか
だれのものなのか
わからないのだけれど
波の音が聞こえる

思い出の持ち主がいないので
尋ねることもできず
わたし ....
つまがねむり
むすこははなうたをうたい
やがてそのはなうたも
いつしかやみ
ねむりがおとずれている

はやくねむりなさいとしかりながら
ねむってしまったつまのこえも
は ....
もう
わかれてくれないか
きずがつくまえに

わかれてくれないか
そうすれば
きずはつかない
そのきずだらけの
こころに

もう
わかれてくれないか
そんなしあわせ ....
なんというげんかくな
しよくたくだったのだろう

ははなどは
あんなにきのつよい
おんなだったのに

よくうらぐちからでていって
ないてかえってきたっけ

そのことをは ....
二月が去っていく
たくさんの雪をのこして
さよならも言わずに
故郷で雪がとける頃
今月もまた
生かしてくれてありがとうと
ひとり暮らす母が言う
下げた頭をあげる頃
そこに三 ....
花言葉が咲いている
まだ形も色も匂いもないのに
言葉が先に咲いている
なんという幸運
すれ違う人々の声も
花言葉のように咲いている
みんなそれぞれ
誰かの花なのかもしれない
 ....
むすこをからかってたら
つきとばされた

もくせいのあたりでふんばって
ちきゅうにもどった

まだうちゅうりょこうに
たびだつわけにはいかなかった

それでもちじくはかた ....
言葉にしなくてよいことを
言葉にできるものだから
煙のないところにも
火がたちます

おだやかな夏の午後
もしわたしがいなかったなら
空も落ちてこなかったのに

夕立
 ....
はこにはいって
きみはやってきた
とおいそらから

はこをあけるまで
そのすがたは
きみにもわからない

さしだしにんは
くうらんだった
そこにわたしとつまの
なまえ ....
どのキーを押しても
同じ結果になるのだから
僕は選択しなかった

放課後の
誰もいない神社
君が迎えにくるまで

空はまだ青く
君の歌声のキーは
雲よりもっと高く
気 ....
誰もいない国の
サッカー場の真ん中に
ボールがひとつ置かれている

誰もいないスタジアムから
歓声は上がることもなく
ボールは蹴られ
試合がはじまる
もちろんピッチには誰も ....
わたしたち
もうこんなところまで
きてしまった

はるのおがわをおよぐ
こぶなのむれをみて
ひとりつぶやいている

かつてこぶなだったという
かくしょうはないけれど
み ....
うたうりゆうもしらずに
ぼくらはうまれた

うたうことが
うまれたりゆうであるかのように
マイクをわたされたけれど
うたうべきうたがみつからない

テレビのむこうには
か ....
歯が折れた

親から
もらった歯だ

わたしは
気づかれないように
ちり紙にくるんで
ごみ箱に捨てた

まだ丈夫な歯だった
なぜ折れてしまったのだろう
歯だけなら
 ....
男の子が欲しがる
それには
モザイクがかかってます

でも女の子には
ちゃんと見えてます
それを食べる
男の子の様子も

ほろ苦くて
とても甘い
それが心臓だったとは ....
継ぎ目ひとつない皮膚が
どこまでも続いている

いくつか裂け目があるのは
わたしの内部への入口だった

君の裂け目が
わたしの裂け目を塞ぐ

そこを継ぎ目にして
皮膚は ....
地図が
好きなのだ

まだ訪れたことのない
地名が記された
世界の縮図が

明日もまた
その一部分を
行き来するとしても

好きなのだ
どこまでも
行けそうな気が ....
義理の弟に
息子が弟みたいに
かわいいのだと言った

ほんとうは
君が弟みたいに
かわいいと
言えばよかったのに

私になろうとする
君を遠くから
見ていた

息 ....
たしか死んだはずの父が
逆上がりをしている
たしかに死んだはずなのに
まるで昨日のことのように見える
うまくできないのだろう
年老いたからだでは
それでも負けず嫌いの父に
も ....
そろそろ五時半だ
明日から三連休
書類を発注していた業者が
ぎりぎりに駆け込んでくる
私はダメ出しをした
月曜の会議にこれでは出せない
肩を落として業者は帰った

その後ろ ....
遠花火 君が誰かも 知らないで 手を握っていた 君とは知らずに ピリオドを
よぞらにうっていく

ひとつ、またひとつ
つぶやきながら

せかいがこどくで
みたされていく

ごらん
あれがあまのがわだ
回送列車には
誰も乗っていなかった

けれども目を閉じると
そこには
乗客がいるような気がした

家に帰ると
誰もいなかった
けれども目を閉じると
まだそこにいるような ....
がんきょうの
はながさいた
めにねづいて
とうめいなはながさいた
つるがみみにまきついて
やがてくちていった
みがなった
わたしはなみだを
ひとつぶこぼしていた
がんきょ ....
わたしはしらない
あのひとの
いまを

タイムカードに
しるされる
ときのおとも
小川 葉(1581)
タイトル カテゴリ Point 日付
ひとりごと自由詩311/3/10 1:46
視野自由詩311/3/9 2:15
空樹自由詩5*11/3/9 0:33
忘却自由詩111/3/7 21:11
【批評祭参加作品】この世界を特別だと思ってる人たちへ(相田さ ...[group]散文(批評 ...411/3/6 23:03
宇宙は膨張している/わたしのなかの自由詩411/3/5 21:32
眠り自由詩311/3/4 0:57
自由詩311/3/3 23:09
厳格な食卓自由詩011/3/3 1:09
三月自由詩011/3/1 23:21
なんという幸運自由詩4*11/3/1 22:41
宇宙の地軸自由詩611/3/1 0:14
空の青さが眩しくて支えきれずに自由詩5*11/2/26 20:00
はこ自由詩811/2/24 23:40
エニー・エンター・キー自由詩011/2/21 22:43
風の試合自由詩411/2/20 0:19
小鮒自由詩311/2/19 1:16
紅白の雑音で聞きとれない会派離脱のイデオロギー 自由詩2*11/2/18 1:05
自由詩311/2/16 1:53
「ぎぶみーちょこれいと」自由詩4*11/2/15 10:21
継ぎ目自由詩311/2/14 20:51
地図自由詩111/2/14 1:40
自由詩011/2/14 1:18
さかあがり自由詩6*11/2/11 1:04
三連休自由詩2+11/2/9 23:47
遠花火短歌111/2/8 20:55
よるのひとりごと自由詩3*11/2/7 20:36
回送列車自由詩511/2/6 21:57
目が根と眼鏡自由詩0*11/2/4 3:45
タイムカード自由詩111/2/3 3:16

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 
0.12sec.