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身のまわりの色彩が不思議と淡くなる夜
胸のうちに浮かぶ
いくつかの
花の名
鍵盤をやわらかに歌わせる指たちの幻
夢のうちを
あるいは予感のうちを
あえかにかすめていった 星のよう ....
組織に属しているという実感が、
私の心臓に鋼鉄の壁を作り上げる。
その壁よりさらに強固な壁を持つ
巨大な鉄の箱のなか、
ひとたらしのとまどいもないまま、
私は突き進む。
強大なベルトコンベ ....
ここがどこなのかわからなくなって、
どこに何があるのかわからなくなって、
あなたが誰なのかわからなくなって
僕はいつかうさぎのしっぽを踏みつけてしまう
そのうさぎに食べられるかもしれないけ ....
{引用=
朝
ゼロはわたしたちに久しく、
空の白さが
きみの衣装です。
....
小鳥が死んだ
小さな穴を掘って
小さな葬いをした
掌にのこる
かなしみの小さな翼を
空に放つ
夢の中で
小鳥は翼を失うだろうか
ひとは翼がないから
夢の中で
空を飛ぶ
....
目覚めると泣いている
車窓を過ぎる色の落ちた看板
路地裏のひまわり
僕が僕から立ち去ろうとして
ふと吹き込むふるさとがある
立ち枯れた楓の根元にしゃがみこみ
裾を引くふるさと
囲炉裏 ....
最近空を見たんだけども、いくつもの、ちらちら光るモノを久しぶりに見たよ
それらは俺の見ていない時間でも、ずっと光っているらしい
そんなこと、そんな素敵なことを、信じられるわけねーだろ
....
百年の花が咲く
音だけの虹
昇る夕べ
鳴る穂を抱く
水の穂
指の穂
おまえを
おまえに与えられずに
叫びつづけた 水に映した
明るい貝殻
問 ....
波紋のようなさざなみ雲が続く空
遠く見上げて君を想う
静かな秋の夕暮れ
歩き始めた 踵から
窓辺の白熱灯
ふ ....
あのひ、ほしを
抱いた
かがやきを濁らせて
ほれたフリをする
きっと
かなしみだったけど、必然だった
あのひは、うみを
抱いた
知っていたの
なまあたたかい潮 ....
リューヌ 思い出して私との約束
おまえはどこに行ってしまったの
ある日突然いなくなった私の猫
リューヌ 何度もおまえの名を呼ぶけれど
私に答える声はもうないの
ただおまえに似た夜がそこに ....
秋の笛はススキ野をつらぬいていく
そらがたかい 木は枯れた
あしもとを照らす街路灯
遠くを照らす燈台
世界を包むあなたの一息
遠くの砂漠で聞いている
あなたは雨を呼んでいる
一 ....
色めく
粒が柔肌をついとなぞり
穂先を白く削っていく
時が経てば
損なわれるのだろう、瑞々しさ
それは私ではない
かつての私でもない
まだ若い肉体は
これからも若く生まれつづけ ....
朝から
お経が流れている
それはどこからともなく
流れてくる
となりの家の屋根を越えて
うねりながら
からまりながら
長くねじれた
二重らせんを描いて
川岸の水辺へ
つづいている
....
7月の朝
ピアノのある部屋の
ソファーの上にある
馬鈴薯に
花がついているのを
見た
夜露で濡れていた
そいつを
僕はタオルで
ゆっくりと拭った
馬鈴薯
受刑者のような
放浪者 ....
砂のついたビーチサンダルは所在をなくし
流れ着いたガラス瓶の手紙が
いつまでも私の後を追ってくる
清い螺旋形を描いて落ちていく秋に
いつも尋ねることは
指先の業火を消す方法
白樺の ....
海のように青い
あなたの青い目が閉じませんよう。
眺めることが出来れば
よいのです。
もう
瞳の端にさえ
私が
映ることが無くとも
ねがう
お空のように青い
あなたの青い目 ....
{引用=
いつも考える私は黒い上下の服で
見つめる白い棺の中身に顔がない
}
たわむれに
両手でそっと抱いた母の
細さに泣きたくて
三歩
あゆめ ず
たわむれの
....
我が偏頭痛は
シリウスへと羽ばたいて
ディラックの海が
泡立っている
くるぶしは水晶で
水と夜との境目を
滑ってゆく詩人の姿
ヒルベルト空間の果てに
夢を見る
境界線の向こう
息苦しさで
誰かのため息のための感想文
見知らぬ町の役場に
送りつける
名前も知らない
臨時職員か派遣職員が
まじめに職員に相談す ....
風の強い日には
ため息、宙にばら撒いて
ただ遠くまで届けばいい
その胸潰れるまで
吐き出したムジカ
霧のように消えた
夏草色の景色
もう忘れようかな
黒い服に身を包み
光のように ....
本家の夜更け
障子のむこうの影を
目で追いながら
人の鼾と鼾を調和させ
命のありかを探すように
それらの影と音は
まだ幼い眠りの夢のように
瞬きを絶やさず生きのびていた
これ ....
壁に咲く花を見落としても
私は死なない
夏は確かにあった
冷蔵庫の置きすぎた麦茶からは
想像もできない
どこか
ダムの底に消えた役場のよ ....
めくるめく心象
春の景色を、見せてください
頭の中でずっと鳴り続ける
終わらない音楽を、聴かせてください
古びれた靴底の模様が
柔らかい地面に取り残されて
寂しそうに空を仰いでいる
....
夕焼けの上に乗っかった
深く透きとおった青色の空が悲しく見えたのは
その色の暗示する闇の到来によるものであったか
空が闇に染まっていく瞬間が悲しいように思えたのは
闇が悲しさを喚起するからでは ....
手の届く範囲で
窓を開ける
遠くなった人のことを思いながら
一日を傾ける
窓枠には白い花と
手紙を添えた
白猫が通りすがりに連れて行ってくれる
そんな風景を完成させるため
....
小さな背伸びをしたことがあるか。憧れへ向かって、届かない手をもう
一息伸ばしたことがあるか。
よせてはかえし、かえしてはよせる、くりかえす吐
息が音列になる。前傾姿 ....
・
仕事帰りの街灯の下
夜がひたひたと打ち寄せている
その波打ち際に立ってふと
えッと吐き気を催した
げぼッと咳き込んだ口から足元へ落ちたのは
幼いころのお友達だ
あの頃いつも遊んでいた ....
景色よ、さようなら
君はいつも僕の心だった
景色は、送電線に絡みつく風
海の上にある匂い
君は特別に美しいわけじゃあないし
劇的な魅力があるわけでもない
ただ気安さと、気長な優しさとが
....
ひとり、と ひとりの風景は
同じところを見るのは少ない
キミもひとりだったのか
ボクもひとりだった
太陽のある絵を描こうか 夕日でも朝日でも。
ピーカンの空はまぶしくて見てらんな ....
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