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仕事帰りの街灯の下
夜がひたひたと打ち寄せている
その波打ち際に立ってふと
えッと吐き気を催した
げぼッと咳き込んだ口から足元へ落ちたのは
幼いころのお友達だ
あの頃いつも遊んでいた ....
「口さけ女」

{引用=
耳元まで、口が裂けて広がっている女性噂妖怪。
幅の広いマスクで口を隠しており、道行く男性に、「私、綺麗?」 と尋ねる。
答えた男性には、マスクをはずし、口を見せ付け ....
深夜の路上に
空き缶がひとつ
ぽつりと立てて置いてあった
こおん
とけっとばしてみると
そこいらじゅうから
わああああ
と逃げてゆく子供らの声がして
にわかに恐ろしくなったものの
わ ....

夕暮れの遠くに霞む
四台のクレーン車は
輪を描くように向かい合って
なんだか
太古の昔に滅んだ恐竜の
弔いをしているように見える


朝に洗濯物を干す母親は
太陽に両腕を広げ ....

友人に
擬態する癖のある女がいる

よく家の中で
かくれんぼうをする
二人で
わたしが鬼で

十数えて振り返ると
家の中はしいんとして
空気がうす青い
百年前からこうし ....

ずいぶん昔
わたしたちは恋人同士だった
あんなにも完璧に
理想的な形で
つながっていたのに
満月の夜だっただろうか
わたしが
あの柔らかな部屋から
いとも容易く
追放されてしま ....

どんなに長く電子メールを送信しても
恋人は七文字程度しか
返信してくれないのである
業を煮やしてメールを送信するのを止めると
次の日から
矢文が届くようになった
頬を掠めてすこん
 ....
『癌と云う/漢字が書けるようになりました』/外科医に向かいて父が笑う


『お父さんの/腎臓を見たよ』と呟いて/遠くを見つめる母の背中


『治るよね?』/テレビを見つめて兄が聞く/誰 ....
今日もまた
放課後
シーソーの片側に座って
浮き上がれる瞬間を
待っている後藤くんは
自分を宇宙人だと思っているらしい

グラウンドには長く
影が伸びて

僕の生まれた星にも
 ....
いまは更地になっている
高校の前から自転車で少しいったところの
あの荒廃した土地には
昔ジャスコが建っていた
しみったれた汚い店だったが
中にはフードコートもスーパーも
一応あ ....
がらんとしたうさぎ小屋には
冬の一等星みたく
赤いまなこが
ひかっている

かなあみに近づくと
わずかに薄荷のにおいがした
君だったろうか

呟いた息が白い

夜空には
おおぐ ....
生きるのは/疲れましたと祖母が言う/空に刺さった冬の三日月

死にたいと/言えてしまう程わたしは自由/くたばることの出来ない自由

黄昏る/冬の寂しい路地裏に/孕んだ放火魔が火を産み落とす
 ....
錯綜している視神経の
からまりあった編み目の間に
ちいさい魚が
かかっている

つめたいつめで
そっとつまんで
涙腺の中へ
放してやろう
水草があれば尚いいが
涙腺の底には
 ....

今宵もまた
お父さん
あなたは咳をしていますね

青い毛布をかけましょう
それはあなたの首元で
小さな海となるでしょう


お父さん
わたしは
あなた ....

林檎は何時でも
小気味よい音を立てて
裸になってくれる
こんな女の人がいたらいいなと思う
十月の昼間は少し暑くて
隣家から
おもいっきりテレビの音声が聞こえる
シンクには
小腸み ....
秒針が/ちくともちくとも何かを刻む/焦燥をこぼす君の眼差し

自死を希う/君の髪からフレッシュベリー/毎晩シャンプーしている癖に

此の世には/奇跡もドラマも無いけれど/幻覚や妄想なら ....
うばすてやまについて考えている
祖母をそこへ連れてゆきたい
訳ではない
昼下がり
冷えた湯呑みが二つ
並んでいる

祖母が歩くと
割烹着のポッケットから
何かがこすれ合う音がする
 ....
品詞の群れが
淡青く固まって
規則正しく
埋まっている
あの砂浜の
崩れたお城のあたりに

それらは風化し
擦り切れて
最早
意味など成さないのに
皆が使いたがるのは
如何して ....
電車は学芸大学を過ぎた
橙の薄日が
くすくす眼を射り
わたしは数年前に
逃がしてしまった犬の事を
茫洋と考えていた

毛並みの良い犬だった
ルクスと云う名で呼んでいた
或る日鎖をひき ....
乾きたてのネグリジェーは柔らかく
僅かに生臭いにおいがした
貝のぼたんが付いている
それを
人差し指で
上から順にさわってゆくと
真ん中のぼたんだけ
緑色の丸いぼたんに
付け替えられて ....
りんごは優しく指を濡らし
珈琲は
のどぼとけを笑わせながら
そっとすべりこんでくる

隣のうちのベランダに
タオルケットが干してある
いつから干してあるのだろう
もうずっ ....
大きい声を出すと
ずぼんがゆるくなって困る
とお兄ちゃんは言う
あたりまえだ
大きい声を出しても何にもならないと
承知の上でまだ怒鳴るから
そういう羽目になるのだ

お兄ちゃんは
人 ....
日を追う毎に
わたしの頭は
軽くなってゆくようです
わすれていくのだろうか
こんなにも容易く

赤信号が青に変わり
裏路地は繁華街になり
たった今あったものが
次々と消えてゆき
 ....

雨のような音がしていた
始終ずっと
雨のような音がしていた

よくよく考えてみると
それは雨の音ではなくて
誰かの足音だったのかもしれない
雨の音は段々近づいてき ....
目覚まし時計の電池を抜いて
針を止めてはみたものの
時間が止まるわけでは無くて
時間が戻るわけでも無くて
ぴかぴか光る文字盤を見ている
わたしはきっと
何かを後悔してるのかもし ....


最近
妻が出来た
嫁を娶ったのではない
わたしは女であるから

正確にいえば
嫁の方から勝手に来たんである

或る夜のことだった
四百円を手にちゃらちゃらさせながら
 ....

曖昧に舌を含んで
ただ笑った
あなたの考えている事は解らないと
言われたから
悲しむだけの隙間も無くして
ただ笑った
薬は二週間分出たから良かった


フォークを持つと
人 ....
遠い国から
のろいに満ちた手紙が届いた
開くと燃えてしまったから
何と書いてあったかは知らない

遠い国から
いかりに満ちた電話がきた
電波状態が悪いらしく
途切れ途 ....
石瀬琳々さんの吉田ぐんじょうさんおすすめリスト(28)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
秋の夜- 吉田ぐん ...自由詩3008-10-14
都市伝説- 吉田ぐん ...自由詩2408-7-7
かんけり- 吉田ぐん ...自由詩1407-12-8
祈りに関する情景- 吉田ぐん ...自由詩19+07-1-16
癖のある男女- 吉田ぐん ...自由詩2107-1-2
断片集- 吉田ぐん ...未詩・独白1307-1-2
恋人とのわかれ- 吉田ぐん ...自由詩2706-12-19
家族- 吉田ぐん ...短歌1606-12-14
後藤くんのこと- 吉田ぐん ...自由詩1506-12-12
ジャスコ- 吉田ぐん ...自由詩2106-12-4
うさぎ殺し- 吉田ぐん ...自由詩906-12-2
考えるのは生死について、そればっかり- 吉田ぐん ...短歌2406-12-1
涙と魚の相関関係- 吉田ぐん ...自由詩1606-11-18
きえる—父へ、きれぎれに- 吉田ぐん ...未詩・独白1306-11-17
所感- 吉田ぐん ...自由詩1806-11-1
父やその他の皆の為に- 吉田ぐん ...短歌1606-10-22
うばすてやま- 吉田ぐん ...自由詩1306-10-18
品詞の活用法- 吉田ぐん ...自由詩606-10-16
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洗濯物と海- 吉田ぐん ...自由詩906-10-12
単純な留守番- 吉田ぐん ...自由詩906-10-12
きつねつき- 吉田ぐん ...自由詩706-10-11
わすれていくこと- 吉田ぐん ...自由詩1406-10-8
音と言葉- 吉田ぐん ...自由詩906-10-7
めざましとけい- 吉田ぐん ...自由詩706-10-7
妻の話- 吉田ぐん ...自由詩2706-10-6
びょ、ーき- 吉田ぐん ...自由詩1306-10-4
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