断罪の祭壇
灯兎

残像を組み立てていました
それは最果ても永遠も知らぬ 孤独な作業でした
自分の醜悪さと隅っこに残った光 それだけが材料だったのです

それで あなたを 作れると 思っていました

思い出の中のあなたは とても綺麗で
僕などにその造形の細やかな要素をくみ取ることなど
とてもできませんでした

出来たのは 歪な 奇形といってもいい 怪物
エゴとイデアと 小指の爪ほどのエロス
あったのはそれだけで 
あなたには その鏡像 いや虚像ほどにも似ていませんでした

何が足りなかったのでしょうね
思い返してみても 僕には何も思いつけません
それは多分 僕の欠落とあなたの要素が 
絶望的と言っていいくらいに 合致しているからなのでしょう

仕方のないことだと思っています
でもね たまに思うんです
こんな世界なんて終わればいいって
悪魔的な地獄よりももっと地獄的な地獄が
僕たちの目の前にはあるのですから

そこでは音楽も救済の意味なんて持たなくて
望んでいない不幸まで 背負わされ
望んでいない幸福の尻拭いまで しなければならないのです

もし永遠があるなら それはきっと
極刑に相応しいものだから
こんな怪物を作り上げた僕にこそ 

こうやってぼやいている内に また月が昇ってきました


自由詩 断罪の祭壇 Copyright 灯兎 2008-05-11 19:27:41
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