海の底
今田コボ


深い青色をした海が
少しずつ近づいてくる
わたしだけでは
とても耐えられない
そんな場所で
あの人は毎日
立ちつくしている

冷たい手のひら
からめた指がふるえる
見つめると
消えてしまいそうで
そっと瞼をとじた

耳の奥で鳴り続ける高音
海に
さらわれてしまいそう

どこかに流れていってしまった
あの人の事を
わたしは忘れられない
大きく穴をあけた海が
わたしを呼んでいる
わたし、もういかなくてはならない
(さようなら)
(さようなら)
今、あの人のもとへ


自由詩 海の底 Copyright 今田コボ 2007-04-29 10:42:36
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