植林公園のいちばん奥の、目立たない遊歩道の終わりで大っぴらにまぐわっていた若いカップルが、綺麗に解体された状態で発見されたのは三月の終わりの日曜の朝のことだった、四肢は根元からすっぱりと切り落とさ .... レディオヘッドのあとでぼくたちは
おもちゃの拳銃でたがいの心臓を撃ち抜いた
それで賞味期限はおわり
ぼくらのあいだにあったものは神さまへと返品処理された
不思議よね、と彼女が
「こん ....
劇薬みたいな陽射しの下で、きみは舗装道にむきだしの膝をついて、街の喧騒の中から知り合いの声だけを探し出そうとするみたいにじっとしている、視線は少し先の街路樹の根元を見つめていたけれど、本当に意 .... 逆回転のプレッシャーに耐え切れず、回転軸は歪み、それから、二度と、回ることは出来なくなった。軸中央に記されたシリアル・ナンバーは、モルグで割り振られるそれと同じ意味合いになり、つまるところ、埋葬さ .... ほんのすこし長く
少年で居過ぎたのさ
膨大な時計の回転のなかで
上手くやるコツを見過ごしてしまった
高速鉄道の窓から見える景色に限りがあるように
自分の思うがままに走り過ぎたのさ
ごら ....
路地裏の、闇雲に積み上げられたコカ・コーラのマークのケースの一番上の段からは内臓に疾患を抱えてそうな誰かの小便のにおいがした、睡魔で朦朧とした頭を手のひらの根元でがつがつと二度小突いて、ノーブラン .... クラクションはたった一度だった
きみはそれ以上
もうどんな歌をうたうことも出来なかった
雨はうらみごとのように降り
夜は馬鹿みたいに目かくしをした

なにもかも手遅れの明けがたに
残 ....
狂気は茸の胞子のように弾けて、部屋中を漂い、石膏ボードを隠す味気ないベージュの壁紙に羽虫のように止まる、ばらばらの間隔で点在するそいつらは、どこかの阿呆の妄想があれば星座になることだって出来るだろ .... 出鱈目に打たれた杭のような樹木の
日に焼け落ちたカーテンのような枝の隙間で
天使の抜殻が薄曇りの空を透かして濡れている
ヴィデオゲームは明確にエンドを表示するけど
人生ゲームのそれはあまり ....
はぐれた鳥の影を追って帰り道を失う午後、時計屋の入口の上の壁に張り付いたアナログの文字盤は大嘘をついてせせら笑っていた、ハレルヤ、いつもより少しだけ暖かいものだからテレビのキャスターは微笑んで .... あかりに頼ることなくあらゆるものを見つめようとする気持ちを覚えたのは幾つのころだっただろう?その瞬間のことは決して思い出すことは出来ない、たとえ自分の過去を洗いざらい探ってみたところで、その瞬間を見つ .... 欲望には名前がない、お前は、ガチガチに隆起した生臭い陰茎に幾重もの上等な理性の衣類をかぶせて、空咳みたいな微笑みを顔に張り付かせて表通りを闊歩している、慎重に計算された分だけ良く出来た嘘は真実より .... 俺は、まるでスープの出汁に使う魚の頭みたいにぶつ切りにされたいくつもの見知らぬ人間の死体と一緒に穴の中で横たわっていた、前後の記憶や感覚はまったく失われていて、自分がどうしてそこにそうしているのか .... もやのたちこめる裏通りを
うす汚れた天使が歩いている
ショック・ロックな服を着て
まるでアリスのダンサーさ

彼女のポケットにはリコリススティックと
ショート・ホープが二箱
滅多 ....
ベルベットの下には
死体からこぼれ落ちる
血液のような
ぬるりとした感触があり
流れている音楽には温度がない
倒れる時のことを思いながら
ステップを踏むバレリーナ
人生は、 ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように


まともなあんたは
ひびわれた ....


硬質ガラスの瓦礫、量子力学の悲鳴…空っぽの巨大な培養液のカプセル、デジタルラジオにはノイズの概念がない、なにも拾えない時間には探しすらしない、「信号がない」と、小さなディスプレイに映し出 ....
おれの周辺には
死刑囚の心情みたいな沈黙が堆積していた
それはぱっと見には
湧水のように床から滲み出たもののように見えたが
出処はそこではなく間違いなく余所にあった
マーク・ボランの
 ....
俺の細胞のひとつひとつには毒素があり、それが血に混じり体内組織を循環することで意味となる、通過した後の内壁は微量の劇薬に炙られたように荒れて、真白い泡を吹き上げる、それは流れに巻き込まれて同じよう .... ジョディ、おまえが産まれたのは
数十年に一度の月が太陽のように夜空で燃える
八月の終わりの夜だったね
いま、開け放たれた窓から見える月は
あのときのものほどではないがそれでも
やさし ....
そこらへんでいい連中が
そこらへんで手をうって
そこらへんで吹かし続ける
そこらへんの武勇伝
(ブユーデン、ブユーデン、レッツゴー)

誰かに言われた言葉を
誰かに教えられた道を
 ....
ある曇りの日の朝、公園の隅に穿たれたモグラ穴のようなものの中でおびただしい数の蜂が転がっている、それはみんな死んでいて艶を失くしている、いくつかのものはすでに炭化を始めている、木々の側で―木陰で、 .... ガラス管のなかに生身をむりやりねじ込まれるみたいな感覚が長いこと続いていた、閉塞感なんて月並みな言葉で話しても良かったがいつだってそんなものに真実を語る力などない…そこら中をうろついてる、在りもののイ .... 殺菌されているような灼熱の中
塞がれてはいないが、とうに朽ちて
忘れられた路の、ひび割れた路面に
おれが求めるうたはいつだって落ちている
摩耗したスニーカーの靴底で、搔き集めながら歩いてゆ ....
20時の路上で韓国タイヤに轢き潰された灰色ネズミが遺言のようにブルース
ショッピングモールの液晶ヴィジョンに映し出された若い殺人犯の既視感
民家の軒先にぶら下がる崩れかかったカラの蜂の巣は
 ....
時間は腐るほどあった、床に俯せになったままピクリとも動かなくなったそいつの美しい頭髪をひと掴み右手に巻き付けて力を込めてゆっくりと引っ張ると、やがて強情な雑草が抜けるみたいにごっそりと取れた、 .... すでに枯れ落ちた花のことを
長々と誰が語るだろう
赤茶けた花弁は路上に削られて
瞬く間に塵となるだろう


聖堂から微かに聞こえてくる祈りは
人間以外の何をも救うことは出来ない
言 ....
そんな粗末な寝床にかじりついて
どんな夢を見ようというのだね
おまえは堅実に生きることで
浅ましさを手に入れている

処刑のなされた丘で放置された罪人どもの血が
土に染み込ん ....
   1

おれはラウンジに横たわっていた、さながら、廃墟に忍び込んで出口を見失い、そのまま干からびてしまった犬の骨のようだった、ラウンジの日当たりはよく、太陽光は大きな窓から見えるフロアーす ....
古いセメントの欠片からはみ出した鉄筋がねじ切られた肉体からぶら下がる大小さまざまな血管を連想させる白昼夢、うだる暑さの中で皮膚をなぞる汗の温度がそんなイマジネイションに奇妙な実感を加味する、街 ....
ホロウ・シカエルボク(1118)
タイトル カテゴリ Point 日付
静寂がまた暗い口を開ける自由詩1*18/4/27 0:31
ほんとうに言いたかったのはたぶんそんなことじゃなくて自由詩2*18/4/25 0:41
おだやかな水の流れがすべてを飲み込んでいくように自由詩2*18/4/22 14:30
死を超えたものだけが本当に語ることが出来るだろう自由詩018/4/8 10:28
あの頃と同じように赤い自由詩3*18/3/25 1:29
朝陽のあとで自由詩2*18/3/18 1:20
Fallin自由詩2*18/3/16 2:12
いつだって気づかないところで孵化は続いている自由詩0*18/3/10 23:03
だから君はささやかに赤く光るセンサーに手をかざせばいい自由詩3*18/3/4 13:52
おだやかな道にとどまろうとしたって自由詩1*18/2/26 23:58
もちろん君がそれを誰かから受け取りたくないのならと言うのなら ...自由詩2*18/2/11 22:28
そしてリビングには少しだけ埃が積りはじめている自由詩3*18/1/28 21:54
本当に凝固しているもの自由詩1*18/1/17 23:15
上手く眠れないのならなにかほかのことを自由詩2*17/12/26 22:37
あしもとの小石を拾い上げること自由詩3*17/12/17 6:56
あらゆることが語り尽くされたあとに自由詩15*17/12/1 21:55
記憶がなくなれば永遠になることが出来る自由詩3*17/11/10 21:59
天国を待ちながら、だけどこの身体の居心地もまんざら捨てたもん ...自由詩2*17/10/30 23:57
ブリック・バイ・ブリック自由詩2*17/10/15 21:38
メモリアル・ムーン自由詩3*17/9/30 22:39
ソコラヘン自由詩3*17/9/25 23:43
目論んでいたんだろう―日の当たらない公園の一角で、ずっと。自由詩2*17/9/21 0:31
あらかじめなにかが窒息している自由詩3*17/9/19 0:07
羽音の思惑(かべのなかから)自由詩2*17/9/1 22:24
不愉快な手触りの街自由詩1*17/8/4 22:35
遠い世界の夜自由詩1*17/7/28 21:52
スタンドアローン自由詩3*17/7/24 21:53
試供品の朝自由詩2*17/7/21 0:51
日向の標本自由詩1*17/7/20 22:14
思考は瓦礫の中で自由詩1*17/7/17 22:34

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 
0.12sec.