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しあわせな
人が書く詩は
どことなくわかる

役に立たないことを
知ってるから

しあわせな
人が書く詩は
少しだけせつない
たりないものが
少しだけ
残ってしまう ....
 
 
透明な水槽に
きれいな水を満たしていく
やがて現れる一匹の魚を
妻と二人で待っている

数億と言われる精子は
あらかじめ神様が予想した
人の数かもしれない

水槽の向こう ....
 
 
ポプラ並木があった
ポプラ並木は
ポプラ並木でしかない
そのことを
証明しているかのようだった

ポプラ並木があった
根っこのあたりを
無数の蟻が歩いていた

ポプラ並 ....
 
 
ちょい悪オヤジがホテルに泊まった
何かの手違いだった
手違いだったはずなのに
彼はホテルの一室で
快適な時間を過ごしていた

ノックする音がして
ドアを開けた
ボーイだった ....
元旦の朝
目覚めると
枕もとに息子が
座ってました

いつからそこにいたの
と尋ねると
わからない
と笑うので
不思議な気がしました

それから
お雑煮の餅を
小 ....
一晩中
瞬き続けた星たちが
あんまり淋しいものだから
朝になると
雪になって降るんだよ

一日中
降り続けた雪たちが
母さん恋しいものだから
夜になると
星になって瞬くんだよ ....
 
父さんが
なれなかった父さんに
なろうと思う

父さんは
自動車が好きで
僕は
自転車が好き

自転車に乗る
父さんを
僕は見たことがないし
自動車を運転する
僕を父さ ....
 
 
階段を昇降する足音が聞こえる
非常口を開けると足音は止み
階段も非常口もないことに気づいた私は
宇宙空間にただ一人浮かんでいるのだった
かつてそこで生まれて死んだ
惑星の欠片のよ ....
 
 
落書きが欲しくて
お金を渡すと
気軽に売ってくれた
壁のような人が
また何かを遮るため
無表情のまま立っている
それを見ている
人のような壁が
落書きの中にいた
壁のよ ....
 
 
港のにおいがする
海ではなく
人間くさい
暮らしがあるところに
海ちゃんがいる
死んだはずなのに
どうしているのだろう
首をかしげると
首がないことに気づく
わたしの耳に ....
 
 
知らないことは
罪ではない
知らないふりをするだけで
憎悪に気づかずに生きていける
わたしたちの
暮らしもあるけれど

あるいは
あった
とも言える
今あるものは
す ....
 
 
鞄と間違えて
父さんが
枕をかかえて会社に行く
目を閉じたまま
夢を見てるんだろう

父さんは
目を閉じたまま電車に乗り
目を閉じたまま
タイムカードを押す
目を閉じた ....
 
 
今年もまた
団扇の群れが
空を渡ってやってくる

地上では
とぼとぼと
室外機が歩いてる
生ぬるい息を漏らし
家々を訪ねてる
血のつながりや友情
愛よりも大切な
絆の ....
 
 
曖昧な
水平線を見つめてる
曖昧なわたしは
空の青と
海の青の
見分けがつかない
ひとすじの
線となり
その向こうに
糸で縫い閉じられていく
待ち針を抜きながら
今日 ....
 
 
僕らは出会った
地上から空を見上げる
距離でしかなかった
そんな僕らが

とても遠いところから
生まれてきたような
そんな僕らが

買ったばかりのノート
一ページ分にも ....
中原 那由多さんの小川 葉さんおすすめリスト(15)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
忘却- 小川 葉自由詩810-4-17
水槽- 小川 葉自由詩410-3-21
ポプラ並木- 小川 葉自由詩110-2-6
ホテル・リグレット- 小川 葉自由詩3*10-1-15
天使の演習- 小川 葉自由詩510-1-4
初雪- 小川 葉自由詩709-12-15
父さんがなれなかった父さんに- 小川 葉自由詩1409-11-17
宇宙怪談- 小川 葉自由詩209-9-10
かべ- 小川 葉自由詩8*09-9-5
デイドリーム・ビリーバー- 小川 葉自由詩7*09-8-30
草刈り- 小川 葉自由詩609-7-26
父さんの夢- 小川 葉自由詩809-7-17
夏群像- 小川 葉自由詩309-7-16
水平線- 小川 葉自由詩309-7-7
別れの距離- 小川 葉自由詩509-4-5

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