小川 葉

 
 
隣では男が死んでいる
私は蓋を探している
どんな蓋だったのか
男を見て形を思い出している
見かねた男も探している
隣には男ほどの大きさの窪みがある
そっと触れるとまだあたたかい
蓋があったと男が言う
男がふたたび死んでいる
私は隣ですることもなく
男に蓋をする
 
 


自由詩Copyright 小川 葉 2010-05-22 01:53:26
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