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弁当箱を開けたら
いつも陽気に やぁ、と言ってくれる卵焼きが
いなくなっていて かわりに
君が嫌いと言っていた
春菊の白あえが 乱雑に押し込まれていた
ぼくは 胸の奥がしゅうん、となったけれ ....
ゆるされない原色のスニーカーをはいて/きみは逃げる。
閉ざされた校門をぎい、と引いて赤錆にふれる。
チャイムを背中に叩きつけられながらそうっとすきまを抜けていく。
クラスメイトの顔はも ....
体の傷は
ばんそうこう貼って
内側に押し込めてると
湿ってなかなか治りにくい
さらけ出してしまえば
乾燥して早く治る
心の傷も
案外お ....
しかけ時計の
音に捕らえられ
あなたは変わらない
からだつきのまま
水槽の底に沈む要領で
とても上手に
さかなになる
ごはんよと
声がすると
浮上して
返事をする
水槽をしまう
....
生きている限り湧き上がってくる
もう駄目だと諦めかけた思いを
励ますかのように
五体のひとつひとつが
出口を求めようとさざめきだすのを知覚し
もうひとつの確かな意思
本能だとか呼ば ....
さっきから失敗してばかりだ
ついてないな、じゃ終われない
カウントし始めている時計に
かける言葉はないだろう
英語ができない
日本語もできない
うまくなんてできない
なにもで ....
おはよう またね
そんな何気ない言葉さへ
言い出せなくて
いつも飲み込んで胸焼けしてる
好きだよ 愛してる
なんて夢のまた夢
あんまり遠すぎて
一瞬よぎるだけで妄想族
....
ぼくは潜水艦になる
押し入れのハッチを閉じて
ながいながい航海にでる
まっ暗の中のひとすじの光は
消えることのない流れ星
ぼくは潜水艦になる
黒いごみ袋に入って
埠頭についたパパとマ ....
汗にまみれた身体
―働いた後によくもまた
「やってられないよ」
誰かが言った
湧いてくる感傷の ツケを払うとでもいうのか
暮らしとともに流れる汗は
皆口々に言っているよ
身体 ....
精神だってそうなんだから
いのちも病にかかる
見えないものだって
病にかかるに決まっている
立川駅南側の商店街が
藍色のなかだった
硬質の光を放っている
....
ある人達は夜上を向く
昨日の月を何人見ただろう
今日の月は何人見るだろう
隣の人のアゴを持ち上げたら
一人増えた
歳月を経ても
自ら輝いてる訳じゃないのに
枯れる事なく視線を集める私 ....
貰い物の口紅で
ガラスに金魚を描きました
光の中で
ゆらゆらと
寂しく泳ぐ
観賞用の
赤い小魚
赤く染まった唇に
あなたがそっと触れるたび
思い出そうと思います
先取りされる前に
先取りされる前に
殺られる前に殺れ
!
ベルトコンベヤーの上
次から次へと流れてく
端から潰してく
!
108号室で起きた
殺人事件の犯人は
自分 ....
思えばあの時
あんたと出会ってなければ
きっとあたし
今でも独り
素敵な出逢い
夢見ていたわ
めぐりめぐって
めぐりあい
めかしたあたしは
今 あんたの腕の中
あれか ....
幸福の置き場所は
海のにおいのするところ
大事な言葉が生まれたところ
風がとおりすぎて
小さな駅におりると
細い道の向こうがわ
手に持った荷物の
不安定な重さが
私であることの証
....
切符を握った手が濡れてきたから
てのひらを上に向けて解放してやった
そうしたら切符は川になって
行き先はすっかり見えなくなっていた
川は
僕だけが感じる速度で流れ
薬指、から滝 ....
秋、
そのつぎの
ひめくり
菱形がつらなって
つかめない
光のドロップ
ひらきっぱなしの
本の表面に
ゆらめいて
今
今が
かたむいてゆく
夏の名残を雨が洗うと
淡い鱗を光らせたさかなが
空を流れ
ひと雨ごとに秋を呟く
九月は
今日も透明を守って
焦燥のようだった熱や
乾いた葉脈を
ゆっくりと
冷ましながら潤ませ ....
ぼくはぼくという世界の中で
毎日を過ごしている
きっと今日すれ違ったきみは
きみという世界の中で生きている
またね
と告げてわかれた花に
再び出会うことはない
久しぶり
と ....
いくつもの僕のうたのなかに
僕がいる
けれどそれはもう
いまの僕じゃない
僕のたましいは
僕のうたを
うらぎりつづける
そう
僕はいきているのだ
....
彼女が僕のために涙を流したとき、
僕は何も言えなかった
彼女のために泣きたいと思ったとき、
僕は涙の流し方を忘れてしまった
そして僕はいま
ただ一人で涙を流す
わたしは
とらえたものを
ひとつ ひとつ
千切って 割いて
溜め息の風に
流します
永遠は
はかないもので
だけれども
信じずにはいられない
だからわたしは
....
泥を
振り払おうとする腕こそが
いつまでも拭えない
泥かもしれない
確かめようの無いその有様を
透明である、とは
誰も語らない
そこでまた
ひとつの泥の
可能性が
散る ....
ルージュを差してスクランブル交差点を闊歩する
マネキン
サングラス越しのレーザー光線が
斜めに風景を切り取る
溶けて秋風に癒される切り口は
ぼくには見えない
エナメルメッキを貼った乳房 ....
カードが散らばる
ばらばら 散らばる
揃っていたと 思っていた
カードが散らばる
ばらばら こぼれ落ちた
手持ちのカードは
揃えていたつもりだったけど
あなたとの会話が
成り立 ....
ていきあつていきあつ
と いっしんに唱える、
上空を
旋回するビニールの屋根
めがけて
いっせいにひかりは弱まった。
自転車にのって上昇したのだ
こどもたちは眼下にひろがって
車輪 ....
今何周目?
同じところをグルグル回っていると自分が今どこにいるのか
解らなくなってくる
いつだってここに来ればたくさんの詩があり
いつだって会社に行けばたくさんの仕事があり
いつだっ ....
心頭をとぎ澄まし
目をつぶる
全てを忘れる
時に身を任せる
いくつもの悩みと
共に歩いてゆく
苦しみを押さえ
足を踏んばる
星に願いを込め
窓辺に一人歌う
さようならさよう ....
s o r a a m e
。
。
。
。
。
。
....
みんなが
暖かい暖房のきいた
乗りなれた車に乗り込んで
颯爽と帰っていく
またね
またあしたね
と笑いながら
速く来てねと言ったのに
お父さんは
私が最後の一人に ....
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