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ここには海がないのです
人をあざける海鳥たちの鳴き声のかわりに
杉森をこごえさす雪の白さが
躊躇いもせずに町をみたしている
知らないもの同士が連れ添うような
紅茶のカップを二つ温めながら ....
設えるより
解きほぐすようにして
わたしたちの地平は瓦解する
いたたまれない
この指先の感触
いまも憶いだせない
まっすぐな壁をつくり
(腕が通るほどの位置に)
すんだ窓 ....
北の国の鉛色の空に
貴方の奏でた虹色の音色が泣いている。
それは今も遥か遠い極東の空まで響いているよ。
そしてその響きは、僕の心に深く染み込んで、僕の魂を優しくさすってくれるんだ。
....
会社の昼休みに手短に食事を済ませ
近所のコンビニで立ち読みをする
フリータイムは必ず外に出る
バスに乗って少し離れた街に出かける
発達した交通機関と安全な空間
携帯をみたり窓の外に思いを ....
出かけようとして出かけられなかった朝に
ひとりの女性の顛末を知る
喩えようのない過去の行状
足跡の是非はともかくとして
不治の病に長らく臥していたとのこと
病棟の小窓に映す時代の移ろ ....
ユートの父親は画家です。
何百枚も絵を描いてきて
売れたのはたったの一枚。
たったの一枚売れた絵の
モデルになった人こそが
ユートの母親なのでした。
モデルになったのが縁で
二人 ....
自己分析って本当に難しい。
自分の事よくわかんないまんま生きてきたし、
つらい経験を語る言葉を持ち合わせてない。
それどころかつらい経験なんてした覚えがない。
つらい経験なんてした覚えがな ....
鈍器で殴打し続けて骨に空く孔のような
錆びた鋸で引き続けて引きちぎれながら切断された腕か脚の断面のような
嘔吐されたあと風に冷え道に汚れて黒く濁る動脈の血液のような
脳味噌は日常の ....
到達出来ない極みがある
それは遥かなる山上の氷のなかに咲く花のように
近づこうとして
近づいてはいけない
わたしは、
ビニール袋を口にあてがう過呼吸症候群患者のように
こと ....
どこまでも広がる色彩こたえなき色彩
闇さえも色彩のなかにある
彼の描く世界は、
本当はどこにあるのか
見る者はその答えを探しに
際限ない色彩の旅に出る
彼が描くすべての色彩の背中に ....
いつもそこにいる
あたしのこころとおんなじだ
あたしのこころはいつも
あたしのそばにいてくれている
東郷公園よこの坂道
そこをすっとくだってしまうのは
いつも惜 ....
虐待は白血球のようにアザやかにみちていた
青白いわたしの細すぎる指にきろくする
愛とか欲とか血管とか
月をみつめすぎて焦げた両目のおくは、宇宙が夢中に現実をみている
――アザやかな、青 ....
農業をする蟻ハキリアリをみていた
福山雅治が
素っ頓狂な声をあげた
列をなして葉っぱを運んでいる
きりとった葉っぱをミドリの帆にして巣穴に運んでいる
蟻の道が ....
すがりつく わずかな鎖に
おちたくないおちたくない
がんばってるでしょって
きいたら うんっていうしかないよね
人の優しさを利用して立ち上がりたくなる
みんなだれでもずるいよね?
....
眠り続ける カタチあるものへ
昨日の喧騒も 明日の安らぎも
今は分からない
心がなくなって 魂を感じて
純化された気体が 目の前にあって
流れゆく生命の川が 薄れた景色となり
消え ....
ふっと
名前を消失してしまっていた
空の真ん中に視線を
漂わせていると
風が舞い上がる一瞬の間に
重力に括り繋がれていると
名前さえ肩に重い日がある
真っさらな空への
ひとひら ....
北東の隅にある茶色いシミは
無鉄砲で幼いエネルギーが
やるせなくせり上げた僕の山脈
山肌に滲んだ汗と涙は
入り組んだ等高線に弄ばれながら
諦めに良く似た水色の帯となり
....
部屋ごねん
ごねん
まるごねんの日は金曜日
ろくねんめの朝
立春のつぎの日
ありがとう
窓辺のみどりたち
ふくらむ鳥たち
空と木々のあわい
月光や ....
長いものに巻かれている
とても柔らかな
マシュマロに腰を掛けて
呼吸に合わせて
長いものが少しうねる
今まで大切な人と
大切なお話をしていたはずなのに
もう残りものの空し ....
そんなにふるえていたら
じょうずにかけないよ
ゆめとかいても
きぼうとかいても
すぐにくずれてしまうじゃないか
おろかさの指標はいくつかあって
スコヴィルとか
そういうので
表現できる
としたばあい
きえたほうがいいにんげんと
はんだんされるのは
どの水域かというと
8000スコビルくらい
....
りっしゅんの朝
写メがおくられてきた
調べの知らせだ
肌さむい風のさきがまあるくなって
水っぽさふくよかにふくんでた
ひかりのなかに
ピンクやオレンジ雑じるのが
....
あるとき どこかの竹藪を歩いていた私は 何かの拍子につまづいた 。
すると 隠れていた猫が一匹飛び出してきて
竹藪のなかの一番大きな青竹の中から一冊の本が開いた 。
灯りが点ってい ....
真実らしさを裏表縫い合わせながら
花のこだまする落下音
見渡す限り白と灰色とクリーム色
名状しがたいこの光景は夢がない
小さく震えながら露を受けて輝く
幻が咲いて木の幹を下る午前に
手 ....
{引用=
真夜中に犬の声がかけてゆく
やっと帰宅した息子と
息子の帰宅を待っていた家内が
ダイニング・テーブルではなしをしている
声が
ボソボソきこえる
テレビの ....
冬なのにあたたかいオレンジのせとか
まあるい君をどう食べよう?
やわらかくすいつく肌に爪をいれるのが
僕にはなんだか無精におもえて
青白い包丁で6つにわける
半月形のせとかたち
皮はや ....
猫の目借りて夜をみる
(今日の僕の瞳は信用ならなくて)
鬼が門前で声掛ける
(もう一人の鬼は角で待っている)
私に豆など投げられるはずもない
猫の手では豆は握れない
(そもそも猫は鬼な ....
夜は流れてゆく時に
昨日の温度を連れてゆくから
君は目を閉じて
手足をいっぱいに伸ばしているといい
送り忘れたメールと
入れ忘れた予定のことは
もう、とりあえず
気 ....
仕事をとられたといっても
それはポジションをとられたって事で
経験をとられたわけじゃない
継続が終わっても持続する力
相手はあなたであってあなたではない
与えられたポジションはいつかは消 ....
なぜかしら
夕方になると
後頭部が重くなって
ひょっとしたらと
腕に巻いて
ちっぽけな
ボタンを押す
数値は設定値まで上がり
やがて少しずつ下がる
おお神よ
どうか上135下85ぐ ....
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