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ひとごとのように
じぶんをかんがえたい
XさんはYさんに
やさしいことばを
かけてあげたかったのに
ふたりのあいだにもうひとつ
アルファベットがあるきがして
そのけんきゅうに ....
ついに人だけになって
飛んでいる
はたしてそれを
飛行機と呼べるだろうか
翼も動力も
無線さえ持たずに
たどり着く先を失って
空飛ぶそれを
人と呼べるだろうか
私 ....
戦争が終わらない
真夜中は
戦争を始めるため
回避するため
会議室で行われている
夜更け
戦争のための戦争は
繁華街に移行され
朝まで続く
眠らない街に
灰になって積もっ ....
バスが終点に近づくと
乗客はわたしたち家族以外に
誰一人いなかった
息子が車内をみまわして
どうしてみんな座らないの、と
終点に着くまで
そんな不思議なことを
言い続けていた
....
さよならは
しずかに
すぎてゆくから
せなかを
そっとおしてほしい
そんな
さしすせそが言えなくて
ふたりは
せなかを
むけたたまま
あいしてる
いまも
うたうよ ....
夜ちゃんと
手をつないで歩いていた
夜ちゃんは
口を大きくあけたまま
何か話しかけるけど
その口は月なので
僕はその光をからだじゅうに
浴びている
夜ちゃんが
きゅうに無口 ....
僕から君へ
それは届かないかもしれないけれど
届いてしまったなら
ごめんなさい
僕は
それが届いてしまった
世界であやまってばかりいた
ねえ、おかあさん
ここはどこなんだ ....
十くらいはなれた
妹に
よく似た娘に
やさしくしてしまう
やさしくした後で
そのうかれた顔は何だと
誰かに言われたわけではないけれど
きっと僕は
そんな顔をしてる
もっ ....
金曜の夜
僕は誰かを探しに行く
誰もいないその街へ
つめたいビールが飲みたくて
土曜の朝
知らない誰かと眠ってる
眠りから覚めれば
またひとりぼっちになるから
夢を見つづける ....
ウィスキーの
琥珀色の
その向こうに
浮かぶ世界を見ていた
一瞬の絵のように
今日の一日が
そこにあったのだ
ちびちびと飲む
ぴちぴちと
魚が跳 ....
ただしい船が
たくさん
海に浮かんでいる
沈まずに
まっすぐに
まちがいのないところへ
向かって進みながら
ただしさだけを保っている
嵐にでも遭ったのか
うちあげられた ....
かくしごとなんて
はじめからなかったはずなのに
生きてると
知られたくないことの
ひとつやふたつあるものでした
できることなら
椅子に生まれて
何も思わずにただ生きて
人を支 ....
むかし恋をした
ひとたちの
面影のすべてが
あなたにはあるものだから
恋がいくつあっても
足りることはなかった
肩をならべて
星空を見ていた
あなたが僕の
僕があなたの
....
しかけ時計の
音に捕らえられ
あなたは変わらない
からだつきのまま
水槽の底に沈む要領で
とても上手に
さかなになる
ごはんよと
声がすると
浮上して
返事をする
水槽をしまう
....
景色が歩いている
わたしではなく
まるで時のように
目をつむれば
色をうしなって
古い景色が歩いてくる
錯覚していた
わたしはこの世界を
歩いてなどいなかったのだ
はじめからこうでは
なかったはずなのに
無垢であるには混沌としている
空の色はもっと
違っていた気がする
もっと緑がかっていた気がする
ふたりはもっと
透けていた
むこうが見わたせるく ....
告げることもなく
終わるものの
西日に照らされる
影のかたち
騒がしく
鳴り続けた夏が
ひとびとの胸に刻まれる
記憶のかたち
あの角にはたしか
食堂があったはずだ
なぜ ....