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好きだよ 君の言葉が空っぽの心を満たしていく
でも間に合わない
この乾ききった星は潤うはずの心を何処までも吸収し還元する
サイクルが足りない
駆け足で通り過ぎる日常を横目に ....
静かな水面を犯す
色あせた小船
風に運ばれ
流れ
中ほどで止まり
つっと少女が生え
東雲の空を仰ぎ
湖に
か細い背を預け
ざばん
透明なほのお飛び散り
幾多の波紋 ....
雪の日は
音がしなくなる
そうしていつのまにか
幼い頃に戻ってる
いつもうちに帰りたくて
どこへ行っても泣いてばかりいた
お母さんが大好きで
世界は
まだ白くて
君の親指と僕の親指が身を寄せ合う
床をスレスレに蝶が飛ぶ
窓に張りつけた五本の指が解かれるまでは
外の世界はその手の中に
薄い壁に挟まれた僕らはヒソヒソ話す
水槽の中の金魚が誰か ....
どこまでも続くかのような
朱に覆われた道を歩み進むうち
母の胎内から生まれいずるような
新しく生まれ直せるような
そんな心持ちになりましたが
かあさん
一度 生まれたわたし は
....
{引用=クリスマススター
どうかあの子を助けて
クリスマススター
炎ですべてを燃やして
クリスマススター
クリスマススター
この聖なる夜に 神様!}
雪の降る寒い夜
あの子は裸足で ....
(夕火の)
雨がふっている
多分、あの崖に植わっていた木の枝
くすぶっていた赤や黄は
ゆうやけが
いや葉っぱが
お互いを見ながら
しばらくのまどろみを
一日のしめくくりを
見つめ ....
私はある国際犯罪組織の一員である
バスで移動中、バスから転落し、組織のリハビリセンターで
再起を賭けた治療を受けていた
「えらく簡単に完治しましたね」
若くて美人だがその物言い、しぐさ ....
太いがそれだけの腕である
誰かがしがみついた腕である
ふたつ浸ければ
たいそうお湯のあふれる
腕である
それは光のなかに
夕暮れどきの街灯にある
一〇〇円ライターの炎のなかに
乱反射する水面にある
やさしい気持ちが消えないように
祈り続ける心の奥に
....
暗くない人生なんて嘘だ
もはや
明るい夜ばかりじゃないか
泣かない赤ん坊のように
日常は霞んでいる
急行電車は
一種の共同墓地だ
それは鉛が割れたように扉を開き
音のない夕暮れを連 ....
ぼくが遅れてきたからね
君のことが見つからなくても
しかたのないことなんだ
いつも遅れてしまう
バスにも試験にも
日焼けしたり、泣いたりするのも
少しだけみんなより後で
時計やカレン ....
在る様に見えた向かいのプラットホームに
止まる列車ばかりを待っていた
落ちかけた陽に照らされ
辺りの羽虫も塵も金色に飛び交う中
次第に此処へと近づく車輪の音を聴いていた
けれどそれは ....
裸のはずが
あなたの手のひらで再び
脱がされる
シーツ
ではなくテーブルクロスの上で
たなごころを探られ
そして
入口は見つけられていた
酔いざましの道のりは
選ばれることを好ま ....
蹈鞴川
それが、何処の、監獄の壁から吹きつけてくる風なのか、
匂いなのか、鉞の一閃なのか、夢は深海の泥土に塗り潰されていて、
傷のように甘い、一瞬の移ろいをへて、妹が何度でも私の、
....
そう、あんなところを抜けてゆくんだ。
寝ぼけた猫に道を訊いたってだめだよ、
古いゴミ箱の脇にいるちっぽけな蜘蛛、
テレビの後ろの埃にまみれたカマドウマ、
そんなやつらだって実は道を知らないんだ ....
あなたの音を聞かせて
そこに何もないことを
確かめるように
あなたの空を見せて
それがどこまでも続くことを
教えるように
私に映るあなたが
限りなく、あなたに
....
小さな啄木鳥が
枝のむこうに
隠れて鳴いている
霜に白く
苔に覆われた墓石の上に
戯れる小栗鼠
韜晦する記憶のメレンゲ
青い雫
仄かに紅く冷たく
かじかんだ ....
ぼちぼち夜空も透明になってゆく
そんなことを考えながら歩く
田舎の道は
陽射しの衰えを感じさせない。
秋風に道を失ったのではない
私はただコスモス咲くなかを
君を訪ねるのだ。
コスモスと ....
真っ白い画用紙に
夢を描くな
人物を描くな
風景を描け
風景を描けば
人物は自然と生まれてくる
夢を見るのは貴方じゃない
夢を見るのは 絵の中の人物だ
人物が歩くと
風景は加速す ....
夏の朝
朝顔が咲いている
なぜ咲いているのか?
それを完璧に説明することが
できないように
冬の夜
雪が降っている
その向こうにいつも
待ち焦がれるあなたがいる
なぜいるのか? ....
冬の夕暮れは早い
福岡でも
5時を過ぎれば
西鉄ストアーの前は女たちでざわめく
自転車で
徒歩で
女たちがやって来る
バスからも降りてくる
たまに
おっさんもいるけど
ほと ....
ひかりの葬列のような夕暮れに沈む、
クラチャニツァ修道院のベンチに凭れる、
白いスカーフの女の胸が艶めかしく見えた。
捲り上げられた白い腿は、悲しげにも見えた。
わたしの少し疲れた掌のなか ....
指専用のバス停に
思い思いの格好で指が並んでいる
やがて指専用のバスがくると
指たちは順番に乗り込んでいく
おそらく指にしか
行けないところがあるのだ
慰めが必要だったのは
本当は誰だっ ....
{引用=
僕が都合の良い魚になって
遡上するならあなたへ、と
}
キューブを完成させる方法
かしこく、方程式どおりに回すのか
バラバラにして組み立て直すのか
完成し ....
暗示は歩いてゆく
眠りをめぐる回廊を
重ねられた便箋のあいだを
どこかためらいがちな
静かな足どりで
誰ひとり知り合いのないような
それでいて誰もに挨拶をしているような身ぶりで
暗示 ....
彼方の灯火を目指して
星が時間を登っていく
宿題を忘れた子供のような顔で
君が僕から目を逸らす
様々な哀しみと喜びの選集を
投影しながら窓枠を
低速で横切る薄い雲
ガスレンジ ....
ばうばくとしたあさもやのなか
かいじゃうにただやうとしのかげは
こひわづらひのおおはまぐりのためいき
しんきろうのまちまちは
さまよえるあはうみのごとく
こつぜんとしてすがたをけし
とつじ ....
斜めから日脚が延び
私の膝下にかかる
この光が消してしまうの なんて
もし私が少女であるなら
このまま失っていくんだろうか
ペディキュアが溶けだして膝の赤みが溶けだして
この陽にむかっ ....
雪が降る
その国に
女が積もる
女
という字の形をして
組み合わさって
結晶を構築して
やがて
細い
細い
洞穴となる
思春期のこと
その奥の奥
たどり着いた先に
赤ん坊が ....
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