重い身体を引きずって
けだるい空気を身に纏う
手の届かないものを愛して
非現実的な歌を歌う

僕の太陽
僕の慈しみ
何処を探しても見当たらないから
雨上がりの重苦しい雲が垂れ込めて
 ....
 「キレイだよ、誰よりも。」


 鞍馬口駅のトイレでそっとつぶやく。髪を直して、グロスを塗って。そうして見つめる鏡越しの自分に向かって言っているものだから、他人が聞いたら「アホちゃ ....
内に向かって壊れた胸から
水がわずかに滲み出している
うすい陽の声
穴の数の息


草が逆に波打つ
濡れた色になる
夜の風のなか
渇いた音のなか渇きを疑う


 ....
手ごろなプールがないと
汗でぼたぼた水溜りを作りながら
巨人は初夏に愚痴をこぼした

海なんてどうかねと
杖をお守りにしている老人は
巨人には見えているだろう河口を指差した

大きな足 ....
両手いっぱいの憎しみで
ふくらませた青い風船
それを今 
ベランダからそっと飛ばす
それは思うように
遠くへと旅立ってはくれず
ただ あたりをふわふわと漂い始めた
部屋に戻り
静か ....
誰も気付いていない
扁平な空と屋根の間に
ブランコがある
そこには
飛行機で行けないが
羽根をばたつかせても
到底届く高さではなく
梅雨にぬかるんだ地表と
レーダーに映る雨雲の間に ....
夕べ
拾った羽根の先を斜めに切り
インク瓶に浸し
短く日記をしたためた

羽根で記録する行為に満足し
すぐに日記を閉じたものだから
翌日分のページに
生乾きの文字列が写ってしまっていた ....
 
白地図に雪が降り積もる
数える僕の手は
色のない犬になる
古い電解質の父が
真新しい元素記号を生成している間に
妹は今日はじめて
言葉を書いた
それを言葉だと信じて疑わないので
 ....
             080703



カワガラス
オレンジ色を
四角に染めて
生きる渇きに
備えてる

 (保有期間が過ぎたので
 (補修用性能部品を
 (絶対に
  ....
親指姫になりたいな
ベッドはタンポポ
お布団はチューリップ
枕はハルジョオン
黄色や赤の夢を見るのです

テーブルはキノコ
クッションは木の葉
カップはどんぐり
お皿は薄い栗の実
 ....
細い路地に入ると 
食事処がぎっしり並び 
人々の賑わいから 
昭和の匂いがぷうんと漂う 

頭上の鉄柵に 
取り付けられた蛍光灯は 
細い路地を仄かに照らす 

油汚れの壁に描かれ ....
時折街を吹き抜ける 
生ぬるい風の嘲笑を背に 
雑踏に紛れた孤独な旅人は 
口を結んで今日も 
スクランブル交差点を渡る 

( 寂しさは 今にも唇から 溢れそうだ ) 

古本屋の棚 ....
とかいの
びるでぃんぐの
たにのなかで
まひるにうかぶ
つきのした
あすふぁるとの
かげで
もえいづる
くさのいぶきは
ぼくらのせかいへと
むかっていて

ちじょうへ
ゆこう ....
僕は椅子に腰かけ
四階の窓から
町の景色を見下ろしていた

窓枠の中では人や車が
あらゆる方角へ規則通りに行き来する
木々の枝葉は透明な風に揺られ
ビルは巨大な存在感で立ち尽くしている
 ....
図書館で資格の本の頁を閉じ 
色彩を失った日々を嘆いた 
長い手紙を書き終え 
疲れた腕をしろい机にのせる 

(机の下に潜むかみさま)が 
ぼくの重さを支えていた 

ふいに後ろを向 ....
酒の宴の窓の外 
宵闇に浮かんで消える 
いのちの{ルビ花電気=イルミネーション}

窓硝子に映る人々が 
杯交わす晩餐は 
遠い日に想い出される 
束の間の夢 

夜風の吹く 
 ....
道の向こうから 
傘を差す若い婦人が 
ベビーカーを押して来る 

雨に濡れないよう 
ビニールの幕に囲まれた 
幼い女の子 

傘を忘れ 
日常の雨にずぶ濡れ 
靴下も湿った僕は ....
海だった

湿度百十五パーセント
水蒸気の飽和したの六月の風
ビルに囲まれた灰色の世界に
潮騒と潮の匂いを届ける
風が吹き抜けるこの街は
海だった
気付いた君
ぬめつ ....
黒い雨が止まない。
傘は穴開き視界はバラバラ。
不思議な顔で天を見つめ、
非日常を飲みこむ眼。
酸化していく町並みも、
溶けていった有機物も、
憶えておかねば。消えてしまう。


青 ....
一九四五年八月九日午前十一時二分 長崎
永井(旧姓森山)緑 
原爆に焼かれながら祈る

主の御心のままに従います

 願わくば

 僕たる者共に
 与えられし
 大いなる業火につい ....
傷口が見えてる 後ろめたさも隠せず  
裏切り煽られ つまずき蹴られ 
信じて縋って 胸を撫で下ろす  
捕われくじけ さまよう暮らしに

先の知れない 隠し切れる訳のない 
正義と過去と ....
 


基幹農道の左右は区切られた水面
あの小高いのは 川のへり
足の悪い男が傾斜へとうつむいている

   なずなは もう しまい
   つめくさは もう せんから さかり

水 ....
嵐が去ったあとの
うっとりとした
天気雨がふる夜に
穏やかな波が渚に
はじけていて
潮のよせる音が
白い灯台の中でも
吐息のように響いている


塔のてっぺんの方へと
約束をした ....
ハシバミの枝から
膝頭をつたい
たらたらと流れる
経血の艶
頬を刺す紅の
口許を拭う銀の{ルビ絲=いと}で
ゆっくりと迷宮を搦め
鋼鉄の綾で縛りながら
血潮の徒花を捧げ
甘い毒を流し ....
今日は雨
誰もいない
ひとりの時間

お茶を
飲みながら
ちょっとひと息

ひとりで
いるのだから
こんな時は
音楽を聴くのも
いいよね

雨の日の午後
今はひとりの
 ....
 それは激痛すらも無く 
 いつのまにか緩やかな時のまにまに 
 我胸から{ルビ抉=えぐ}り取られた 
 空虚の闇 




{引用=誰もいない深夜の映画館の 
スクリーンに映し出さ ....
海沿いの駅のベンチに 
腰かけた老婆はふたり 
ひそひそ話で 
地面を指さしている 

そぼふる雨の水溜りに 
浮かぶ 
誰かが落とした 
一枚の切符 

やがて聞こえる 
遠鳴 ....
指でなぞる
水の裏側
剥がれていく
記憶のような
古い駅舎
影踏み遊びをしながら
呼吸の合間に
母とひとつずつ
嘘をついた
砂漠に父は
キョウチクトウを
植栽し続け
一面き ....
{画像=080612025137.jpg}

デジャヴ 昔あった情景

窓から見えるカップル

通り過ぎるファミリー

どこかで見たような記憶

    *

デジャヴ 昔 ....
{引用=
近づいたら
遠ざかる
きみの性格
よくわかる

かげぼうし
踏んづけて
石蹴りしながら
帰ったよ

おいしそうな
においがしてる
焼き魚かな
カレーもいいな

 ....
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