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・あの日
母が壊れてしまったのは、今から15年ほど前の冬の出来事だった。
当時高校二年生だった私は、北海道での修学旅行から帰宅し、うかれた気分で玄関の扉を開いた。
父は海外出張中 ....
花が咲いていた
透明な花だった
不安げに 宙を見つめて
静かに淡く咲いていた
その花を殺すために
私は今も生き続けている
毎日を 拾い集めて
私は今も生き続けている
音 ....
吐き出したくてたまらない
感情が
弱さのために
置き去りにされていく
そうして自身は守られている
紛らわす娯楽が
今は溢れていて
でも何かが残る
痛みの無いかさぶたのように ....
近づいて そしていつも消えて
わかっていながら
誰もいない部屋で待っていた
いつまでも
窓はちゃんとある
カーテンは少し分厚い
少しだけ外の空気が流れてくる
訪ねて来てく ....