見なれたいつもの道に 雨が降る
隣にいたはずの女の子は 排水溝へ流れていったようで
僕は一人で傘をさかさに持って 歩いている
溜まっていく水と すり減っていく僕と すくい上げることのできない女の ....
 「ねえ、嘘をつくってどういう心境なのかしら」
その問いは真夜中の公園にとてもふさわしいものであるように響いた。それはここが春の盛りをすぎて眠りこんでいるような公園だからでもあり、僕と彼女のあいだに ....
声が聞こえる
遠くに引いていった海のほうから
名前を忘れた街の小路を抜けて
僕に届いている声がある

僕の夢を ささやかな願いで紡いでくれた彼女の
最後の言葉を 声が濁ったものへと変えてい ....
白んだ月が、ビルの谷間にぼんやりと浮かんでいて、僕の想いも白けてしまったなと行くあてのない感慨を持て余してしまう。一度も君を抱きしめられなかった思い出を、缶コーヒーとセブンスターで追悼して、また歩き出 .... 出会ったときの貴女の笑顔は、白く透き通って、僕の硬い指先が触れたら、壊れてしまいそうでした。空からは粉雪が落ちてきていて、君に似合いだと思ったのを覚えています。
「ねえ、私が壊れても、愛してくれる? ....
 
 冬の香りが酔ってしまいそうなくらいに残っているこの校舎は、老犬みたいにうずくまって、生徒の熱気とのギャップに戸惑っているようにも見える。所々にようやく茶色い元の色が見えてきていて、白い毛みたい ....
君が指先に残した温度が
痛みのない傷となって
つま先までかけ巡るあいだに
僕はカップにへばりついたコーヒーの粉みたいな
君の思いを辿る夢を見た

逢いたいと呟いたところで
有限の時間の中 ....
苔むした停車場に蝶がそっと下りてきて
星のあいだからこぼれた風に揺れました
右肩はあいかわらずからっぽだけれど
線路の向こうにはあなたがいるのだから
許しにいきましょう

うそつきでやさし ....
冬の残り香に酔いが回ってくると
忘れ雪にも花びらにも見えない
白い何かが降り積もってきて
そこら中を 冬とも春ともわからない
明るい何時かに染めていった

それはきっと 葬儀のつもりなのだ ....
海辺のテニスコートまで歩いていくと
忘れられた言葉たちが孤独なラリーをしていて
ボールを打つたびに会話をしていた

僕たちは細かく絶望的に分たれた世界の層の間にいるんだ

ここでは漂着する ....
残像を組み立てていました
それは最果ても永遠も知らぬ 孤独な作業でした
自分の醜悪さと隅っこに残った光 それだけが材料だったのです

それで あなたを 作れると 思っていました

思い出の ....
白んだ月が ビルの谷間へふわりと浮いていて
空と一緒に白んだのだろうかと 埒も無い空想を浮かべて 
一度も君を抱きしめられなかった
思い出を
缶コーヒーで追悼する

夕日を好もしいと思う
 ....
石畳に膝を折る ぼろ切れを纏った少女

肌は白く 心臓が透けてしまいそうなほどで
髪は黒く 何か重大な光を隠しているようで
瞳は大きく ステンドグラスを見ているようで
手足は細く 成熟した草 ....
心の隙間に風が吹きこんで あなたをさらっていく
そうして僕はまた 靴紐の結び目を固めて
ドアを開けて 外に出て行くしかなくなった

重く気だるく降り注ぐ 慟哭の雨に 縫い付けられた
焼身自殺 ....
星座が分からないくらいの 夜空を見上げ
唇にはさんだフィルタが熱をもちはじめるまで
ぶらぶらと 墓の上を歩いている

葉桜の季節によせて 君を唄うということ 
それだけで今の僕には 充分すぎ ....
誰も相手をしない 泣き喚いているだけの犬の問題
読み進められない 三行で終わる小説の問題
不眠と惰眠を繰り返す 精神病者の問題

頼むから静かにしろよ

過密化と重層化と洗練化を 一遍に成 ....
今もまだ だめなんだ ただ会いたいって思ってしまうんだ
ひとり呟いては 同じ迷路へと入って 同じように迷い込む
辿って行ったのは あなたの笑顔によく似た シロツメグサ

一人になったあの夜から ....
最期の日 同じ場所にて 待ち合わせ 違っていたのは 二人の気持ち

離れ行く 幾つもの星 瞬いて 時の重みに 戯言が出る

重い月 離して遣れば 浮かび行く 見るには絶えず 言葉を飲み干す 
 ....
兎だった頃に住んでいた 詩の檻を残らず焼き尽くして
密度の無い灰と残響で鳴く骸を抱えて 地平を見据える
先にぼやけて見えるのは    何だっけか 名詞も忘れてしまったようだ

カフェラテを飲み ....
悪魔さえも棄てた地を目指しては歩く 一つ目の兎
月の代わりに道化師の髑髏を抱え 赤茶けた朽木を踏みつける

こうも詭弁に塗れた世界では 死に追いつかれないだけでも 
目の奥が燃える
サーカス ....
窓を覗くはにかみ屋の風
夕涼みの教室で戯れる 置いてきぼりの陰法師
季節外れのうぐいすの声を聞きながら
紡いだ詩をただ砂場に埋めていく
鳴らない鐘に聞き惚れて 翼を運ぶことさえ止めてしまった
 ....
花一片 星一粒 見つからない街
夢 永遠 人 時 悩 夢 かき混ぜてこぼした  薄明るい街 
朝も夜も壊して組み上げた おもちゃの街
間接は錆びついて 脳は焦げついて
道を失くした太陽に 道標 ....
静寂を破る蝉時雨 湿った空気を揺らす陽炎
熔けた夢にも気付かない
傾いた陽が眩しくて ただ流される

行き着いた波止場 雨の匂いが垂れ込める
誰の視線も一点を捕らえる

重い空にも 人の ....
朱と漆が混じる頃 名もない丘の墓地
今日も訪れる 独りのピエロ
鈴の音を連れて つぼみを灯した 小さな花

街の明かりに 泪を湛えて 見上げた夜に溺れそうで
雲間から染みだした光に 思いを浸 ....
灯兎(24)
タイトル カテゴリ Point 日付
雨の唄を聴け自由詩010/7/7 4:29
薄く、淡く、確かに。散文(批評 ...010/4/23 0:34
声を聞かせて自由詩009/12/7 23:40
夕日坂散文(批評 ...109/9/17 7:16
桜吹雪散文(批評 ...009/9/15 23:15
指輪散文(批評 ...009/8/21 0:33
一人部屋自由詩109/6/8 1:37
春のおわりに自由詩209/5/12 2:13
桜の季節自由詩209/4/14 4:26
えいえんとしてのラリー自由詩408/10/2 18:50
断罪の祭壇自由詩208/5/11 19:27
夕日坂自由詩308/4/29 5:18
石畳の光自由詩208/4/19 22:36
慟哭の雨自由詩208/4/14 22:32
墓標に唄えば自由詩108/4/7 4:03
内緒の御伽自由詩208/2/19 16:15
泣かない子供自由詩208/2/11 18:33
焦がれる道化短歌3*07/10/21 21:19
鋭角な旅路の先端自由詩207/9/24 5:20
ぬるい祈り自由詩307/9/10 4:09
潮騒の丘自由詩407/9/9 2:39
チャチャチャ自由詩105/10/9 13:54
打ち上げ花火自由詩705/10/9 13:54
道化偲自由詩205/10/8 12:30

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