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私が燃え尽きるとき
あなたが
見ていてくれるといい
生きてることなんか
忘れてしまうような
永遠をあげたい
私が焼き付いて
あなたが見ていて
それが願い
私の骨を抱いて
散々
泣 ....
彼女は残念な人
塩と砂糖を取り違えるとか
それならまだいいが
今日はイオと間違えた
イオとは木星の衛星であり
今この部屋を
星の軌道がゆくりなく通る
涙が邪魔だから
瞳はもう必要ない
見ることは諦めて
耳をすます
そんな日々が転がり始め
ホワイトシチューの中に溶けていく
しばらくこれだけを食べて過ごそう
鍋をぼんやりと見つめながらそう ....
水槽をおよぐ絵本に
住宅街のパンフレット
駐輪場は閉鎖された
ネクタイがまぶしい
夏の最後の午後に
アスファルトは坂道になり
知らない街へと続く
土のことなら、昨日
す ....
サイダー、
君が
つぶやいたらこぼれた
向こうの街が
透けてみえそうな
蒼だ
ここは
いつまでも夏だ
サイダー、
河が
うねりな ....
雲が ぶんぶん飛んで行く
クローゼットに投げる 枕みたいに
川が びゅんびゅん流れていて
魚たちは 光のようなスピードで 海に殺到する
せわしないな
かみさまが 居眠り運転をして
....
集めるものは
二つあればいいと思い
待っていたのだが
一つとしてこなかった
神無月の午後
去ってゆくものと
去っていったものと
去りつ ....
投げたボールの
破片が鈍く錆びて
木々の梢に優しい
アゲハ、あれは
産卵に来た
そしてもう
帰れないだろう
(だから誰かが鳥になる)
(そっと鳥になる)
タイヤの無いバス ....
いつも、いつも思いつくんだあの記憶
遠い日の夕べのかまど
煙の匂い
炎の色
ただの記憶じゃない
デラックスな
ゴージャスな
哀愁の
限り
通り一遍でない
複雑に絡み合った
例えば ....
俎板に
茄子があるのを
きみはじっと見ている
ぼくの
右の掌のうえで
きみの
ながい髪が
穏やかにきらめく
素晴らしい午後
....
村に晩年は無かった。
母の喪服
「科学だ。」
「つまりは科学なんだよ。」
喪服は飛ばない。
飛行機はいない。
「プランク定数」
「量子力学?」
だから飛ばない、そういう科学だった、 ....
ほんの少しよごされた
ガラスでできたコップに
最初の朝陽がまっすぐに注ぐのを
僕はじっと見つめている
....
おさないひと
その頬に
くちびるで 触れたなら
きっと、たちまち酸化して
朽ちてしまう
あなた、おさなさゆえに
ネットオークションで
小さな駅を買った
小さな駅には
小さな電車しか停まらなかった
小さな電車には
家族がいっしょに乗ることができない
いつのまにか一人ずつ
だまって家を出ていった
....
その時の川に
入れなくなってしまうのは
水が絶えず
流れてしまうから
川は変わらないじぶんを保てず
姿を変えては
石を洗っている
けれど
小便がついた手を
洗うために
ただの水 ....
もっと心を開いて
もっと心を砕いて
うんてい一回終わったら
二度目は腹具合
あの青空が確かだから
僕のいる校庭は青色の守護色に
ひばりが空を飛んでいった
ああ、いい天 ....
空の化石を
定規で測る
本棚に
古い指紋
人がいた
人はいた
肩幅の広さに
干されたままの
下着類
飲み物のない
簡単な食事を
フォークで
唇に運ぶ
言葉への失 ....
いろいろな
乳房を
見てきました
電車の轟きと、乳房
陽炎の記憶と、乳房
世界の呻きと、乳房
愛は乳房に、向けられます
それは、愛が、温もりだからです
乳房、泣きついても善いで ....
宇宙が
じっとこちらを見つめる夜
惹かれあいたがっている
わたしよりもきっと
歯磨き粉のほうがさびしい
灰色の 空
圧力釜の 蓋
沸きかえる 想い
人々はみんな 煮崩れていった
おい俺いま泣いているのか
薬物に少しおぼれたことのある俺が
今はまったくやっていないだけじゃないか
当たり前の生き方をしているだけじゃないか
だれも褒めてはくれない
....
最近はほとんどの時間を
記憶を食べて過ごす
口に含み
よく噛んで飲み込む
そして、
次の記憶を口に含む
わたしはあなたを愛しています
日は沈み夜が街をつつみます
空を飛んでいた鳥たちは
どこへ消えていったのでしょうか
わたしはあなたを愛しています
なぜならあなた ....
飛沫が冷たく飛び回る、橙から深い青に変わっていくグラデーションの下で。
静かに流れ続ける。僕と彼女の存在する痕跡が、透明な潮鳴りによって覆われていく。
海へ行こう、と言ったのは ....
おもいで、と呼ぶには
早すぎませんか
わたしの肩に
のしかかる時間を
不思議な重さに替えながら
にわかに雨は
零れはじめて
ゆるやかに、
空のとおさが
染みるのです
....
一回も会いたいとは思わなかった
それは意志のちからではなくて
自然なことだったのだ
理屈ではなかった
植物の蔓がはいのぼってゆくように
継ぎ接ぎだらけの方向性で
....
行ったね
ふたりで
いくつも話したね
井の頭公園
横浜の観覧車
行ったね
ふたりで
名前もしらない
とうめいな扉たちを
な ....
熱帯夜が明けた
翌朝の駅前通り
ハンカチを頬に押し当てながら
駅へ向かう街路樹の下に
無数のセミが落ちていた
電車を気にする私や
数歩先を歩くYシャツの人の
慌ただしい靴音が ....
ぼくたちは
霧の深いなかを出かけていった
みどりときいろの
あたたかいマテリアルの服を着て
うたかただった
電話がかかってきた
すぐれたいたずらだった
天国のくらやみで
3 ....
君の事など忘れたという顔で、今はやや慣れてきた、規則通りの生活をしている。
君と会うのも関わるのも、これっきりにしたいと願いつつ、
身体に似合わない君の声が聞こえて
まだお互い生きてることが嬉し ....
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