無数の人間が小説を書き
無数の人間が詩を書いている
誰もが自分を知って欲しくて
誰もが自分自身を叫んでいる
でも、その自分というのは何だろうか
君はテレビ ....
話すことは、離すこと
話すことは、放すこと
距離をとること
分離させること
解放させること
自由にさせること
はなした鬱積は、
そこら辺に垂れ流しにされているか
どこかに引っか ....
ニュース番組によると
女性のバラバラ死体が
見つかったらしい
なんて残酷な
そう言って母は
怒り狂っていた
食卓にならんだ魚が
口を開いてそれを見ていた
この世とあの世を隔てる川
その川の向こうには案内所があって
そこには一台のはかりが置かれている
川を渡ってきた人は誰もが素裸で口もきけないから
一人ずつ網羅に手をひかれてそのはかりにのる ....
それは光となり
影となって
私を責める
我が夏は暑い
それ以上でもそれ以下でもない
光と影はあざやかに
コントラストをなして
それは光となり
影となって
私を責める
病を得てから15年
いきばのない苦しみを抱え
なんとか自殺せずに
生きているよ
夏が廻る
また夏が廻るよ
ただ日差しが眩しく
万緑が目に痛い
生きている灼熱は
私を痛めつける
病を ....
沸騰させた水が
マグカップの中で
常温を目指している
まだ
ひりつく
くちびるに
おそらくとても
優しく
同化していくことだろう
情熱だとか
とがりだとか
叫びだとか
....
最後の恋が何度も終わった
パワーストーンの店に不幸が続いた
人間から動物になる予定のボクと
猫や犬から念願の人間になる彼等とは
所詮話が食い違った
それでもお互いの持ってる情報が欲しかったので
仕方なく休み時間は彼等とともに過ごした
ねぇ…聞き難いん ....
細長く林檎の皮剥いて食べない
あさきゆめのように ひとつ星
だきすくめられ 星めぐり
ゆめのなかには 花めぐる
はなれていても
ちかくにいても なにひとつ かわらず
こころの中に 花は咲く
ゆめ ....
最近私は夜毎
生の人参一本齧っている
皮を剥いて縦に七等分ぐらいに切って
何もつけずに無心に齧り咀嚼する
生ゴミのような味のときも
柿のような淡い甘みのときも
ジガ ....
担架の中で目を覚ます
運ばれる直前の
記憶が定かではない
どこで何をしていたのか
今日がいつなのか
答えられない
なぜかはわからない
倒れるということは
命のともし火が消える
手 ....
どんなに衣服を纏っても
温かい血が流れてなければ
あなたは爬虫類のように
笑うことすら覚束ない
どんなに体を洗っても
心の色は顔に出る
何処からともなく漂う腐臭は
消す術もない
....
魔法の教科書に宇宙船のパラパラ漫画
この雨が四十一度であったなら裸にシャボン蛙はうだる
いたるところにまち針をしるしておけば明日はそこから
淡い虹ふりむけばもう消え失せてことごとく逝く春も逝く
下敷きに静電気下書きに尖 ....
ジョウロを持って
庭先に立っていると
植木鉢の間から
ヒョイと小さな顔を覗かせる
私と目が合った瞬間に固まった
キミと出会うのは
今日で何回目だろうか
植木鉢の森の住人さん
太 ....
あたいは泣かない
全身全霊をもって感情を押し殺す
空が泣くまで、ぜったい泣いてやらない
耳のなかから歯が{ルビ一片=ひとかけ}こぼれてきた
それを拾い洗面所に行き鏡で自分の口のなかを見ると
欠けている歯はひとつもなかった
歯は依然わたしの手のなかにあった
....
鼻をさ、ずーって吸うと、宇宙にいるみたいだよね。
少年はぽわんとした目をして、
さも気持ちよさそうに鼻をすすりつづける。
少年の鼻の穴はブラックホール。
そこから続く無限の世界は、
....
丁寧に裏ごしされた
かぼちゃの色が鮮やかで
牛乳の甘い香りがほんのりやさしい
鍋でことこと温めて
真白いスープ皿に注ぐ
手と手を合わせて
厳かに
ひと匙
口に含んで
こくり飲みこ ....
コーヒーカップを持ち上げただけで走る衝撃
要はこんな時にも陰で働いていたのか?
くしゃみでもしようものなら
まるで電気ショック
要は体中に回線を這わせて
あらゆる身体活動を統率していたの ....
今晩一緒に飲もう
妥協しない責任感と
妥協できない責任問題
抱え込む難問奇問
偏頭痛なんか薬に任して
真面目に一緒に酒を飲もう
俺は人間が一番ややこしくて好きだから
きっと
俺もや ....
小林峠の近くで
狐が轢かれて死んでいた
珍しいことではない
狐も 狸も 猫だって
だけど道路の端の方で
轢かれたばかりらしく
まだ そのままの姿で
顏だけが歪んで血まみれで
瞬間の ....
今度の新商品の香りです
ベルガモット?
でもこれは
紅茶の様な香り
そうかアールグレイ…
もう20年は経っただろうか
今日もアールグレイよ
少し元気 ....
双子の黄身が出るまで割ろうとしている
雨の朝
曇り空
青い朝
それがみるまに
青から黒がぬけてゆく
するとそこはグレーになる
むこうの空には
桃いろと黄いろと透明が沈澱する
そのうえに
ぼくたちの大好きな水色
雨の ....
いやさなくて
いいよと
それはいう
かなしみは
いやされることなど
のぞんでやいないさと
筆先でなでていく
涙の成分は
瞳に必要なものだという
いわさきちひろの描く
こ ....
陰口をわざわざ伝えに来る女の肌が荒れている
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