20代後半の頃、ボランティアをしていた事があった。
それは人生で唯一、サンタクロースの恰好をしてジングルベルを歌うのを自分に許せた季節であり、一銭にもならない仕事の代わりに、食べきれない量のお菓 ....
君の吐息はちいさな部屋の空気を揺らし
君の想念はだれかのベッドにしのびこみ
不思議な夢を紡ぐだろうか
ヴィトゲンシュタインにも小さな教え子に
猫の骸骨を組み立てさせたり
社会実習を経験さ ....
{引用=「言葉にならないなら、無理しなくてもいいよ。だって海にならないからって、水は流れるのをやめる?」}
サクラソウという名前の花を買った。帰り道に食材を買いに寄ったホームセンターの見切り ....
{引用=地球に於ける生命の反転現象について}
そろそろ認めよう、途轍も
なく分からないのを。まず世界の根底が
分からない。そして根底に根底が
あるかも、根底
の構 ....
大小の刀を二本も腰にさしていては、さぞかし歩きづらいし、走るとなったら駆けづらいだろうなって
常々感じていた
士農工商の身分制度の中でいちばんに位置していても、その暮らしぶりは窮屈で自由じゃな ....
すみません。
ちょっとかいてもらえますか?
あ、背中じゃないんですよ。
リュックの中にノートとペンありますんで。
え?いやぁ、私はご覧のとおり、
右手に長男、左手に長女のいるベビーカーで ....
大振りで且つ皮の無い影に秘された鶯色の、葡萄の礫のような表皮が、あたりに広がっていく様を、あなたがひとつひとつちぎっていくものです。痛みを無くした義賊の有袋類の殺り方、確もゆめもうつつに。柔肌に恩恵 ....
光が渦を巻いていた
熱風が絶えず吹いていた
人々は次々と歩き過ぎ
俺は串カツ屋の前で
アイスコーヒーを飲んでいた
とても苦い味がした
身体が熱く燃えていた
生きることに飢えていた
....
短い髪の毛を揺らして歩くセーラー服
単調な音を鳴らすしまむらのスニーカー
畦道の傍らの、コンクリートに転がった
蚯蚓の焼き尽くされた死体が
まだら模様に広がる夏
自転車の回転 ....
今年の梅雨明けは遅いですね、と話しかけられた気がして目を開けた。誰も私を見ていないし、ましてや狭いバスの中で他人に話しかけるなど、いまどきともするとちょっとした迷惑ととらがえがちな行動を取る人は少ない ....
怒ってくれているうちが華だったのか
萎れたようにすぐ涙ぐんでしまうなら
ぼくらはもう終わりかもしれないのか
君の涙は所詮流れる水
心を殺してそう決めていたのか僕は
事実を ....
テレビのボリュームを下げる頃には晩酌の酔いもすっかり覚めている。
眠気を通り越してしまう 小腹も空いてきたよ、なんて
と思って近い台所をあさるのだ。 (すがやかほれば ....
{引用=松本へ行く道すがら、ルート19号のダム湖を取り巻く緩やかなカーブに沿って、ぼくは軽自動車を走らせていた。流しっぱなしのYouTubeからは尾崎豊の『15の夜』が流れ出す。なんてこった。またなん ....
ぎらぎらと陽が照っている
草木が緑に燃えている
世界はゆらゆらと揺れている
折しも二匹の紋白蝶が
絡み交わり輪を描き
白々と視界を過っていく
いったい何処へ行くのだろう?
自ら描 ....
どうにも目がさえて眠れないので
今日の夢をゴミ箱に捨てました
今日の夢は泣いていましたが
何も言わずにゴミ箱に蓋をしました
ひとは残酷ないきものです
ティン・マシーンを聴いていてふと
....
悲しくて堪らない日のポッケにそっと手を突っ込んでみると
今日の神様からの贈り物はうちの猫の写真だった
それはケータイの中に入っていて
つまり神様は
「お友達と猫のお話でもしたらどうじゃ」
と ....
細くて固い冷たい手術台の上で仰向けになる。「さあ、数秒後には深い眠りにつきますからね」。 そう麻酔医から促されると全身麻酔を受ける患者が看護師に言い放った。 ‥このまま眼が覚めなければ幸いなのかな ....
アイコスだか電子タバコだか
知らないけれど
子供の玩具じゃあるまいし
ひそひそコソコソ
プラスチックの塊を
吸い上げて ....
人にかける言葉の
優しいひとを選びたい
選んでどうするのかと
問われても明快な答えもないが
そうなんだ僕たちはそんなには曲がってはいないはず
規定するあなたがたの定規はどこまでも ....
生活苦にはお金がいちばんにきく注射針
日々の生活からお金がなくなったら
命が潤滑に回らなくなる
夫婦は無理して家を買ってしまった
引き換えに
住宅ローンが重く重くのしかかってきた
....
9:20 レイニーデイ・イン・ニューヨーク@雨の新宿で
堪能したのでパンフレットも買う
今日をターゲットに有休を取ったのだ
押し寄せてきた、邪魔者たちを、者ともせずに
そのパンフも微妙 ....
きみはときおり
溶けてしまうね……
信号機に架かる
朝の虹を
ながいあいだ眺めて
お腹から
消えていく
涼しくさわやかな風も
去っていくみたいに
海のなか ....
物産展の下見に行くとよく似た女性を見かけた。地元のブースだったので声をかけようと思って近づいたら人違いだったので挨拶だけにした。 by 多児真晴
‥‥女もね、結婚したら見方は変わるのよ。少 ....
15年前の私こんにちは。
ありがとう、まじめに創作活動してくれて。
大分、あなたの気持ち悪い詩から遠ざかっていたせいか、
あなたのその、気持ち悪い詩が書けなくなってしまいました。
....
有刺鉄線をいじっていたら
異常にこんがらがって溶け始めた
俺の熱のせいか、指先は既に燃えていた
閉じ込められたまま閉じ篭もったまま
砂漠に墜ちたプロペラ飛行機
赤いいきもの達が列を ....
土の中に溺れた
午前三時の記憶は
白い朝に焼かれて
跡形もなくなる
海沿いの埃
引き潮にさらわれ
光の
届かないところに…
海獣のボーン
砂を撫ぜ
小さなアンサンブル
音 ....
ひとつの言葉がつぎの言葉をはこんで来る
言葉にならないものまでをも
静謐と恍惚
チベットの鳥葬の風
蛇行する浮沈子
海底を淵源とする生命の螺旋
古楽の調和的なパッセージ
アル ....
・・まあ、そんな訳で、昔は虎を使っていたんだけれども、キミも想像つくだろう、強いて虎三匹に樹の周囲を円環を描くように疾走させると云うその製造方法の是非なんて、いまは自明だよね? そう、やっちゃい ....
とぎれとぎれの信号も
詰まってあふれだした声も
獣道で見つけた風景も
しましま模様の高い空も
右手に光るガラス片も
左手にふるえる小さなカエルも
晩御飯のにおいのする街角も
....
小市民である人々が規律を破るのは致し方ないことである。全体に及ぼす規律の影響よりも、あくまでも個人の利得を優先させたいのである。そのような過ちを繰り返すことによって処罰もまた厳格化されるのであろう ....
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