はてしない夢をこえて
この胸にまだ残っている
昨夜の
君のささやきが
今朝、僕の
ちいさな力に変わる
心も
川の流れも
....
{引用= ある日
ひとつの
比喩が語られ
取り戻せない距離を
旅立ち
細長く
何処までも
鏡として連なり
映し
流れ
響き
....
ならなかった
なれなかった
こんなふうには
きみは
なかなかった
なけなかった
こんなふうには
ぼくが
もっと
....
嬉しいときは
笑うことしかできない
わたしは凡才なので
トイレットペーパーがきれたとき
からからという音がしても
それ以上なにも感じない
悲 ....
かってに
時間をとめて
うごかないものたちの
うごかない肌のうえをなぞる
あなたの詩ってそういう感じよね
と
彼女は言い、
かぶってい ....
今年の夏は暑い
一つだけ
君に言っておきたい
この世で最も静かなものは
薬缶だと思う
動物園で
きみは言った
しあわせならそれでいいと
ライオンはライオンの檻
シマウマはシマウマの柵
帽子をかぶった飼育員が
かれらに餌をやる
....
僕たちは、
同情で。
僕たちは、
どこまでも
青く、
青く、
終わっているだけな。
ダンボール詰めの、
ぎゅうぎゅうの果実みたい ....
{引用= 煙は夜通し立ち昇っていたが、朝が来ると流れ
去っていった。山火事。草木は焦げ、稲穂の色。
焼死体を、鴉の声が埋葬してゆく。一つ一つ、一
つ一つ。雪を雪が追う。視 ....
食べることは生きること
書くことも生きること
そりゃあ、
なんだってそうだけど。
語りあうことに望んだり
抱きあうことにも望んだり
どっか、 ....
いいよ
枯れるくらい
たくさん話したし
いいよ
もう、涙が
こぼれなくなるくらい
たくさん笑ったし
疲れたし
決めら ....
わたしの部屋の
わたしのベッドで
わたしが眠っている
だから
何の問題もない
ひとつの矛盾もない
鍵を開けて
知らないひとが入ってくる ....
西向きの窓から
斜光が射す
食器が並べられ
煙草に火が点けられ
いくつかの詩が書かれ
最後に僕が
玄関から入ってくる
....
言いたかったのですか
ほんとうに
どうしても
そんなにきつく
血がでるくらいきつく
くちびるを噛みしめてまで
ほんとうに言いたかったのですか ....
奪いたかったのは
肉体ではなかった
きみの内側にひそむ
薄暗く丸いものでもなかった
それは概念だった
女だった
ぼくが
命をかけて奪い ....
君にむけて
風のなかで
話したいことは
いつのまにか
感じすぎて
日々のなかで
忘れたいことも
いつのまにか
今、
....
愛ゆえに
別れませんか
あなたは西
わたしは東へ踏み出し
ぐるりと旅に出ませんか
愛ゆえに
別れませんか
あなたはチベットで詩を書き
....
みんな寝てしまった
ここは薄暗い
煙草の匂いが残っている
三つの茶碗が
シンクで黙っている
ここは薄暗い
ぼくは誰だろう
....
{引用= (くらげ)
湖を深みから引き裂く、かなしむことの発光。
(ねむり)
音へと落下する胡桃へ
と落下する井戸へと落
下する空へと落下する
....
夏のむこう、
あの入道雲のあたりに
ひとつくらい、
ふたつくらい、
みっつくらい、
言いそびれてしまったことが
あの入道雲のあたりに
....
ゆうぐれのいろを
おしえてあげたいけれど
かすかなひびきでさえ
てのひらにつつんで
あなたにあげたいけれど
ふれることから
....
君に
言いたいことがあったけれど
誰かが言ってしまったから
もう何もない
日が翳る
電車が騒ぐ
来なければよかった
{引用= 夏祭りは静かなの。太鼓と囃子と人の声とで、耳
には暑い夜がぎゅうぎゅうと詰まっている。唇の動
きが形づくる。視線だけが傷をつける。夏祭りは映
像的ね。あなたの心 ....
きょう、一日
ジャンプを読んでいただけだった
雨が降っていたし
だれかに会いたくなかったし
馬鹿みたいだ
本棚の辞書をひけば
こんなにも近い ....
まず一人が吟味し
一人が定義し
それから一人が名を付け
最後に一人が宣言した
そのようにして
すべてが台無しになってしまった場所で
扇風機が回っていた
....
一輪のすみれを
花のところだけ切り落とす
いとしい{ルビ女=ひと}よ
きみの優しさが
どこまでも悔しかったからです
{引用= ――はるな「桃のこと」に寄せて}
桃を剥く
なるたけ薄く
しゅるしゅると
あなたを剥く
透明な肉
最初に
いだかれた痛み
それ ....
さわってもいいけれど
そこにはないよ
僕の手にも
やせた胸にも
ズボンの下にも
さわってもいいけれど
つたえられない
書いたっていいけ ....
それはあなたですか
{引用= いいえ、それは麦藁帽です
それはかぶることができます
それは夏の人々に好まれています
いいえ、それはすみれです
....
かあさんのあいしてるは
おつきさまみたい
やさしくつつんでくれるから
こんやもぐっすり
とうさんのあいしてるは
とうさんのせなかみたい
しんぶん ....
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