いつかゆく
このばしょ
やんわりとした
ひとたちへ
ふりかえりつつ
おくる
おもい
ありがとう、と
ごめんなさい、の
リフレイン
わらっていてください
ぼ ....
焼け蒸したアスファルトの
ざらついた風が人を攫い
ぼくを独りとり残す
カラン カラカラ
下駄が鳴らした残響に
道に落ちた綿菓子の
わりばしに集る蟻々に
砂利で跳ね ....
そこは空かと問うたなら
鳥はきれいに黙して
はばたく
そのたび言葉は
空から遠いわたしの胸を
いやしの為に
傷つける
幻はまだ
あこがれとしての痛み
選 ....
かつて潔く閉じた手紙は風を巡り
伏せられていた暦が息吹きはじめている
朽ちた扉を貫く光は
草の海を素足で歩く確かさで
白紙のページに文字を刻みはじめ
陽炎が去った午後に、わたし ....
秋の空気を感じたら
僕の中に君
お月様に吸いこまれそうになるときのあの感じがして
僕は
今すぐ君のそばにいきたい
不思議な夜の空に
ココロをとかして
君のとなりで ひざをかかえる ....
さよなら、さよなら、
記憶を解き放って
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空
枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている
....
目玉が二つあるのに
両方とも自分のものなんて
悔しいじゃない
違う目でみることが出来たら
失敗しないのにね
僕と君の目、一個取り換えてくんない?
いい取引だと思うんだけどなぁ ....
少しずつ
明かりが点り始めた街を
歩道橋から眺める
気ままな
散歩の途中で
緩やかなカーブを描いて
線路の上を走る電車
朝に出掛けた人達も
またこの街に
戻ってくるんだ
....
梅雨が明けたそうで
なにより
と
街を歩く
と
至る所で
白い携帯電話を手にした人を見た
どれもこれも白一色で
夏空の雲みたいだ
白でなければ
つながらない話があるようで
....
ほんとうの幸いはきっと
奈落の底の暗闇に独り立つ
頬のこけたピエロが
無人でゆれる空中ブランコの上に
茫洋とした瞳で仰いだ
プラネタリウムに瞬く
あの{ルビ金星=ヴィーナス}み ....
纏わりつく感触の群れに足を止め
アスファルトに革靴を叩きつける
ごぼごぼ夜が沸きたつ
燃え尽きる花火の匂いに
車が一台、点滅する信号
止まり、あるいは駆けて
生まれる空行と
なつ ....
雨とよばれる
雨とはちがうそれを
よける隙間も
したう境界線も
本能のなす
川かも知れない
浴びていることを
浴びせてしまうような
無知なる無知の
さらなる先 ....
暖かい
花の色さえ
悲しくて
見上げれば
雲ひとつない
青空で
それでも
晴れない
この心
形無いもの
多すぎて
いつしか
あなたを諦め ....
最後に昼の月を見たのは
いつだったろうかと思った。
思い出す月の姿は
いつだって半端な円で
爪の根元の白さにも似て
僕たちの身体という
不完全なものの一部分に
それは酷く似ていた
....
21
カレンダーを見ると
夏の途中だった
日付は海で満たされていた
子供だろうか
小さな鮫が落ちて
少し跳ねた
恐くないように
拾って元に戻した
22
フライパ ....
綿毛に乗せた
ことばの行方を
わたしは知らない
それは
さほど深刻ではない心当たりで
暖かすぎる夏の日に
ときどきそっと
距離を置く
まっ白な
姿かたちは
どこ ....
( 世界は
( 透けた瓶の内にある
森の小道を裸足で走り
汗をかいたラムネの器の底を手に
真夏の空に傾ける
( 星のころがる、音がする。
{ルビ蝉時雨=せみしぐれ ....
たまに
思い出す
ふと
きみのゆびさきの
深爪のやさしさ
買い物帰りの
坂道や線路沿い
二番目の
小さな交差点
そんな場所に
沸き立つ
やさしさ
ひらがなを
好むきみ ....
放出された 夏の、
取り扱いをあやまった空から
束ねられた雨が落下する
世界はまだ、はっきりとした輪郭を持っていて
ぼくも きみも それを知らない
ウィリー、ウィリー、
なぎ倒さ ....
埃を拭いて
窓を開ける
三日月が夜を飛んでいる
夜についてる窓を開ける
少し欠けた宇宙が
ずっと故郷を目指している
その故郷の窓を開ける
木の下で誰かが
手を振っている
....
そこはかとなく
カオス から はじまる
巣箱の なかで 羽音が する
複数が 単数を 響きあう
羽音が する
とおく 草陰に 一軒の 廃屋...
誰かの ....
夜が、二足歩行で
足早に通り過ぎていく音を
淡い錯覚にくるまりながら、聴いていた
抱きしめあう行為は どこか
呼吸と似ていて、ときどき
わたしたちは声を漏らす
ともすれば ....
遥か遠くの星が
時を越えて輝いている
闇に呑まれないように
やさしいつながりを
目に映るのは消えた光
それでも心をうるおすもの
いつかは燃え尽きて
いつかの朝をもたらすのだろ ....
つかれたとき
まず つぶやいてみます。
もぉ あかんわ。。。
つぎに、もいっぱつ おいうちをかけます。
もぉ ほんま つかれ はてたわ。。。
そして ぐったりします。
ぐったり ....
携帯のボタンの隙間に
塩が挟まっている
やりきれない
心の隙間には
塩のようなものが挟まっている
やりきれなくなる
おもいっきり泣けばいいのだろうけど
そうもいかない
わた ....
ごめんね
としか言えないよ
おとというさぎ
あたたかい
あなたの腕は
やさしい
私は
幸せなんだと思う
だけど
噛み切るような凶暴さが
この恋にはないことを
....
真新しい緑を横切って
くろい雨雲の拡がってゆくのを
部屋から見上げて思うことといえば
これから生まれ落ちようとする水 の
暗さとか、濃度とか。
おそろしくとおい日に
ひとはみな 水か ....
深い海の中に
大きな空間が広がっている
そのまんなかに
魚がいる
僕は息をひそめて
それをみる
魚たちが
いつの日か
何か乗り物に乗って
海から出るとき
その乗り物 ....
いつか僕は死ぬ
目を閉じても何も変わらない
いつの日か僕は死ぬ
眠いとき寒いとき
弱いとき暗いとき
明日は遠く霞んでしまって
あなたの似姿が ....
シオリちゃんは わたしを見つけるといつも
はじめまして、と言う
わたしも はじめまして、と言う
たくさんいっしょに遊んでも
次の日には わたしのことを覚えていない
でもシオリち ....
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