ろくすっぽ砂も噛んだこともねえ表六が
干し過ぎた柿みたいな遺書をしたためる魂の童貞
笑わせんなよ、書き終わらないのは
心残りのせいじゃねえ、終わらせる気がないせいさ

「青い果実 ....
幻聴にぶっ飛んだ俺は、ディナーの後のデザートにカメレオンの脳味噌を喰らう、それがどこかで食されているものなのかは知らない、寄生虫や、ヤバい菌があるのかどうかも知らない、とにかくカメレオンの脳天を掻 .... 血管が最も交差するポイントで血流は行きあぐねていた、わだかまるものたちが新しい言葉を産み落とす、すんなりと流れないものだけが真実だ、俺は疲弊して仰向けに寝転びながら…その真実だけを認識していた .... おれの素晴らしき我家の隣には狂人が住んでいて、朝から晩までこちらの暮らしに聞き耳を立てている、頭を掻く音、鼻を掻く音、耳を掻く音、歯を磨く音、すべての音に文句を言って、それでまともだと思ってい .... 臓器がこむら返る、死後硬直の午後に
角膜の隙間に潜り込んだ不協和音を
爪楊枝でこそぎ出したら視界が赤く染まった
軟膏を塗りこんだらお陀仏だ
世界は白濁して
オープンリールフィルムのようなノイ ....
いくつもの美しいあかりが
真夜中の街路で飛び散る
若者たちは短い騒乱の中に飛び込んで
明日など要らないとうそぶいて見せる
ひび割れた舗装に隠された置手紙には
取るに足らない歌い手が書き殴った ....
夜の訪れとともに降り出した雨は秋の始まりにしては不自然なほどに冷たく、まだ夏を待ってでもいるような薄着の私はたちまちのうちに凍えてしまう、友達はそんな私を笑い、私はしかたなく笑い返す、自分の身 .... 街の端っこの更地を囲うフェンスに絡みついたまま枯れた蔓の落書きのような交錯の隙間から血走った目が俺のことを見ていた、俺はその目に見覚えがあった、鏡で確かめるまでもなかった、斜視で歪んだ照準はそ .... 白夜のように月が燃えあがる夜に暗色のシーツに包まれた寝床におまえは横たわる、清潔な寝室のそこかしこに蛆虫のように蠢いている憤りの欠片、それはすべておまえが隠した懐から零れ落ちていったものだ、も .... 皮膚を切り開いて筋肉の隙間から血管と神経だけを取り除き、天井から吊るしてオブジェにする、血の滴る音を秒針のように聞こう、過ぎ去るときは死と同じだ、一分一秒は死に続けている、血だまりのにおいは外 .... 乖離した俺の右半身が壁の亀裂の中で瞬きの真意を窺っている、先週までの熱が嘘のように冷えた部屋の中、とある境界線の上から確かに爪先は僅かに踏み越していた、変えたばかりの蛍光灯の白色がギロチンのよ .... 円錐形の反射が
カーテンの隙間から潜り込む
あれは外灯だろうか
あまりにも揺れていて
息づいているようだ


南に居る嵐のせいで
むせかえる夜中だ
はりついたシャツを ....
汚れた屋根に降りそそいだ雨が
酷い色になって窓をつたっている
音楽を聴く気分でもなく
本を開くのも億劫な


隣の空地に投げ込まれる空缶
明方には野良猫のおもちゃになる
 ....
気まぐれでかたまりで買ったでかい肉を適当に切り開いて、塩胡椒ぶっかけて柄のガタついたフライパンでおよそこんぐらいだろうという程度に焼いたら皿に投げ落とし、適当に作ったソースでパクつくとまんざら .... 赤いワインが煌びやかな床に散らばって薔薇の花弁に擬態する乱痴気騒ぎの挙句、飲み過ぎた女は吐瀉物を喉に詰まらせてストレッチャーの上で冷たくなった、天国への階段は上れない、地獄の穴へ真っ逆さまさ― .... 女たちは街路に集まって
気に入らない誰かの陰口を叩いてる
根拠のないことで他人を叩けるなんて
随分と罪深いいきものだ
空はキレの悪い小便のような雨を
昨夜から垂れ流していて
 ....
開き直って、当たり前のことを言う
そんなの詩人のやることじゃない
文法に縛られ、添削に精を出す
そんなの詩人のやることじゃない
奇をてらって、珍妙な改行、記号の羅列
そんなの詩人のや ....
溶解する脳内の炉のなかで、失われてはならないものがあった、それは長く俺の中にとどまり続けたものだったが、思い出すことさえ出来なかった、脳下垂体の下部に据え付けられたそれは、終始俺の思考にき .... 偽証されたような朝が破裂の熱と共にやって来て窓の外は核爆発のように発光している、カーテンを閉じたままのこの部屋はまるで真空のように現在から隔離されていて、俺はたいがいの部品を土踏まずの穴から落 .... とあるキャバクラの前で
自信満々の呼び込みが
声を張り上げてピーアールしている


客たちは
一度は
振り返るけれど
すぐに
興味を無くしてしまう

(ああ、あの店か)
 ....
崩落した道を見下ろす
堤防に身体を預けて
夏からの束の間の避難訓練


午後の約束は先延ばしになって
それ以外の予定もなくって
戻ることも出来たけれど
久しぶりにコーラが飲 ....
首を幾度か右に左に旋回させて通電を試みるも、精神はどこか奥深くへ潜り込んでいた、日付変更線を少し過ぎたあたり、床に突き立った一本の小枝だった、これはなにかの目印だろうか、それともどこかから投げ出さ .... 床に転がったおまえをどこに捨てよう
細かく切り刻んでビニル袋に詰めて
生ゴミの日にまとめて捨てよう
どこかから車を盗んできて
山の中まで連れてって埋めて捨てよう
それとも誰も来ない辺 ....
化石の埋もれる地下の回廊のひと隅の寝台の上で太古の記憶を移植されたような目覚め、血流はゆっくりと流れ、そのうねりが内耳の奥でうっすらと轟いている、そんな目覚めだった、時は気化しない雨粒のように降り .... 都市を横に連ねたような貨物列車が駆け抜けたあとに
鳥のエサほどに分けられた轢死体ひとつ
十六の少女、と夕方のニュースが声をひそめて告げた
そんな歳で絶望なんか本当は出来るはずもないの ....
結晶を模写したような細工の窓ガラスの粒を数えていたら一日が終わる
口述筆記のような違和感が生じる近しい過去には
巨大な生物のあばら骨が空から落ちてくるなにかを受けとめようとしている ....
沈殿と沈黙の
まだらの模様が
僅かに振動しながら
消えていくまぶたの裏
かすれた声の行き先
天井のすみの薄暗がりに
待ちぼうけ食らった今夜の夢は
濡れ続ける表通りの街灯の ....
一日中降りつづく雨が
重い布のような空気となり
肌にまといつく夜中
車が通るたびに悲鳴を上げる水たまり
風が吹くたびに雨粒で鳴るガラス
シャワーを浴びたばかりの身体はすでに汗 ....
消防車のサイレンが街にこだまする真夜中
自発的な夢遊病のゲバラのシャツを着たガキどもが溢れ出て
革命とは程遠い犯行を繰り返す、おお
体制にとって彼らの存在は引っ掻き傷にもならない
 ....
浅いところで手を浸して
つめたいと言って笑った
いまごろにしてはすこし寒い
土曜日の午後のことだった
アイスクリームなんか食べたい気分じゃなかったけれど
きみが頑として譲らなかっ ....
ホロウ・シカエルボク(1119)
タイトル カテゴリ Point 日付
くたばる手前で生きてやれ自由詩4*16/12/2 20:30
カメレオンの脳味噌自由詩3*16/11/24 22:53
Blood on Blood自由詩2*16/11/19 22:04
neighbors自由詩2*16/11/15 23:02
炭化の街自由詩3*16/11/11 21:25
ブローニングM1910自由詩4*16/11/3 21:43
一〇月、食事のあとで自由詩016/10/25 22:23
ブラック&ホワイト自由詩3*16/10/22 14:36
判らないものがおまえを生かしている自由詩2*16/10/20 0:22
そのとき初めてその色を知るだろう(静かに語りかけるような音と ...自由詩1*16/10/15 22:30
その傷が疼くために自由詩2*16/10/14 0:32
その光の理由自由詩4*16/10/4 0:20
そうしてこれはまるで降り積もらない火山灰のように自由詩0*16/9/29 1:41
HOLE自由詩1*16/9/27 1:10
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(温か過ぎるけれど)自由詩1*16/9/17 23:50
土曜の朝、手つかずのものはそのまま自由詩1*16/9/17 9:38
愚か者の涙自由詩4*16/8/29 18:16
爆ぜているものは無数にあり、そのなにひとつとして伝言を残し ...自由詩2*16/8/27 0:44
穴開きの胃袋に極限まで詰め込む自由詩1*16/8/14 0:32
それでも店には違いない(誰にでも書ける詩)自由詩016/7/24 1:25
あの日の夏の蒸発自由詩2*16/7/24 1:13
夜を千切り、張り付ける、呆然とした画用紙の上に。自由詩2*16/7/18 1:06
island自由詩2*16/7/6 18:20
嗜好は変化しない自由詩0*16/6/24 17:36
誰かが降り続ける自由詩1*16/6/20 23:23
yield自由詩2*16/6/7 0:50
「そしていま、最後の曲が消えた」自由詩3*16/5/30 2:18
雨がまといつく自由詩1*16/5/26 0:48
Side by side自由詩3*16/5/21 1:06
ナ・ツ・メ・ロ自由詩4*16/5/18 1:11

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