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オリーブの高い枝に取り残した実に
真冬の鳥たちが 激しい羽音をたてて
秋の収穫期の黒い実に 鳥たちは関心がなかった
寒さで 苦味が和らいでいるのか
銀白色のオリーブの葉影に 鳥たちが集 ....
人さし指を 探しています
誰かを指さして
不幸を笑う人さし指ではなくて
指と指の先を
そっと合わせれば
心のバッテリーが静かに充電されていくような
そんな
人さし指を探しています
....
ひどい仕打ちよ
お前じゃない
と言われ続けても
愛想笑いをしていることに
二千円の価値はあったのか
泣いていた
黙って 一言も発することなく
今はただ(三分間でいいから
抱き合って ....
デリカのハイル−フが僕の儚い夢を載せて走っていたあのころ
僕は孤独だった
家族に見捨てられて行き場のない猫のように彷徨っていた
はしごをはずされた愛という幻想を必死で ....
(ふるる 街に
リルケが 今宵も
遠く
灯りに (ふるる
砂の十字架
闇のブーケに
光る ) 壊れたリルケが
(ふるる 白い はら
....
文化祭で焼きソバをパックに詰めていると
わき腹をちょんちょんつつかれて
そんなに親しくない人が親しい人になる
何を考えているんだろう?
私って
ビートルズにすごく詳しくなった人が
....
地下に埋設された暗渠の中には
一条の光も届かない
真っ暗闇の水路を
とうとうと水は流れていく
行くあても知らず
後ろから後ろから 押しだされて
暗渠の中を盲目的に進む水
ここから抜け ....
ねぇ いつまでも拗ねてないで
正直に話し合いましょう
嘘 誤魔化し 意地っ張りはダメだよ
どっちが悪いかじゃないの
ケンカはひとりじゃできないんだから
ふたりとも悪い所があったはず
....
{ルビ汚=けが}れに{ルビ雪=そそ}ぐ
{ルビ咎=とが}に{ルビ雪=そそ}ぐ
{ルビ汚=けが}れは溶けて
{ルビ咎=とが}は溶けて
{ルビ垢=あか}は溶けて
一緒に溶けて
愛を注ぐ ....
貧しい言葉たちを見かけると
原発を思うときのような
途方もない気持ちになってしまう
この違和感は正しい
だからといって
正しいことは絶対ではない
それは世間的な話と ....
たくさんの呼び名を持つ人がいる
あなた
あいつ
あのやろう
あの人
旦那
主人
名前で呼びたくなる時のあなたは
やさしい顔をしている
名前で呼ばれる時の私も
たぶんやさしい顔をして ....
三原色が肩を組む
交わり一つになったスクラムが
停滞した気持ちを動かす
真っ赤な嘘を
交わり一つの色が
忘却してくれる
フラットにしてくれる季節が
私達に接近してくる
春だ
....
子供の頃
ぼくは信じていた
何処か遠いところに
黒い湖があって
そこには首長竜が棲んでいる
(お父さん
黒い湖はどこにあるの?)
ぼくが尋ねても
お父さんは何も答えずに
....
不幸の似合う女優さんって
近頃みかけないよね
それだけおんなが幸せになった訳ではなさそうだけど
ひたすら運命と向き合う生き方って
求められていないのかな
※
冬の日差し ....
何も知らなかった
(そう叫ぶべきだった)
冷えた夜の欠片をかじりながら
一度切り裂いた真昼の夢を拾い集める
オブジェにならない粘土
翼の破れた折り鶴
なにもかもが中途半端
....
思いが成さないのには
何か意味があるんだろうか。
あなたに会えなくて
あなたの夢を見て
泣きながら目覚めた夜にも
何か意味があるんだろうか。
あなたに愛されないままに
生きて行く ....
ぼくはかつて猫を飼っていた
あるいは飼われていたのかもしれないのだが
いつも隅っこの居場所で僕をみている
そんな猫さ
何も言わないけれど何もも求めないけれど問いかけてくるの ....
殺してしまえと
唐突に言う私の
死後の粒子が
太陽に戻る日がやってきた。
すでに月はない。
粒子であるから
小さな点ではあるが、宇宙は
振動する紐
であるらしいので
小さな紐とも言え ....
君にメールしても
いつも返信はないさ
どうせまた
エロ動画検索に夢中だね
君は紛れもなく
そうさ近所中では
変態扱いさ
悪い噂が絶えないよ
地元警察が言うには
君を徹底マークしたい
....
変化をおそれるな
適者生存なんだから
幸せになろうと思うな
思えば今が
不幸せってことになるから
ぼくらの経験なんて
誰かが既にしていることなんだ
哀しい ....
夜に心があったなら
きっと淋しい心でしょう
闇夜になるのが
淋しくて
誰かを想わずにはいられない
星に心があったなら
きっと淋しい心でしょう
たったひとりで
何億光年旅をして
誰 ....
今を頑張るための
エネルギーに変わるキモチとは
何なのだろう
褒められる喜び
理不尽な世への怒り
空っぽの哀しみ
週末の楽しみ
あの人への愛や
失敗への恐れ
過去の ....
見つかることのない場所で
隠れてるんだって信じてる
そしたら僕が生きてる証拠は
いつか消え去って
シュレディンガーの僕は
世界の因果から切り離されて自由になるんだ
遠くの高速道路か ....
ドと
ミと
ファが
雪と一緒に降り出した
見上げた頬に
ドが落ちて
懐かしい匂いがする
ふるさとの無人駅で貰った
ミルク味の飴玉
柔らかくて甘い
右手を差し出すと
ミ ....
よく晴れた夏の日の朝、私は海岸沿いを走る電車のシート
に座っていた。ふいに砂浜のぬるい風が窓から吹き込んでく
ると、私が飲み干したペットボトルの中に、しゅるしゅると
渦を巻きながら吸い込ま ....
私は苺を潰して食べるのを無上の喜びとする女です。完全に潰すのではありません。
いうなれば半殺しです。苺を半殺しにするのです。
半殺し、などと、物騒な言葉を知ったのは、お彼岸の時だと記憶してお ....
ぼくたちのチューブウェイは幻想の未来をつらぬく迷路なのだね
ぼくのすべての細胞が未来を志向しているわけではないのだよ
多くは懐古趣味でとてもノスタルジック
彼女はじぶんのいたみを ....
記憶の外側で時は流れます
記憶の外側で時は回ります
記憶の内側にはない事なので
何が起こるか分かりません
記憶の外側で時は積もります
はらはらと
降る雪のように
記憶の内側で ....
飲み屋の座敷で
一人酒の盃を傾け
いつしかこの頬は赤らみ
脳みそは何処までも歪み
おぼろなる意識の内で
{ルビ転寝=うたたね}にかくんっと首の抜ける時
夢の夜空にたった一つ ....
細胞のひとつひとつが
ふつふつと沸騰しはじめ
身体ぜんたいが熱を帯びる
生きている ....
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