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手にした「水版画」という本を開き
(うた)という詩の行間で
夕暮れのすすき野原に立つ彼
今は亡き女の風の面影に
いつまでも手をふり
すすき等もまた
金色の海の波間に
....
タイルの目地を
綱渡りする
少年は
ポケットに
手を突っ込んで
一人はにかむ
うつむいたまま
蛍光灯と自販機と
ベンチの後ろの広告と
背広にコートのサラリーマンと
....
空気は薄い膜を張る
破れそうなほどに薄く
でもしっかりと光を受け止める
太陽も月も星も
全部
昼は柔らかくなり
夜は澄み切る
指先が痛む
耳の奥も痛む
心は熱 ....
「急に泣きたくなる」
という設問を読んで
泣きそうになる
つきつめると
あふれてしまうので
空みみのふりをして
「いいえ」に丸をつける
+
淡い花のきもちになって
窓の外 ....
I attempted suicide out of despair
その先には何も無いの
だから向かうの
lose faith in life
何もない場所へ誘う宴は儚い幻
....
道端にひっそりと咲いていた
花の名前を知ることはなかった
知らない間に消えてしまった
空っぽの風がそこに吹いていた
期待されて生まれた命と
期待されずに生まれた命
蒔かれた ....
失望のレストア
少しでも見たくない顔を見せて、
最後だけ巧く出来たって
きっとすぐに忘れてしまう
融解する手紙の背景が
何処にも流れない 鬱血を
撥ね揚げる、
残った者みなに愛されていた ....
チャイナドレスからのびた白い足
細くて綺麗で素敵
ジュリアナ扇子 どこで売ってたの?
時代関係なくモテ期
君のこと シンデレラぐらいに思っているよ
嘘じゃないさ 大袈裟だけれどね ....
かくしごとなんて
はじめからなかったはずなのに
生きてると
知られたくないことの
ひとつやふたつあるものでした
できることなら
椅子に生まれて
何も思わずにただ生きて
人を支 ....
堤防にうち寄せる波を下に
遠く霞む島を思う
冬の冷たい風を受けて
ジャンパーにつっこんだ手
シャツの襟まですくんだ首元
僕は
花火のカスを踏みしめながら
車へと戻っていった
....
きんいろを通り
きんいろになる
ずっと ずっと
鳴っている
遠くのような
近くから来る
生は治る
生は響く
雨が雨をすぎるとき
滴に残る
影 ....
真理と価値の二律背反は
死ぬことでしか証明できない
なら
生と死が不二であるとしたら
生きていること
生きていること
それ自体が
解なのではないか
生きていること
今生きていること
....
愛しています
愛しています
何度でも囁きましょう
貴方が私ではなく
他の女性を見つめていたとしても
愛しています
愛しています
何度でも微笑みましょう
貴方が私でな ....
すべてが優しい歌のようで
すべてが明るいあこがれで
おまえらはまるで夢のようだ
洗おうともしない穢れに蓋をして白く塗り潰す
街中の繁華街の
何か ....
初冬には砂糖のような雪
明けた冬にはザラメ雪
ちっとも甘くない空のオシッコ
ネコヤナギや梅の枝を
瓶に挿して風呂場に置くと
1月に花が咲くから
毎年
編み物なんか飽きて
そんなことする ....
近頃は青い 空 ばかりで
手を取り
空気を呑みすぎるから
溶媒の温度がいやに 甘い、
見知らぬ思い出のした
初めて恋した少女が肩へはらりと落ちる
けれどその天体が
いまだ世界には 無いね ....
愛することは酷く醜いから、と
僕は君を殺しているところ
馬鹿みたいに笑って
苦しいほどに触れていた
冷たい今に
「凍える日々を過ごしました
君がまた少し遠くなりました
漸く何も見 ....
おうちに
赤ちゃんが
うまれた
赤ちゃんは
眠ります
すぅ すぅ
くぅ くぅ
赤ちゃんは
泣きます
ぎゃぁ ぎゃぁ
きぃ きぃ
赤ちゃ ....
輝かない太陽がほしい
そばで暖めてほしい
鈍い太陽が私の気持ちに
気付かないように
それでも、私は輝くの
太陽に見ていて欲しいから
独占欲が苦しいの
輝かないで
夕焼けとか月とか
星の光る夜空とか
もちろん、美しいよ
でもね
枯れ葉とかマッチの火とか
水道から流れ落ちる水とか
そんなものも、美しいと思う
こんな美しさに ....
今明日一分前
一分後には明日
何百回
何千回
何万回…
この時を過ごしてきたのか
あの針が一つ動くその前に
あなたの夢をみて
復讐の計画をたてるのです
枕も乾き切ったその ....
新しい人が来たので
かじかんだ指を暖めていた子は
背中をまるめてそっと
席を立った
それは
あまりにも静かに行われたので
だれかが席を立ち
新しい人が座ったことに
だれも気づかなか ....
ふと想う
叫び声は空気に
やがて 空は聞き流す
「もう少し後だよ」
彼は囁いた
そんな微かな声を
追い求めていた
それは きっと
手に触れることもない
すべては幻想だ ....
ご飯を食べられないから
せんべいと
ミネラルウォーターだけで
生きてみようと思う
というとあなたは苦笑して
もっとやせるよ
と言うんだった
冗談ではなくて
吐いてしまうのだと話すと ....
わかってたよ
そうだね、
君は優しいから
いつでも君のが
うわてだった
そうだね、
心を許しすぎた
安心しきっていたんだ
わかってたよ
君 ....
眠れない夜が続いていたのは
抑えられない舌の渇きのせい
肩書きを餌に抱いた女は
体以外預けてはくれなかった
煙草の煙に乗せた別れの台詞も
すべてはシナリオ通りの流れ
このまま誰一人愛す ....
わたし
もう
あなたに会えない
って思ったけど
だんだん
平気になって
そのうち
本当に気にならなくなって
好きな人が生きていた
何度も死ぬと、言っていたのに
ばたりと出合った街の角
生きていないのかもと思っていたのに
生きていたから悔しくなった
生きていたら言うことを
たくさん抱えた唇 ....
虚しいとは なんとムナシイ気持ちだろう
きっと僕の頭には
すべての感情のレシピが入っていて
ホルモンやらなにやらが働くのだ
そのレシピのページ選択の正解を人生で学ぶのだ
....
悲しいときにうたうときがある
嬉しいときにうたうときがある
少しむかしに流行ったような歌
けしてうまくはないけれど
とどめるようになだめるように
うまくはうたえないけれど
悲し ....
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