連合軍の反撃(六)
おぼろん

戦いの場においては、一分一秒の判断の差が、
生死や勝敗を左右することがある。「今がその時だ」と、
アースランテの総司令官エリス・ガザンデは思った。
多重結界を目にして、あれは何かの罠ではないかと感じたのである。

「敵は多重結界を敷いて、退却の姿勢に移った。
 これより我が軍も追撃の態勢に入る。その前に、
 何か意見があるものがあれば、それを述べよ」
エリス・ガザンデは全軍に向かって、その旨を伝える。

「意見があります」シュティンガルト・デイは言った。
彼は、密偵として優れていたのである。「あの多重結界は、
 連合軍が魔法石を使って作り出したものと思われます。
 
 それゆえに、ある程度の時間が経てば消失するのです。
 多重結界を迂回するよりは、消えるのを待つのが賢明かと……」
「それでは、我が軍もしばしの休息だな。負傷者の手当てを急げ!」


自由詩 連合軍の反撃(六) Copyright おぼろん 2022-05-01 10:37:05
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