熱帯夜、青褪めた路上で血を吐いた
のたうち回る放熱の過去
祭壇はニコチンと、それから
もう少しイルーガルな煙に煤けて
性急過ぎたエイトビート、カタルシスの
生真面目な断絶の残骸
摩天楼 ....
卓上時計の刻みは前時代的で芝居がかっていた、造り物のオウムはけたたましい声で鳴き、そこに生命が無いことを殊更に訴えた、もちろんそんなことはどうしようもないことだった、オウムにも、俺にも…梁のように .... 洞穴を突き抜ける風が立てるような轟音がずっと聞こえていた。日中ずっと度を超えた太陽に炙られ続けて乾ききった身体のせいかもしれない。あるいはもっと他のなにか、もっと根の深い―ウンザリするような原因が .... 脳髄を満たし、頭蓋骨をなぞるように流れ落ちる観念的な血液は、ジェルのような生温い感触を塗りつけながら、といってもはやこの肉体にはどんな未練もないというように潔く落ちて行った、それはいつか精も根 .... あなたがわたしにかなしい場面をなげつけるように
わたしは少数のともだちの手をとって
はるかなうつくしい景色につれてゆこう
靴底はピアノソナタの砂をふみ
風は弦楽四重奏のようにしずかに吹くだ ....
子供のころから若さが嫌いだった、気に入らないことがあるとグズグズと駄々をこねたり、癇癪を起したりするのが嫌いだった
子供のころから若さが嫌いだった、学生服をほんの少しやんちゃにアレンジした、中途 ....
擬音的な焦燥が砂のように散乱したフローリングの暗い色のグラデーションを誰かの
ダイイング・メッセージのように読みながら疲弊し続けた今夜の遺言を日付が変わる前に
脱ぎ捨てた衣類には今日という名の ....
夜の在りかたはきみを気にしなかった、ただ次第に濃度を増して、それから失くしていっただけだった、きみは寝床に横になってはいたが、まんじりともしなかった、そして、頭の中にあるおぼろげなメロディーについ .... 冬のさなかのような目覚めだった、なにか夢を見ていたのかもしれない、その夢が心身を徹底的に凍えさせたのかもしれない、猛暑といえども明けたばかりの朝のなかではその牙はまだ剥き出しになってはおらず、冷汗 .... 左目の目尻を切り裂くような角度で強いビル風がブチ抜いて行った、顔をしかめ、額の汗を拭い、もう一度歩き出した、そんな些細な出来事のせいで、いったいどこへ向かって歩いていたのか忘れてしまった、まだ .... 動脈は情け容赦のない撲殺、静脈は金切声、細胞は無感覚なギャラリー、そんな蠢きの夜だった、与えられた寝床は求められたものと決して同じではなかった、湿気が強すぎたし、隣室には他人のものを覗いてばかりいる薄 .... おぼろげな夢のなかで
おまえは踊りはじめた
おざなりなワルツのプロローグ
おぼつかないステップの羅列

金属のような月明かりが
照らす板張りの床のうえで
同じリズムが何度も、何度 ....
誰かが酩酊の果てに履き損ねたきらびやかな厚いソールのサンダルが事故車みたいに銀行の壁脇に転がっている、その靴の持主はもしかしたらもう息をしていないかもしれない―理由はわからないけれどなぜだかそんな .... きみの苦しみのことなどおれは知らない
たとえばきみが家を失ったとしても
(気の毒にな、でも、おれじゃなくてよかったな)
そう
思うだけだ
だから
おれはきみには手を差し伸べない

 ....
光源は視認することが出来なかった、辿ることが出来るほど確かな光ではなかった、黒焦げの夜は冷めた煤の臭いすら漂わせているようで、俺はそれを解き明かすことを選ばなかった、ただ道路標識のように朝が来るの .... ルーズにこんがらがって
筆箱は本棚の二段目
トローチはテレビの下のラック
レターセットは引き出しに
昨日の夢は枕カバーと
洗濯籠のなかで眠っている
「明日も雨」と天気予報
家を揺らす ....
綿密に編み込まれた絨毯のように
今夜の気分はどこのどれとも言い難いものだった
沖縄辺りで停滞している台風のせいで
エアコンをつけていてもじめついた部屋だった
アリスが自殺した小僧の尻を叩い ....
ある時刻を境に街路は静まり返った、酔っていた連中たちは酔い潰れ、眠るかあるいは死んだ、お盛んな恋人たちは建物の陰でお粗末な絶頂を迎え、指を絡め合ってどこかへ消えた、忘れられた競馬場のナイター設備み .... その昔、ロックンロールがまだ不良の―不良の、なんて括りもどうだろかいとおれぁ思っちゃうんだけど、まあ要するに、そのあれだ、誰が言ったか知らないがセックス・ドラッグ・ロックンロール、なんて、つまるところ .... 狂った世界の鼓動からは
もう受け取るものはなにもない
梅雨の晴間のウザったい午後に
少し前に死んだ詩人の詩を読んでいる
俺の世界は幸か不幸か
たいして変化してはいないが
本棚に並んでい ....
喀血する連中の
猥雑な足さばきを見なよ
割れた石畳で
ブレイクビーツみたいさ

いつまで経っても周波数が合わないから
指先がバカになるまでチューナーを弄んでる
枯渇の上に怠惰を築 ....
散乱した無数の接続部品は古い血液のような錆に抱かれて暴動の後の死体のように
コンフューズはすべて同調してしまっているからラジオペンチじゃどうにもならない
アーカイブの欠落を塗り潰して初めからそ ....
一日中喋り続ける雨のせいで路面は市街戦のあとのように濡れている、歩いている連中の大半は敗残兵で疲労と絶望にどっぷりと浸かった瞳はいつでも、自分より少し劣る誰かを探している…陰気な自己愛という最悪な .... 近頃はなんだかテレビで誰某があんなこと言ってやがったとか政治家が遊んでたとかどこぞのスポーツでひどいラフプレーがあったとかでたんびに炎上とかなんとかでボサっと座ってテレビ観てるぐらいしか能のない烏 .... 俺の無機質を食う
お前の無機質を食う
俺の無機質はスイートで
お前の無機質はデリートだ
俺は気に入らないものには手も付けないが
お前はまずいものでも残せない性分だ
ずっとそうだった ....
冷たい水が流れてゆく先は
ここよりもっと暖かいところだろう
冷たい心が流れてゆく先は
ここよりもっと冷たいところだろう


名もない小さな流れに右手を浸して
青い星の温度を知 ....
猛り狂っている闇の濃度はストーンズの望むレベルをも遥かに凌駕していて、それはもはや景観というより心情とでも名付けた方がしっくりくる位だった、もちろんそんな感覚をそこらへんの連中に理解してもらおうと .... 記憶の紙片は幾度破り捨ててもそのまま失われたりしない、すぐに復元されて頭蓋骨の内側の隙があるところに貼り付けられる―おそらくは小さなピンのようなもので―そのわずか0コンマ何ミリの異物が、感情に奇妙 .... 砂地に沈み込んでいく靴底が見る夢はいつだって暗い地底の景色、目のない生きものたちが泳ぐ鏡のような水の世界だろう、底なしに飲み込まれるような怖れ、亡霊が足首を筋張った手で掴む、振りほどこうとする .... 泥土に埋葬された口にしてはならない感情の骸たちをわざわざ、多大な労力と時間を費やしてお前は掘り起こした、その死体は肉のように腐敗することはないが無残なまでにおぞましく…デジタルデータのように原型を ....
ホロウ・シカエルボク(1118)
タイトル カテゴリ Point 日付
波紋の残像自由詩2*18/9/6 0:10
たぶんどちらでもいいことだけど自由詩2*18/9/2 22:47
その振動が記憶している自由詩1*18/8/30 23:09
鮮やかな流血のまぼろし自由詩2*18/8/26 23:02
まだ、だれもみたことはない自由詩3*18/8/21 23:40
子供のころから若さが嫌いだった自由詩1*18/8/17 21:48
からっぽの世界に小石を投げ込む音を椅子に腰を下ろして聞いてい ...自由詩2*18/8/13 0:27
陽炎自由詩1*18/8/9 22:45
いったいどうしてこんなことを思い出したりするのかね自由詩2*18/8/4 22:21
台風と灼熱とゲリラ豪雨自由詩018/7/29 21:58
ラストマン・スタンディング(或いは暴いた繭の中の)自由詩3*18/7/23 23:35
ソリチュードのもつれ自由詩4*18/7/21 23:41
そんなことを話している間に自由詩1*18/7/16 22:13
メシア自由詩2*18/7/13 18:46
望んだような眠りがそこに訪れるはずもなく自由詩2*18/7/13 0:03
冗長な雨のリズムとだらしない詩情のジャム自由詩7*18/7/6 23:24
口先だけじゃどうにもならないよ、きみ自由詩5*18/7/2 0:12
街のもの言わぬ羽自由詩1*18/6/29 0:03
be here now自由詩1*18/6/28 0:57
生温い風邪の週末自由詩4*18/6/24 22:25
詩は記録される雨音自由詩3*18/6/14 23:13
カスケードのなかで不用意な感情は息を潜めている自由詩2*18/6/9 23:54
ロック・アンド・ハードプレイス自由詩1*18/6/6 23:52
わかったように言ったところで自由詩3*18/6/4 0:41
Inorganic(性質など関係ない)自由詩8*18/5/31 22:52
そこが始まりとするなら辿ってゆくだけのことだ自由詩4*18/5/29 21:43
ばらまかれて勝手に意味を作り上げていく(もうすぐ日付が変わる ...自由詩3*18/5/21 0:01
貯蔵庫が騒々しい―たとえそれを完璧に閉じ込めていたとしても。自由詩3*18/5/13 23:09
夜を落ち続ける(終わりが明記されないまま)自由詩1*18/5/6 22:39
けれどたしかにそれはいつも暗示されている自由詩018/5/4 23:32

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