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長い間 探した虹は見つからず
今日の行方を、風に問う

僕の内面にある
方位磁針は
今も揺れ動いている

風よ、教えておくれ
ほんものの人の歩みを
日々が旅路になる術を

群衆の ....
年老いた男は独り、犬をつれて
遠くから
石畳の道をこちらに歩いてくる

犬は、主人を引っ張り
主人も負けじと、犬を引っ張り
ぎくしゃくとした歩調は 近づいて

石畳の道を歩く
ふたり ....
生後数ヶ月で両目を摘出してから 
声と言葉を発しなくなった彼女は 
木の世界の土壌に根を下ろし 
大人になってゆきました 

ある日、遠くから来た旅人は 
人に話せぬ深い悩みを打ち明け 
 ....
緑の庭の階段で 
座る少女に 
覆いかぶさる葉群から 
木漏れ日はふりそそぎ 

何かを両手に包む、少女は 
嬉しそうにこちらをみつめ 

テラスの椅子は
かたかたっ…と風に揺れ 
 ....
暑中お見舞い申し上げます――  

越後湯沢の詩友から届いた風の 
便りには自筆で風鈴の絵が描い
ており、葉書の真中の空白から 
ちり〜ん
と風に靡く紙の下から密やかな
鈴の音が、鼓膜の ....
一輪の花を愛でるのは、いいことだ。 
五月の風に身を揺らし 
花はハミング、するだろう。 

一輪の花に寄りかかりすぎては、いけない。 
細い緑の茎が儚くも 
折れてしまうことの、ないよ ....
黒い布が二本 
電信柱に結ばれて 
風にひらひら泳いでる 

長い夜を越えて 
透き通った柱に掴まった 
僕等の姿のようだ 

あの柱には 
きっと 
僕等のいのちを生かす 
ほ ....
五十歳で転職した新人さんが 
仕事の後に、眉を八の字にして 
僕のところにやって来て 
日々の不安を、打ち明けた。 

物書き志望でベテラン介護士の僕と 
人生をやり直そうとしている彼が  ....
気づいたら、すでに私でした。 
鏡に映っている、ひとでした。 
産声を上げる場所も 
時代も 
両親も 
自分という役を選ぶ間も無く、私でした。 

砂浜を往く、亀に憧れ 
黙ってそこ ....
在りし日の詩人は、独り 
無人の原野に佇む影となり 
夕空に巡る星々を 
澄んだ瞳に、映している 

(この哀しみの地上こそ、我が故郷・・・) 

頭上を掠める鳥達が 
翼を広げ、舞い ....
日頃の不摂生で 
年の瀬に熱を出し 
病院で点滴をした三日目 

今日、初めて気づいた 
点滴を吊るした棒の台車に 
歩きやすいよう 
掴まる取っ手がついてたことに 

昨日、僕は点 ....
「おやすみタイマー」の時間が切れて 
はぁ〜・・・っと暖房は息を吐き出し 
お役御免、の佇まいで 
部屋を静寂が、支配する。 

その割り切り具合に何故か 
好感を持つ、夜のひと時。 
 ....
遥かに遠い昔 
すでに 
バベルの塔は、崩壊していた 

一九九九年 
世界の中心に建っていた 
N・Yのビルの幻は 
黒煙の中に、姿を消した 

二〇〇九年 
未だに人々はバーチ ....
かつて薔薇のように美しかった 
5月生まれのお婆さんは 
先週、深夜にベッドからずり落ちて
車椅子にも乗れずに足掻いていました 

かつてメディアの第一線で 
活躍していたお爺さんは  
 ....
今迄のオイラは 
少々の向かい風が吹けば 
へこたれて 

縮んだままになっちまう 
ひ弱な{ルビ御玉杓子=おたまじゃくし}なのであった 

物語の続く台本を、いつも
何処かに投げ捨て ....
「LePoet」という 
木彫りの文字が 
ゆらり、夜風に揺られている 

その看板を下げた店の 
隣の家の竹垣に、ひっかかり 
雨にぐっしょり濡れた 
毛糸の帽子 

店の洋燈に照 ....
仕事を終えて 
草臥れた足を引きずっていった 
夜の職場の食堂に 
巨きな鮭のお頭達が 
どっさり、皿に盛られていた。 

たじろいだまま 
ぼうっと手を出せない僕に 
焼かれた白い目 ....
頭上には 
世界の全てを覆ってしまう 
曇り空 

足元には 
この世に産声をあげた日の
ひかりの種 

あぁ生きるとは 
{ルビ嘗=かつ}て地上で
夜の{ルビ灯=あかり}の下に揺 ....
{ルビ嘗=かつ}ての僕は頼りなく 
些細なことで今にも崩れ落ちそうな 
不安な、不安な
青白い魂でした・・・ 

今の僕は 
昔の服を脱ぎ棄て 
無明の闇に、瞳を閉じ 
高まる胸に、手 ....
わたしの好む世界は 
少々浮世を、離れています。 

月の世界に住んでた頃の 
懐かしい夢を今も時折見るのです  
月の地上の遠い夜から 
宇宙にぽつんと浮いている 
青い惑星を眺めては ....
「倒れかけた鉄塔」という唄を 
口ずさんで、歩いていた。 

道の傍らに、全身は枯れながら 
太陽の顔を燃やしている 
向日葵達は 
只 
夏空を仰いで 
密かな合唱を、奏でていた。  ....
人はいつか皆 
炎の内に燃える 
黒い影となり 
溶け去る 

異国の川の畔で 
数時間前に 
細い息を吐いていた老婆が 
白い骨になった時 

彼の脳裏に何故か  
旅立ちの日 ....
中原 那由多さんの服部 剛さんおすすめリスト(22)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
靴音- 服部 剛自由詩919-2-3
異国の道- 服部 剛自由詩418-12-13
木のひと_- 服部 剛自由詩1013-7-23
風のひと_- 服部 剛自由詩9*13-7-16
風鈴の絵_- 服部 剛自由詩9*13-7-16
木陰の花_- 服部 剛自由詩310-5-12
透明の柱_- 服部 剛自由詩410-5-11
珈琲たいむ_- 服部 剛自由詩7*10-4-27
灯のひと_- 服部 剛自由詩710-1-24
詩人の涙_- 服部 剛自由詩210-1-16
新年の扉_- 服部 剛自由詩8*09-12-31
新しい季節へ_- 服部 剛自由詩309-12-31
蜃気楼の都市_- 服部 剛自由詩4*09-12-22
愛の賛歌_- 服部 剛自由詩309-11-27
ど根性蛙の詩_- 服部 剛自由詩309-11-27
濡れた帽子- 服部 剛自由詩109-11-25
鮭の頭_- 服部 剛自由詩409-11-2
詩人の樹_- 服部 剛自由詩509-10-24
炎の鳥_ー雪の降る、家持の庭と夜空に響く、コルトレーンー_- 服部 剛自由詩609-10-13
月の住人_- 服部 剛自由詩109-9-15
夏の終わり_- 服部 剛自由詩609-8-18
不死鳥の国_- 服部 剛自由詩409-8-15

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