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猫よ
我々には降誕祭も
盆暮れ正月だって
自身の誕生日さえ
周囲とは異なり
意味を持たない
然し
猫 ....
浜の足跡
とうに消え
浜のお城も
とうに無い
あの子も
あの子も
帰っていった
帰るべき胸へ帰っていった
母さんのシチューが
湯気立てる
初冬の台所
覗き込む
その ....
毎日どこかが痛い
季語にうなされる
日の出前
生命以前の静寂
ただ刻々
事実だけが降り積もり
上滑りしていく感情
淀んだ意識のまま
時間をやりくりし
このような自分だ
と凝視する朝
いちゃもんを
自分で自分に
つけ ....
メロディーは まばたきに似て
吐く息は 山をさまよう霧に変わり
心のきらめきは 星よりも激しく燃える
遠く町の灯火が やさしい
やがて静かな会話がはじまり
凍りつく 寒気 ....
海を 静かに 渡ろうとして
やっぱり 怖くて 恥ずかしくて 止めにして
そんなこと 繰り返して
繰り返してはならない 季節になっても 繰り返して、繰り返して
....
その金曜日の午後
いつものように黄色いスクールバスから降りてきた
娘達の笑顔を確認してから
思い切り抱き締める
「ねえ、ねえ、今日学校でこれを描いたんだよ」
私の腕を振り切る勢いで バックパ ....
なくならない
昨日のむなしさも
紅すぎる夕日の色も
いつかみた映画の感動も
ありがとうっていわれてドキドキした鼓動も
失恋ノナミダも
やさしくしてもらったことも
あのときこうしてれば ....
.
古くなった里芋をぐつぐつと煮ていたら
きょうの空のような{ルビ紅=ぐ}{ルビ蓮=れん}の毛細血管が
鍋に浮いてきた。朝から暮れ始めている街の
気層はこもこもした灰のかたまりを日がな支え ....
冬は突き放すような抱擁
軽くドレスの裾を振るだけで
白い吹雪が真昼を閉じ込める
冬は火傷するほど冷たいキス
サイドミラーの氷を指先で落とすと
風の中 君の声が聞こえてきた
子どものころ ....
日曜日の夕方
群青色の冷たい空
閉じ込められたような
地平線の端がじわりと燃える
正解がないのは
どの道を選んでも同じ
世界を美しいと思うのは
積み上げられてきた
歪な歴史 ....
.
その向こうにあるもの見えないもの
瞳をこらすとぼおっとなって
頭のおくがしんと痛くなる
見えても云いあらわすことのできないもの
云おうとするや頭の向こうがぎらっと光るもの
.
....
凍えた体を温めてくれと願ったのは、あたいの罪
躊躇なく温めてくれたのは、あなたの罪
そんな罪を、微妙なあたいたちは愛とよんだ
はざかいの風が
わたしの季節を
灯し忘れて経ってしまった
とりのこされて
きょうも
おとなりの芝は
あおく
まばゆく
中途半端な雨降りばかり
こんな夜にも
手ばかり冷える
....
空をあおいでも
それでも足りない日には
年輪を刻んだ自販機に
たずねればいい
コインの用意はいいかい?
きっと応えてくれるから
躊躇わずに
それ、
買いなよ
いのちが潤うよ
どんな ....
町々を飛びこえてゆく雲の上からは、今日もまばらな民家の屋根の連なりが見渡せる。かすみに透けた淡い屋根瓦の下を、身支度をはじめる人々の息づかいが流れている。その民家の屋根の上、暁の酸化光につややかにの ....
冬の花火が悲しいのは
消えてしまった後に吹く
冷たい北風のせいさ
という言葉を残して
権力の座を
弟に奪われた
金平頭さん(50)
あれは
花火ではなく
人工衛星でもありませ ....
パトレミスの海岸線のうえ
対岸の樹木のかげうっすらと
水辺より空はかすかに白ばみ
薄青のそらをうすい雲がすぎて流る
エレナ・マイヨールは農場にのこされた機械のかげを
すばやく片づけられた部屋 ....
紅葉のこぼれ落ちた
駅前帰路の並木道
車の往来は失われ
したたか飲んで帰る夜更け
等間隔の街灯の
ぼんやりした厳冬の下
黄色い色した清掃車は白煙を上げ
箒を手 ....
銀のジュラルミンケースに
細く口を開けて待ち構えるなにか
じゃあ あたしから
若いころのあの人と撮った写真
大事にとっといたんだけど
ね 白黒の いいでしょ 気に入ってんだ
....
いまこの国の抱える決定的な悲劇は
プロフェッショナルがいずアマチュアばかりだと
ぼくは想わざるを得ない
もちろんアマチュア精神はそれはそれで
大切なことだとも想うけれど
でも金銭を貰う以 ....
今日は雪が降ったな
言葉遊びみたいに
雪が降ったな
言葉に遊ばれる
じかんは雪かきを
はじめるんだろうな
なんかの生物みたいに
生物じゃなくなったら、
冷たくなって、
たちまち埋もれ ....
納涼の涼のとなりにバンパイア
冷蔵庫に忘れ物がいっぱい
詩は傷みです
あなたとわたしの間で
血が流れるように
空白を引き裂いた文字です
詩は苦しみです
あなたとわたしが共に
吐き続けたように
空白に汚れたままに散らかした ....
.
‘のはらの果てはシベリヤの天末’
その遠いけぶった海原から
意識を失った帆影のように
異郷の文字列は削られ吹き寄せてくる
.
地は舞い上がり白い靄と化した
その天空 ....
「吐きたかったら 吐いちゃった方がいいよ。
その方が気分が良くなるからね。
吐くと 体の中の悪いものが一緒に出るんだよ。
だから吐いた方がいいんだよ。
そう、上手に吐けたね!
偉い、偉い ....
優しくできないことを辛く思わないんで欲しいんだ
どうせ人間はいつかは干物だ
乾いた挙句火に焼かれるのだ
誰も僕の替わりをしてくれないことってあたりまえのこと
いつか誰かに会えるってのも素敵 ....
きみが写真のなかで笑う
だけの日日になって
きょうも散歩道には
影法師が一つ
靴音も一人分
でも炊飯器は相変わらず一回に
四合を炊いているよ
楽をしたくって
バックグラウンドノ ....
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