女の子がタバコを吸うのはキライ
タバコを吸う女の子がキライなんじゃないよ
このちがい わかる?
だって さびしそうだよ
タバコをふかしてるのって
まして 彼氏がいる君なのに
せつな ....
夕暮れ
男は空を見ていた
世の{ルビ何処=どこ}にも{ルビ属=ぞく}さぬように
草原に独り立ちながら
{ルビ只=ただ} {ルビ暁=あかつき}色に染められた雲が
宵闇に流れて姿を消してゆく ....
空が飛んでいる
空が飛んでいるので全ての羽が浮上する
見つめることはいつだって透きとおる
見下ろせば ものの在りかはかなしい
重力の堆積が歴史で出来ているなら
ぼくらの言葉は足跡のように ....
小さな君が
絵をえがく
大きな紙に
まっすぐに向かって
まるで 挑んでいるかのよう
これっぽっちも迷わない
どんどん どんどん かいていく
どんどん どんどん 君の不思議が現 ....
ずるやすみの木で
かみさまを見かけた
なにをしているんですかとたずねたら
ずるやすみをしているのさとこたえた
ぼくも人のことは言えないから
ああそうですかと
おおきな幹にせなかをよりか ....
ひまわりに種が出来た
ぎっしりたくさんの種だ
隙間なくぎっしりの種だ
一粒ぬいてみたら
中には黄色い顔の人がいた
あなたたちは種の数だけいるんですか?
僕は聞いてみた
....
黒い車がつぶになって 道の上から消えてゆく
山田くん、ねぇ、山田くん
君は 幸せだったのかい?
道は雨のように流れ出して
頬にも雨がつたい
山田くん、ねぇ、山田くん
....
音がしそうなタイミングで
水を流すのに
びっくりして引っ込むから
静かになってきたころに
ぶっ。
大人だってたまには
思いっきりお菓子を買いまくりたい
大人のお菓子屋さんには
ちゃんとグリコのキャラメルだってある
大人のグリコのキャラメルには
おまけに
ひとつだけ詩がついてくる
....
大好きだって言ってた 窓際の彼女が
山田くんの手を しっかりと 握っている
今度は、触れただけじゃなくて
しっかりと、包み込むように
斎藤も、小林も、佐藤も
今日は 珍しく、おえつを ....
{ルビ穏=おだや}かな初春の陽射しを{ルビ額=ひたい}にあびて
目を細め のんびりと自転車をこいでいた
狭い歩道の向こうから
杖をついたお{ルビ爺=じい}さんがびっこをひいて
ゆっくり ゆ ....
歩道の残雪を
踏みしめる律動
声でもなく
音でもなく
歌でもなく
白い吐息に飽きて
見上げる
大気の天蓋
一弦の
その楽器
透明におびえ
....
銀の魚
キララ
宙に浮かんだ
不思議なスプーン
美しく
(透明な水を満たしたガラスの箱)
銀の魚
キララ
張り詰めた神経は
とても敏感に
状況を捉え続ける
この広い世 ....
山田、今日来てないなぁって 隣のクラスの近藤は
呟きながら 教室に入ってきた
みんな なんも言わなくって
みんな なんも言えなくって
なんだか すごく苦しくて
気が付いたら 一人 ....
ねこがいた
まあるくなって
ねむってた
それはそれは気持ちよさそうで
僕もまねして
まあるくなって
ねてみたら
思ったよりさむかった
ねこを少し押してみた
僕はここでプカプカしている
いつもと同じ顔で
少し微笑んでみたりして
僕はここでプカプカしている
ある日
君が去った 君が去った
僕はここでプカプカしている
いつもと同じ顔で ....
夜になると
考え事が増えて
朝も考えているけど
いつでも
今から
考えることができる
たくさんの雪の
物憂げなテレビニュースに押されて
僕は
やらなくちゃいけないことを
考える
....
先輩が威勢良く{ルビ梯子=はしご}を駆け上がり
天井近くの狭い{ルビ頂=いただき}に腹を乗せ
{ルビ扇子=せんす}を指に挟んだ両手・両足を広げて
「 {ルビ鷹=たか}・・・! 」
と ....
今朝書き終えたばかりの
手紙を紙飛行機にして
あなたへと向かう
風を探している
雲ひとつない晴天の空は
太陽の傾きが眩しすぎて
方向を示すものが
見あたらない
そこへ向かう風は ....
「暖」
羊羊羊
羊僕羊
羊羊羊
「寒」
羊羊羊
僕 羊羊草
羊羊羊
全自動
全自動
洗濯物の量を測り
水をため
あらって
絞り
水をため
すすいで絞り
また 水をため
また すすいで絞って
ピーピーピー
ご苦労様
すごいぞ
全自動
....
ポストがあんまり赤く誘うから
こっそり仕組んだ悪戯めかして
宛名にきみの名前を書いた
雪があんまりひっきりなしに
きみの傍に寄り添うから
水晶の珠を割って
ちいさな虹で
憂欝の左 ....
君の声がどうやって千切れてゆくのか知らない
どうか耳をよせてください
いいやよせないでください
僕はカミキリ虫みたいに叫んだ
その声は成層圏を真っ二つにした
そんなわけない
ど ....
学校の先生は真剣な顔で いろいろと語った
いつものつまらない雑学なんかじゃない
山田くんのはなし
山田くんは お母さんがいなくって
朝はずっと 新聞配達で 学費を稼いで
なんで、 ....
ほんとはなんか
おもしろい おはなし
おもいついてる
でも
はなしては やらないんだー
そんなかおしてる
ぼくだって
はなしてやらない。
鉄橋の側で三十分間立っていた。
三十分前は十二時だった。三十年前も。
三十年前はなかった鉄骨がピーンと伸びていた。
甲斐性のない俺の影は砂鉄のように交わった。
磁力に音はなかった。音はなかった ....
僕は時々 猫になる
君が僕をどこかで見かけて
もし僕が 猫になってたら
そっとしといて
でも
そばにいて
お願い
お願い
ずっと猫でいるわけじゃないから
だか ....
月の夜でした
池のふち ぼんやりすわっていると
君はひょっこり かおを出した
君は うっとり
僕は びっくり
どこをみてるの?
僕が見える?
僕は小さな声で言ってみたんだ
....
ハゲとアフロが肩組んで歩く
二人はなんにも感じてない
はたから見れば
足して2で割りたい衝動
そんなことできやしないけど
ハゲとアフロが肩組んで歩く
二人はなんにも感じてない
近寄 ....
寝ている猫の鼻先で
小さな風がうまれます
小さな風は
小さなうずまき
うずまき
いくつも
転がって
うずまき どこまでいくのかな
うずまき まっすぐ転がらないから
....
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