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太陽見つめたその刹那
わたしのこころはさざめいた
思えばいつしか世界は
夕焼け
反射望遠鏡を捨てよう
届かないものを
手に入れたと
思いこむのはもう
自分の影が見えるだろう
背を向ければ
道はそこにあり
わたしにはまぶしすぎるのだ
....
そこにいたのです
ただそこにいたのです
シーツのしわのように
ただそこにあったのです
まっさらなワイングラスに
うかんでいたのです
真っ黒なおなかの ....
私を
慰めて
未亡人は
うつむき加減に
黒い手袋を見る
墓石には
微かに生命力を残した
花が零れている
息は
震えて
地面の染みは
誰のもの
何が滴り落ちて
濡ら ....
茫漠と空
暗闇 満ちて
ガラス片を散らした 星々
月明かり 銀の細い線
その腕を伸ばし
木々の枝
関節は節くれだち
月から伸びた銀線
冬枯れの枝に接点を求めて
その成長に揺れ ....
肉球の無い猫は
ビヤ樽のような胴回り
胴長く四肢は極端に短い
転がるように動く
十二の動物の輪を横目に見やる
孤高の脱落者
日がなカルヴァドスを舐め舐め
嘘を書けとうそぶく ....
白い楽屋の中
蒼ざめた哲学がひとりきり
鏡の前に坐っている
しばらく目を閉じることと
目を開け 鏡に映る自分の貌を見つめることを
繰り返している
楽屋から舞台への通路には憂鬱な霧が立ち ....
眠り屋さんは
眠りの入った小箱を持って
二匹の猫とやってくる
猫の鈴が ちりんと鳴る
箱の蓋が かたりと動く
眠りの箱
いいにおいのする小さな秘密
わたしが以前 買った箱 ....
黄昏は
銀杏をゆらし
金色、降りそそぐ
風の{ルビ音=ね}、葉の{ルビ音=ね}
寄せては返し
伸びた影にも戯れて
落ち葉の色を並べて遊ぶ
孤独を愛しいと思うとき
胸の内を
やさし ....
ひとつ静けさ 眠れずにいる
泣いてしまうほど やわらかなもの
放りなげた願いを数える
断崖 砂漠
わたり鳥の背
ひとつのなかに 異なる目がある
朝と夕が
水面を碧くす ....
? 冷雨
踏みしめるたびに僕の右足の靴底が
ひゃあひゃあ
鳴っている
今日はやけに
ひゃあひゃあ
鳴っている
*****
? その息吹を ....
キッチンから窓の外が見える
小高い山の放牧場には三機の風力発電機があって
巨大な三つ葉の風車が
/ゆっくりでもなく、はやくでもなく/回っている
この街に近づく冬はい ....
聞かせてよ
その声で
彗星がぶつかってきても
身を寄せあって
兎が月に埋めてくれたのは
僕が渡した雨の素
ゆっくりと溶けて
月を覆っていくんだよ
薬指に ....
赤い葉っぱ 黄色い葉っぱ
これは茶色
秋はいろんな色の葉っぱがあって
とっても楽しいね
枯葉を踏む音だって
サクサク ガサガサ
いろんな音がしておもしろい
歩くのがおそかったかいちゃ ....
木もれ陽を少し切り取って
フローリングの上にそっと並べた
緑色のきらめきが心に滲んで
手のひらに新しい血が通う
表面的な話をしよう
未だ触れてさえ ....
あの晩秋の午後
我々を包んだ光の粒子
その中に既に死はひそみ
きみをとらえていた
生と死のキメラ体
それが
命
*
き ....
机の上に置かれた
飲みかけの水がゆれるグラスに
一粒の太陽がひかる
パスタ屋の2階から見下ろす
銀杏並木の道を
まっすぐに人々は
みえないものに押されるように
それぞれ ....
在るのは裸の身体だけ
愛されることの亡い裸体
持て余し自慰行為に溺れ
その声に驚愕し絶望し落胆する
脱力した身体を毛布に包み
無理矢理眠りに沈み込む
愛欲を押し出せば何か変わるだろうか
....
夜を媒介する。私たちはためされてはかられて、いまこ
こにいる。あるいは朝を、また昼を媒介して、私たちの
心身が伝導体となって、少しずつ接触していく。私たち
が味わう陽気や狂気も、ひとつの通りすぎ ....
すこしの未来から
この腕の中へ
孕みきれずに通り抜ける風
逡巡の末に口をついた言葉は
よるべなく
冷えた石畳へ滲み込んでいく
たった十五センチの命
声が 風にのるのは
....
病気になると みんな
入院すると思ってる
ずっと入院されていたんですよね
お見舞いに伺いたいのですが どちらの病院ですか
病院にいた方が 苦しくないんじゃないか
病院にいた方が 安心なん ....
生後三ヶ月を風呂につける
いきていやがる
いきていやがる
生後四十七年が
血の繋がらない孫のようなもんを
ゆにつける
あくびしやがる
いねむりしやがる
はねやがる
うりの ....
よどみない涙の音がする
あなたはいつも隅にいる
渚の色に似たものよ
深海ににたあなたの涙よ
やわらかな光があって
それを与える指がある
雲は陶器のようだよ
空も風ももう優しいよ
....
空は そっと倒れこみそうだ
深い雲がみえて
時は静かに止まってしまい
庭先に灰は降りて
やわらかな綿毛が吹き寄せて
湿った窪みに時を
ゆっくり積み重ねている
凍るように
音 ....
とうとう 見つけられてしまった
うつ伏せに寝ているわたしの
左足のつけね
紋章のようなかたち
うす茶色
くちづけをしてあなたは
これはなあにと
指でも確かめながら聞く
それは記号
わ ....
冷たい風が吹く夜には
つめたい星空が空を照らしている
烏たちが飛んでいく夕暮れは
茜色の夢へ消えていった
最後の群が散らばったとき
彼方の空へ
一筋の光が消えていった
いなくなってい ....
夜の始まりは
もうそこまで来ている
この夕刻の佇まいに
街よ 街よ
幾千人の人が
整備された
君の歩道を歩む時
街路の樹木も色づき
寂しげに 落ち葉も 舞う
この風に
....
おはよう と言うよりも先に
十二歳になったよ と
報告をする朝
きみはまだ翼の下
生まれてきて良かった? の問いに
素直に微笑む
きみのまだ知らない
悲しみと苦しみ
平坦な道のりを願 ....
からっぽになった私が
書きあらわせられることなど
なにもないのだった
誰もいなくなった私が
これ以上はなすことなど
なにもないのだった
静謐な図書室の
窓辺に寄り添った椅子は
....
夜中にヤカンで湯を沸かそうとした
ただカップラーメンを食べようとしただけだ
ふとヤカンの内側に汚れを見つけた
汚れは小麦粉のようだった
何十回も湯を沸かしても剥がれなかった汚れ
嗚呼そうか、 ....
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