指を伸ばして
最初に触れたものの名前を教えて
それはきっとこれからの
示唆を含んでいるから
たとえそれが
取るに足らない冗談めいたものでも
なにも手に入らないよりはきっとましなことでし ....
せせらぎは忘却のように消え失せてしまった、もう、おまえは、地に落ちた果物みたいにいびつで惨めなしろものだ、指先が震えているのは、根源的なおそれのせい、途方もない量の雨が世界に飛び降りてくる、人々の .... 飴色のグラスみたいな陽だまりが廊下の奥に落ちていた、天井に埋め込まれた空調が立てる微かな稼働音は何故だか宇宙船を連想させた、俺は廊下に並べられたパイプ椅子に腰かけていた、それは五脚あったが座ってい .... 世界の端っこで
瓦礫にくるまれた
十代の残滓を

山道に捨てられた
切り裂かれたタイヤの
あちこちに散乱した破片を

白紙のノートを
汚すことはもう出来ない
指先のみで
脳味 ....
叫びは暗闇に飲み込まれ、おれたちは
財布を落としてきたみたいな心もとない気持ちでいる
神さまは金持ちにだけ整理券を配り
おれたちには聖書みたいに硬いパンを施すだけさ
適性検査を受けて戦いに ....
微量の電流がひっきりなしに身体中を駆け巡っているような違和感が続いて、痒くもないのに腕の同じところを掻きむしっていた、寝たり起きたりを繰り返した朦朧とした頭では現在時刻を確認することも容易ではない .... 暗い湖に朦朧と沈む膨張した死体の夢
網膜のなかに書き殴られた最期の詩
叫びはふやけた肉体に阻まれ
二度と出られぬまま溶解して流れ出る
いつだって午前二時
破裂と飛散を望むものたちが
内 ....
こと切れそうな灯りが、埃の海に飲み込まれそうな木の床を探している
流れているジャズはスローで、消えないものに心をこだわらせる
まばたきのつもりだったのに眠っていたのか、そんな判断もつかないほど ....
アーモンドチョコレートとストレートティ
夜のストレンジャーとカム・ダンス・ウィズミー
バス停でその日最後の長距離便を待っていた僕らは
見すぼらしくも誇らしい二人の子鼠だった

丸一日、あ ....
昆虫の呼吸器官は腹の横に空いた幾つかの穴、ラジオでそれだけを繰り返すキャスターの声は重く沈んでいて、何のための放送なのかはまったく理解出来なかった、そんな夢を見たんだ、寝床が焼け付くような朝に
 ....
指の強張りの理由は不明だった、時間は渦のように暴れながら不均一に流れ、少なくともここからでは確認することの出来ないどこかへ静かに落ちて行った、午後になってから隠れた太陽は結局そのまま今日の役目を終 .... 盗人のような夕日が、薄曇りの空に紛れてゆっくりと沈んだので、俺はまるで破産した大金持ちのような気分で遮光カーテンを閉じた、喰い過ぎた晩飯がウェイトになって胃袋に伸し掛かる、だからイヤホンを突っ込ん .... 緩い傾斜は右へ左へと度々方向を変えながらその頂点へと続いている、俺の脳裏ではマーチング・バンドの隊列が知らない曲を演奏しながら練り歩いていた、演奏はあまりにも楽譜通りで―大病院の会計で知らない誰か .... 欠けたグラスの縁から飲んで唇から途方もない血を流せばいい
解けた鎖を無茶苦茶に絡め直して永遠を誓えばいい
もう二度と手に入らないものは
どんなに蔑ろにしたって誰にも叱られない
闇雲に生えて ....
色味にトチ狂って
暗がりに吐瀉物
別々の腕時計の
指し示す同じ時刻
グランギニョールのフィギュアと
バラライカのドーナツ盤
ベゼルの割れたディスプレイ
気分の乗らない売春婦
電気自 ....
粘ついた舌ですべてを容赦なくなめつくすような雨がようやく上がったあと、機銃掃射のような太陽の子らが跳躍を繰り返した、俺は脳味噌を安い匙で掻き回しては言葉を拾い、左官工のように投げつけては撫でつけた .... 夜が壊れていくから
窓に包帯を巻いた
朝は舌なめずりして
地平線の先で出番を窺っていた

幼子の泣声、いや
盛りのついた猫だろうか
街路はあらゆる音を
まっすぐに伝えてはくれない
 ....
世界は水晶を透過したかのようにどこか輪郭を甘くして、副作用で冷えた俺の身体は冷蔵庫の果物みたいだ、生来的なペインに砕かれた午後の欠片、台所洗剤がバラす油のように居なくなる、ラジオで聞いたコクトー・ .... おまえの
見開いた目の
いたみ

排水口を、すべる
小便の
甘い匂い

午前零時の
渇いた鐘の音が
脳味噌の中で鳴る


今日の臨終


噛み砕いた林檎の酸味
手 ....
悪ガキども、武器を手に取れ、思考の虐殺を開始しよう、俺たちは衝動に従う、自分を突き動かすものを信じる、思考は時により、心を縛り付ける鎖になる、そんなものはもう捨てちまおう、俺たちは思考を乗り越えた .... ポケットの中で小銭を弄ぶ癖をやめたのは微かに耳に届く金属音が命を削っている気がしたからで、それについては正しいとも間違いとも考えてはいない、ひとつひとつのポケットはずいぶんと軽くなった、小銭をあま .... 壁に残された二年前の嘘
ストラヴィンスキーの神経症的な後味
朝食のベーコンの油のにおいが
因縁みたいに食卓にしがみついてる

ラジオ・プログラムは元気が出る歌とかそんなものばかりで
驚 ....
素顔を晒したピエロが血に濡れた鉈を持ってステップを踏んでいる、被害者の若い女は生首だけになりながらも食ってかかる、無茶だぜ、自殺行為だ、どぶ鼠は優れたギャラリーのふりをして腕組みの姿勢でぼそっと呟 .... どこかの駅で誰かとすれ違うためだけに生まれてきた
やあ、と言葉を交わし合うこともなく
親密な他人と認め合うような
静かな笑みを交わし合うこともなく
その目に
特有の孤独を共有することもな ....
レス・ザン・ゼロの臭いがする通りで乗り捨てられたキャデラックのバンパーを破壊する夜明け前、野良猫のように芯まで雨に濡れて…夢中になり過ぎて怪我をしたことにも気付かずにいたんだろう、ご自慢のストレッ .... 剃刀はチープな覚醒、洗面所のアスピリンは、労働環境に不平を垂れてる、蛇口は知らん顔で、捻られた分だけの水量を吐き出し続ける、流れた血液のうねりだけで知る時間、闇雲な宛先不明の呪詛、憂鬱と恍惚を同時 .... 唾をべっと吐いて
スタンスを取り
必要以上に
鋭い眼光で
強い態度で
何の責任も要らない、関係のない
政治やメディアに噛みついて
なんならやってやるぜと
ジャブを繰り出して見せる
 ....
あの年の十月
酒場で知り合った
ヤギという男と二人で
ミシシッピ・ワンの合図でショットガンをぶっ放した
ホリデイで賑わう
陽の当たる大通りで
男も女も、ポリスも子供も
血を吹いてぶっ飛ん ....
おかしな時間に目が覚めて
それからずっと眠れない
閉じ込められた寝床で
脱出計画を練っている
きちがいは耳を澄まし
こそこそと覗いている
晴れるという話だが
夜明けまではなにもわからない ....
世界は夜に満ち溢れ、天使は裏通りの潰れた酒場の店先で横になる、野良犬の鳴声には理由がない、欲望がないからこそうろうろと彷徨うのだ、ジャックダニエルの空瓶のカウベル、割れた舗装の上を這いずってる誰かの甘 ....
ホロウ・シカエルボク(1118)
タイトル カテゴリ Point 日付
目隠しの奇想曲自由詩4*20/6/17 2:24
子守歌は静寂の雑踏のなかで自由詩2*20/6/15 0:29
思えば、出口なんてイデーをはっきりそれと認識したのは自由詩1*20/6/11 22:43
まぼろしの午後自由詩4*20/6/9 0:23
ロックンロールはだれのため自由詩8*20/6/7 21:39
感電のさなかには痛みなど感じていないものだ自由詩020/6/4 22:37
不意打ちのようにやって来る自由詩7*20/6/2 0:41
愚かさの取り分自由詩1*20/5/31 22:26
ショー・マスト・ゴー・オン(脚本がすでに失われていても)自由詩3*20/5/27 0:34
Stay Free自由詩2*20/5/24 22:06
カウントを取るにはビートが染み込んでいなければならない自由詩2*20/5/21 22:06
現実だってたぶんまじないみたいなもん自由詩2*20/5/17 22:07
ぽっかりと空いた穴みたいな時間自由詩2*20/5/14 21:44
吟遊詩人の歌自由詩3*20/5/11 23:18
だったらrip it up自由詩2*20/5/10 23:33
プールの水は何色でも構わない自由詩2*20/5/7 23:13
ステラ自由詩3*20/5/3 23:47
寄生虫の頭を捕まえて喉から引き摺り出す自由詩1*20/4/30 18:14
いつのまにか空っぽの血管自由詩2*20/4/28 23:57
ボロボロに転がれ詩人症の骸自由詩2*20/4/26 15:14
金属のリズムに違和感があるのはあたりまえ自由詩2*20/4/23 21:52
濁流によって朝は足止めされてる自由詩1*20/4/20 0:29
気づけよ、ユニークなメイクを施してたのはいったい誰だったのか自由詩1*20/4/16 22:25
どこかの駅で誰かとすれ違うためだけに生まれてきた自由詩3*20/4/14 21:31
この街の壊れた玩具たち自由詩020/4/13 0:06
吸血鬼は棺の中で自由詩020/4/9 22:43
見苦しい、シャドー自由詩2*20/4/7 21:25
空瓶自由詩3*20/4/6 0:35
白紙のページを信じる自由詩5*20/4/2 22:08
老いたアスファルトの波の上、無機質ながらんどうのクジラ自由詩1*20/4/2 22:02

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