猫が飼い主の帰りを待っている
私の知らない飼い主の
雨が降って
洗濯物が濡れる
だらり、と泣いた
身体が重い
着古した地味な服を着よう
興味の無いテレビ番組を
とりあえず、つけ ....
きれいだよ
声は
寒空を切り裂いて
一万カラットの流星を産みおとした
ありがとう
たましいとからだは別のもの
暴言を
内臓にしまい続けてから
もう
泣きぬれて びしょ ....
それは彼が歌う 葉色の吐息
さびしく踊る よる色の翅
かえるの君をおいかけて
銀盤の上を ゆらゆらゆれる
視界の端の夕焼けのような
意識のはしの金の月のような
きらき ....
(お金なんていらない)
昨日、100円のおにぎりが買えませんでした。
財布の中には104円あっても、
税込み105円のおにぎりが買えませんでした。
コンビニの店員さんは残念そうで、
僕は ....
青く澄んだ空のてっぺん
ぐるりとめぐるひかりの輪
きらきらまわる浅い淵から
湧き集まってくるあわい雪
それはまるであぶれた幸せ
そらにひろがるこぼれた幸せ
ひらりひらりとまいながら
くる ....
ざぶざぶと 洗われる時が
きっと来る
大好きなので
あちこち塗りたくった
青い色
とても大切な闇が
勝手に塗りつぶした
真っ黒
どうしても欲しい光が
少しだけ塗ってくれた ....
小学校4年生のとき
はじめて「せっくす」という言葉を理解した
小学校5年生のとき
クラスの女の子に
「ねぇ せっくすしよっか」て言われて
股の間をさわられた
赤くなって黙った ....
空を見上げながらぼーっとしてると
バカ男って美味しそうだね
ってよく言われる
試しに手の甲を舐めてみる
何だかビミョーにしょっぱい
空の味は
こんなんじゃないと思うけどなあ
....
いつくしみ、それから。
海辺に立って眺めると、世のなかのへりが見える。すべてひとはそこから滑り落ちていく。花や木や鳥や雲、それからコカ・コーラやマルボロは落ちていかない。滑り込むのは、僕らの時間ばか ....
はる風がふくと
ぼくらは旅に出る
あき風がふくと
ぼくらは旅に出る
風がふくたびに
ぼくらは彷徨い
風がふくたびに
ぼくらは傷つき
その代償のような
中途半端な安息を得てきた ....
音もたてずに静かに
やってくる
いつか見た夢の中に
少しだけ
ぼくらはいるんだ
歩くほどに遠ざかる
自分の影を睨みながら
駅のホームの黄色いでこぼこ道をゆく
足の裏から伝わる違和感は
通過列車の突風にあおられて
鞄を持つ手の方へ傾いてゆく身体を
大きく ....
夕日が奏でるのは
次の世界へと わたり響く調べ
もろびとの想いは 影にひかれ
終わりの彩りへと 去ってゆく
しかし まだ
呼ぶ声がある
呼ぶ声がある
愁いと憧れに染まる ....
ぷるぷると あたまをふるっては
いろいろな めんどくさいやら
いろいろな できごとやら
ふるい おとしては
また ひろって
なくしているんだか
ひろっているんだか
あのとき ....
春分の朝のひかりが桃色に染め上げてゆく雲を見ている
結んだ髪に椿を挿して出掛けましょじんこうてきなダムを見ましょう
最短で森の迷路を抜ける道あなたが選ぶ毒の木いちご
ばた ....
ひるがえる
水の分子
玉となって
雨となって
降りそそぐ
鳥でさえも
ひるがえる
水の玉に
水のために
ひるがえり
ゆっくりと落ちてくる
空を見る
地に視線を落とす
ひる ....
その夜の色の煙筒は
寒いからなのか白い
息を吐いていました
夜に
ため息がずっと続いています
何億光年前の光が
ゆっくりと流れて光の速さ
僕の上に留まっています
月は知る由もな ....
この道は誰が奏でる笛なのかさみしいばかりかなしいばかり
雲のない空を見上げて歩きゆく光を知らぬ光の穂の道
はたはたと星をつかんだ曲がりかど野をわたる声ふりかえ ....
飛べるはずもない身体を
立ち入り禁止のフェンスにあずけて
みるみる遠ざかる飛行機を見送る
だんだんと小さくなってゆくのは
きっと僕の方だ
手の届かないものたちが
近くに感じられてい ....
こしていく 冷えた息
向こう側に 滑りゆく
私じゃない 私の行方
持ち出せない 鍵の開く音
隠している荷 炉に 並べ
燃え尽きて 透けてる 私
まだ変われるなら どうか
....
これは
世界でいちばんちいさな水玉です
小さな銀の河の
畔に生まれた美しい水玉です
ルリカワセミが飛び立ったあとに
青い羽のその色だけが残りました
カワセミは もういません ....
ペットボトル
父さん
色エンピツセットの中で一番きれいな赤色エンピツ
母さん
観覧車の置物
兄さん
粘土
妹
テーブルに並べて
バカ男はいつもの席
....
ほしにうつらぬひとがたを
そっとかかえてかがみにひたそ
にじんでこぼれるほしがたを
なみだとまぜてゆめからぬぐを
ほしのかたちはいびつにまるく
ひとのかたちはうすれてくらい
....
私、カンガルーの赤ちゃん
ポケットから顔出して
冒険して 想像して
怖くなって引っ込む
ぬくぬくで安心で
うれしくて一回転
ドッタンバッタンしてから
上向いて
イタズラな顔をひ ....
失恋の 3分後には 何もなく カップラーメン 出来あがる。
十二月は
窓にいて
ためらいながら三月を見る
とらわれのわけを知る名前
葉と葉のはざまにある名前
遠い火の列
風を咲かせて
すぎてゆく列
知らない花 なびくよ ....
たっている りょうあしのうらから
じわじわ と だいちが しんどうしている
そらは がんがん あたまへと ひろさを まし
わたしは ちきゅうから つるり、
おちてしまうんじゃないかと ....
黒い円盤に封じこめられた過去の叫び
くるくるまわる盲目の蜥蜴
蜥蜴の王は
わたしを
見ない
幾千の音符が
それぞれは鎌のかたちをして
わたしの胴と四肢とを裂き
全体 ....
笑っているバカ男と
笑ってないバカ男
右手ではしを持つバカ男と
左手でちゃわんを持つバカ男
プランターにラクダの名前をつけようとするバカ男と
ささみと胸肉のあたりでいつもうっ ....
ああ、またここから、始まる
無意識にながれる所作に
ときどき
生まれる、感覚
蛇口をいきおいよくひねり
じょうろへと水を注ぐ
そんな、とき
朝が、
おとといよりも
昨日よりも ....
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