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梅雨明け前の海
太陽は精を出しているが
海から吹いている風は
涼しさを運ぶ
少し汗を拭ってはいるが
心地よい空気の中に
忘れていた夏を感じる。
子供の時以来の夏に
僕は捕まった ....
飾らない
媚びない
求めない
あるがまま
空中と空域
風鈴と風音
陽射と陽溜
浮かぶ絵は
すこしかわる
居間のテーブルに、汗をおびた白い皮膜がひろがり、ひとり
のピンクのビニール手袋は、両手で艶めかしい声をあげた。
一面、ピンとはった空気が、わたしの熱を帯びた息で震える ....
流れ落ちる水は
千年前の水と変わることはなく
ただ重力の思う通り
落差のあるがままに
変わらぬ風景を作っている
そんなあり得ない話を信ずる訳も無く
流れ落ちる水は
削り取った岩の ....
僅かに感じる視線に
蛇に睨まれた蛙のように
小さ角においやられていった
繋いでいた手は
急に離されまた掴もうとしたけれど
追い付くことはできなかった
人は誰でも大き ....
抱えきれないほどに大きくなりたかった
青々としたたくさんの細長い波が視界を埋め尽くし
何処まで続いてるのかなんて見当も付かない
涼しい風が吹く頃には黄色く重い稲穂が頭を垂れ
やがて精米 ....
七夕なのに 今日は曇り
汚れたうさぎ色の空から
アスパラの雨が降る
雨は次々に根を潜らせ
背中から空へ白いまっすぐな筋を何本も何本も何本も
川の溜まりの鋼の渦に
くるくると浮かび上がるそのひとの「きのう」
....
嘘つきたくて
小柄な爺の世迷い言
小僧よく聞けこの俺は
15の時には家出して
街から街への放浪暮らし
幾度も幾度も死にかけて
山の上から街を見て
谷の底から月を見て
たどり着いたが ....
ひ〜とりぼっちの世界には♪
悲しみもなにもないから〜
自由にこの世界を見下すことが
出来るんだ〜♪
友達いらない家族もいらない
恋人もいらない他人もいらない
何にも ....
必然と人生で必要なものは
食べ物と金と空気あろう
もともと黒い烏丸には
白い空間など身に覚えのないことだろう
くじびきで決まった神などに
この先の行く末などを
指し ....
渚を歩いていたときのことだ。
波打ち際に、細くなめらかな黒い曲線が描かれていた。
それは波の姿を象って視界の及ばぬ範囲へと延々と続き、
足元に目をやれば無数の点の集まりで、なにかの種を思わせ ....
冷静でいなきゃいけないのに魔物が迎えにきた。
ゆっくり積み上げたものがいきなり崩れたんだって。
わたしが言った事が全て嘘だったらどうするの。自分で壊した。
こんなはずじゃなかった。麻薬が必要。自 ....
この部屋の光の具合もあるだろうが 其の皮は重く
赤みは幾分黒ずんでいるように見受けられる
産毛のようなものが軸の窪みのあたりに白くうっすらと生えている
以上からしても 其の林檎は若々 ....
再会と別れが出会う街で
すれちがう人は他人ではなかった
魂が抜けたように
それでも旗をふり続ける
工事現場の機械人形
それもたまにはいいけれど
縮んだ雪だるまになど ....
朝は晴れ晴れと
色とりどりのアヤメの中歩く
季節六月、紫陽花の花
朝は晴れ晴れと
君を見てアヤメの中歩く
季節六月、紫陽花の花
言葉を交わす余裕なく
六月晴れ渡る梅雨入り前
紫 ....
暑さにうなだれている名も知らない花は
剥がれかけたマニキュアと同じ色をしていた
使われているひとつひとつの配色が
くっきりとしたものばかりなのは何故だろう
まぜこぜしないのがこの季節で
....
視点の定まらない太陽が見ている
青い海に沈んでいく
穴という穴から泡が立ち どんどん息が苦しくなる
助けて 手で水を掻きむしる 苦しい
苦しいよ 声にならない嗚咽が泡となって消 ....
例によって煩う空間
屋上から堕ちる君の手を掴む
この糞熱い時に
体と体を密着させるなんて
キチガチだろうと答えを出した
喉が痛い苦しく悲鳴をあげるよ
叫び声は神にも ....
6月25日 0:17am
パパとママが罵りあう声が床を転がってる。
なんで朝まで帰ってこないの、からはじまって
どんどん醜くなる言葉たち。やがて高周波に達する。
悲鳴は床にたた ....
すれ違う時 ハッとしてしまう
もうあなたが あらわれることはないのに
ほんの少し 面影が似てるだけで
赤の他人を 追いかけてしまう
今でも 泣きたくなる
夏は命の賛歌を歌っているのに
....
なぁ、オカア
子どもの頃から口癖みたいに
女の子はこれくらいできなあかん言うて
台所に立たせてたやろ
うちはあれがすごい嫌いで
何だかんだと理由をつけては逃げ出して
そういえばお弁当一 ....
それぞれの速さで歩む人の群れ
その何割が自分の速さでであるいていて
その何割が他人の速さに合わせているのだろうか
僕が生きている内にすれちがった人は
世界のの人口の大体何%かな ....
賢い鷹は爪を隠すけど
賢くない鷹は常に爪を立て
気高く泣き叫ぶ
月に吸収去れるまで
僕はいつも前を向き歩き続ける
近所の犬に最近雑音が煩く
眠れやしないと吠えられた ....
夢に溺れた人がいた
夢に溺れた人は口を閉じなかった
本棚にはおとぎ話と空想の国の絵本しかなく
晴れた日には空を眺め花と歌い
雨の日は水滴に合わせて踊っていた
夢を捨てた人がいた
....
おい
イタル
たかこぎするべ
といったら
うん
というので
チヨオ
しんぱんしろ
といったら
うん
おすなよ、うしろから
ぜったいに
うん
陽に ....
分かち合うことが
人と人との繋がりならば
いずれにせよその繋がりは
細い糸の様な物であろう
ヒステリックな世界の背景は
いつしかアメーバによって
浸食されていく
....
浮いた光は気まぐれに運ばれているのか
それとも決まった順路を漂っているのか
ただ、示されたとおりに視線を動かす
乾きから守ろうとする瞳は水の膜を張り
鮮明だったはずのものがぼんやりにじむ
....
ある赤ちゃんは公園で
暖かい風に吹かれながら
ベビーカーから見える青い空を見上げる
ある幼稚園児は
ジャングルジムのてっぺんから
人より少し高い所から
雲がゆっくり ....
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