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増水の ために

すっかり 荒れはてて しまった

堤の かよって ゆく なかを

猫じゃらしを 噛み ながら

草ひばりの 音が ほそぼそと つづく

すすき野原を  ....
最初の 真昼の 星が

ことばの 紀元前に またたいて いる

やってきた 9月

地には ことしの 豊穣を

やくそく した 稲穂たちや 曇った空

透明な 稲びかり ....
ぼくの 住む 土地で

自然に ひぐらしの 声を 聞いたのは

10年も むかしに なる

それは かぼそく いっぴきの 系譜が

つづいて 啼いて いたのだ けれど

 ....
白い 塗りかべの 建築や 小路を 抜けて

とまどいながら 最初の 一声が いまだ

はばたいている ように かぶさって いた

こちらがわの 無垢な 海砂の 地へ

いく ....
いつか 夏を 見たので 夏のことを ものがたり

旅を したので 旅のことを ものがたる...

やまと 吉野の 山なか で

灼熱した 午後 数刻の 焦点は ひび割れて

 ....
そこはかとなく

カオス から はじまる

巣箱の なかで 羽音が する

複数が 単数を 響きあう

羽音が する

とおく 草陰に 一軒の 廃屋...

誰かの ....
グスターフは 静かに 時を 待って いた

湾口の 砂州は 彼の ふるさと で

きょうは どうしてか

鼓笛隊が 空を 横断 して ゆくよう だった





お ....
な ぐ り...

名栗村 そして 澤

やみ夜を 求めずとも えられる

その 名まえを 記す ことは

もはや うたの なかの 出来事

うたに 遊ぶとき それは  ....
半ば くらい世界を 見たよ... と

おもい あがった 少年

トマは 12歳

素もぐりで もぐっては

金の さかなや 銀の 貝を すなどった

伸び あがった  ....
まどろみを さめたり もぐったり

白日の 季節の かいなの なか

体力は うばわれ

けだるさに 眠って

窓を 吹いて くる

れもんの 風との トランスファー  ....
ヴィルへルム・F の それの ような

白い タクトが

曖昧な ままに {ルビ空=くう}を 振って

プロムナード・ウォークの テンポに

からだと リズムを 泳ぐと

 ....
トワ エ モワ

きみ と ぼく

笑顔は ひろがっては いない

この 丘で

かぐわしい 初夏の 葉群れに

肩を 抱かれて

ぼくたちは いた から...
 ....
高層_ 大理石建築の なかで なつかしい

( いまは、どこのひとなのだろう? )

ウオシゲに あった

かれは 色の 白い きれいな 顔を して

シャープな フレーム ....
クリスタルの ボールが 放られると

ぼくらの ふたつの 土地や からだに

いのちに 焼かれた 対話が かがやいた

放擲 された ボールには ふらふら 泳ぐ

天の 子 ....
ねぼけ まなこの アトリエ

いっぱいに 陽光は 満ちて

画布には 旋律から 対話への

やがて ひとつに 見える 道が 伸びる

( それは きつねの なの? うさぎの ....
また 春が きた って だれかが いう

とめどなく 梅は ほころび

いぬふぐりは 淡く むらさきの 列を 走る

つぶらかな 音で ころ ころ と

ひとなりの {ルビ絃=いと ....
曇った 庭の かたすみ に

そんな 便りが ある

二季を 過ぎて きた 冬の 朝顔が

ア・カペラを 一輪 ふるえて

白さに ひらかれた 暗さの 土地で

無伴奏(  ....
その ほほえみは 生理と いわれる

世に 生まれ 立った きみは まだ 3箇月

歓喜の 波が 寄せる と “ にこ ” と わらう

ときどき 声が 洩れるのは 成長が こ ....
見えては いなかった...

かっこうの 産声が 森を 編み

絹糸を 伸ばして 進み ながら あおいで いた

どうしようもなく あかるい 双眸の 記憶の 波が

茫漠とした ....
八月 二週 また 入院暮らし...
ガラスの塔のなかで、優しいひとらに、接しながら、病と添い寝して。
夏は、晩夏を迎えて、( もう、立ちつくし、亡くなっているのかも、しれない。 )
 ....
エオリアンハープの 響きと色が 乾いた

白砂の フィールドを 打ちひらいて いった





旗になってしまった 白いシャツを なびかせて

少年や 少女が まだ 薄 ....
ぼくの 守護天使が 堕ちて いった

それに さよならを 言えなくて

それを たどって いった





花咲いていた {ルビ時世=ときよ}には 終わりの 結び目が  ....
裸足で しるされた やはらかい 足跡に

さらさらと 波が 水を しみこませてゆく

その消滅の a・b・c(ア・ベ・セ)たちの

静かに 弾けあがってゆく モノフォニーの
 ....
国境には まだ 霜が 降りて いた

ぼくは ひとさしゆびを かかげて

空 いっぱいに 伸ばした

虚空の なか 水の 夜明けの アラベスク

{ルビ四十雀=しじゅうから}が ....
病窓の 最後の 一枚の 葉っぱ

とは ちがう 美しい まだらな 編み物の

精緻な 空間が 午前の ひかりの なかで

なごやかな シラブルに 響くのを とおく 聞いた

 ....
そこでは ぼく と あなた と だけ だった

ふたり... 手のひらの 傷穴 を 帰って いったのは





日がな 窓の眼の まま いっぱいに

高まり 止んでは ....
月 星 を 必要と しないよ

陽光を 恋さない つれない 夜

あたりが 眠りの なかに あった 夜 に

茫洋な 空路から たましいの まなこたち が

目ざめを 見開 ....
前田ふむふむさんのモーヌ。さんおすすめリスト(27)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
誰かが去ったあとを見る- モーヌ。自由詩25*07-9-14
天国の子どもたち- モーヌ。自由詩16*07-9-7
ひぐらし- モーヌ。自由詩14*07-8-31
夏の終- モーヌ。自由詩10*07-8-24
かげろうと檜の木笠- モーヌ。自由詩13*07-8-10
くちぶえ- モーヌ。自由詩18*07-7-13
空中の_地上の_ものたち- モーヌ。自由詩19*07-7-6
誘われし澤の奥で- モーヌ。自由詩17*07-6-29
海の児のうた- モーヌ。自由詩16*07-6-22
ランドサット- モーヌ。自由詩21*07-6-15
ゲニウスの響き- モーヌ。自由詩10*07-5-27
toi_et_moi- モーヌ。自由詩12*07-5-15
たましいのともだち- モーヌ。自由詩12*07-4-22
トロイメライ- モーヌ。自由詩16*07-4-12
目撃者の真昼- モーヌ。自由詩14*07-3-23
すぷりんぐすてっぷ・じゃんぷ- モーヌ。自由詩15*07-3-14
暁の巡礼- モーヌ。自由詩9*07-3-7
エンジェル・スマイル- モーヌ。自由詩18*06-11-29
やさしいレントで- モーヌ。自由詩14*06-11-19
晩夏への手紙- モーヌ。自由詩14*06-9-3
エオリア- モーヌ。自由詩14*06-8-3
えんぷてぃ・はあと- モーヌ。自由詩9*06-7-24
ろまん・こみっく- モーヌ。自由詩10*06-7-18
かたいくちびる- モーヌ。自由詩11*06-6-7
詩人の日曜日- モーヌ。自由詩15*06-5-26
放蕩息子の帰宅- モーヌ。自由詩13*06-5-23
エンジェル・エコー- モーヌ。自由詩11*06-5-22

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