枯れた樹木が
腐って落ちるように
あなたは居なくなった
あしもとには
かさかさの
かけらが残るばかりで

死んだから永遠
なんて
わたしは
疼く血が好きだから
そんなもの
信じ ....
受話器を耳に当てたけれど水難事故の被害者の泡音が聞こえてくるだけだった、そこでそうそうに電話を切って、そのとき電話が鳴らなかったらしようと思っていたことを実行しようとしたけれど、それがなんだったの .... ラジオの音は好きな音楽よりも投げやりでよくて
だからラジオの中で眠ることにしてる
住んだことのない場所の局がいい
まるで想像出来ない道の交通情報を聞いて
馬鹿じゃねえかとひとりで笑ってる
ね ....
一番愚かなことは
放課後の中で学んだ
一番美しいもののことは
禁忌の中で学んだ
一番罪深いものは
日常に転がっていた
一番悲しいものは
自室の本棚で震えていた

引戸の滑りが駄目にな ....
世界が目覚める前に
おれたちはそこにいて
翳りと虚ろを抱いて
道路標識の下で
帰路を忘れていた
腕時計は電池切れで
携帯の充電もあとわずかだった
夏の装備じゃ思ったより寒くて
自販 ....
愛は大事だとか
戦争はいけないとか
言うまでもないことを
至極当たり前の話を
さもオリジナリティーのように
さも斬新な意見のように
ウンザリするぜ
アキアキするぜ
吐気がするぜ
 ....
死体のように冷たくなった身体を薄っぺらいコートでくるみながらほとんどの店がシャッターを下ろした真夜中の繁華街を歩いた、まだ秋が来たばかりなのにその夜は縮み上がるほどに寒く、そしてそれはもしかしたら気温 .... 夜は燻りながら、いのちの方角へと転がっていく
俺はそれを見つめながら、道を知らない子供のような
顔で
燻製になった魚の心情を体内で模写する

よどみの中、腐りかけた水の中
まるで親指大 ....
いのちがありすぎる
言葉はひしめきあい
ぼくは
茎のねじ曲がった花になる
おぞましい受粉をして
土を黒く染める
あなたへ
あなたへ
いま
あなたへ
寄りつけるなら
まだ見ぬ地平へ ....
命無き波のように打ち寄せる虚ろには必ずふたつの目があり、そのどれもが焦点がずれている、右目のほうが少しだけ内側に入り込んでいるのだ、それはまさしく俺の目であり、早い話、俺は俺そのものに飲み込まれま .... 脳髄を静かに掻き回すマイルスのエレクトリック
インスタントコーヒーの粉を食パンにぶちまけて湯を飲む
退屈にかまけた下らない遊びさ、ハナから味なんか期待してない
だから心配しないで、俺はまとも ....
虫どもが敷き詰められた海で俺は溺れている、もがくたびに軽いやつらが水しぶきのように中空に跳ね上がる、全身に、特に、目の端と口のあたりに、耐えがたい恐怖と不快感がある、溺れそうなのに口を開けることが .... 湿地帯に埋葬されたしらばっくれた不浄物霊たち、最期の呼吸をメタンガスのように吐きあげて黄泉へと消えていく―夕暮れ、赤トンボの群れが爆撃機のように中空を彷徨い、俺は眼窩を刳り貫かれた女の幻影を見てい .... その月三度目の土曜、部屋の南側にある薄っぺらい窓の下の壁に、血で書かれた詩があるのを見つけた、そんなものを書いた記憶はなかった、けれどそれは、自分自身が書いたとしか思えないものだった、袖をまくり、 .... 路上には浮かれた連中が捨てていく安易な欲望の欠片だけが残されている、どこかのビルの三階か、四階あたりにあるスナックの開けっ放しの窓から聞くに堪えない歌声が垂れ流されている、腐敗してドロドロになった .... 廃道の縁石の上に腰かけて週末のブルース、三連符のリズムで歩道を啄む鳩ども、フライパンの上の季節、なにもかもまるで白昼夢のようさ(夢じゃいけない理由ってなにかある?)寝転がりたいくらい草臥れてるけど .... 殺意がある
おそらくは
得体の知れないものを
殺るための
そうして
奇形してゆく
正常な道を辿るために
入り組んだ鍾乳洞に
明かりもなしに潜り込むんだ
石のつららで頭を打ち
濡 ....
言語は解体され、意識の破片となって、冷たい寝床で検死医を待っている、風が鳴くような音は、体内に残留した空気が逃げ場所を探す音、死後硬直のトーンは灰色、アルミニウムのような冷たさだけがそこにある、空 .... フォー・ビートが沈み込んでいく
目録のない夜の隙間
非常階段の泣声
男か女か分からない

カルヴァンクラインの残骸
浴室に注射針
充血した瞳が
最期の瞬間に見たものは

あなた ....
どうにも目がさえて眠れないので
今日の夢をゴミ箱に捨てました
今日の夢は泣いていましたが
何も言わずにゴミ箱に蓋をしました
ひとは残酷ないきものです
ティン・マシーンを聴いていてふと
 ....
土の中に溺れた
午前三時の記憶は
白い朝に焼かれて
跡形もなくなる
海沿いの埃
引き潮にさらわれ
光の
届かないところに…

海獣のボーン
砂を撫ぜ
小さなアンサンブル
音 ....
根源的な飢餓が髄液を澱ませてでもいるように、奇妙な焦燥がゴキブリみたいに心臓を徘徊していた、何度瞬きをしても視界は良好というレベルには至らなかったし、チカチカと水晶体のすぐ側で忌々しい明滅が繰り返 .... 青褪めて膿んだ昨日はクローゼットの右奥の隅で見事なまでに腐食した、捨てた言葉が弾帯のように連なってそのそばに転がっている、俺は聖書を読んでいた、大型電化店のセールのチラシを眺めるみたいに…激しい雨 .... 「これはこうだからこうしなきゃいけない」
そんなもんに
これっぽっちも興味はねえんだわ
決まり事をなぞってどんなもんが出来る?
ほら、ご立派な講釈垂れてる、おまえ
日本車みたいな味も素っ ....
名もない
小さな舞台で
見すぼらしい役者が
2、3の台詞を与えられて
得意になって喋っているが
表現は容姿と大差なく
筋書きも
よくあるつまらないシロモノだった
俺は心底まで退屈し ....
部屋の中で雨が降り続けているみたいに思えるのは、俺の血が滴り続けているからさ、いや―自傷趣味や頸動脈切断とか、そういう類の話じゃない―俺の血はいつだってこんなふうに、行場を失くして沸騰して飛び出したが .... ドブネズミの頭骨だけが綺麗に積み上げられた路地裏の酒場の看板の下にコカインの包み紙、側溝にかぶせられた石の蓋は片っ端から破壊されていて、外灯はけたたましく点滅している…メタリカのショーみたいに…焼 .... きみはぼくだった
ぼく以上に
ぼくをどうすればいいかわかってた
調子がいいときは
犬を放すみたいにほうっておいてくれたし
つらいときには
適度に気にかけてくれた
でもいま
きみはたった ....
嘔吐、のようになまぬるい夜を落ちていくそれに、名前をつける気などあるものか、おれはとうの昔におれ自身ではなくなってしまった、いや、忘れてしまっただけかもしれない、けれど、それはいま語るのに必要な言 .... 動物の在り方を身に宿し牙の位置を整える、吠えるなら大声で、囁くならいっそ口を閉じて、己の心を恥じればいい、自分で処理出来れば人目にさらすこともない…とはいえ、それが出来るくらいならハナから真っ当な ....
ホロウ・シカエルボク(1118)
タイトル カテゴリ Point 日付
すぐに乾いてしまううた自由詩2*20/10/17 21:16
I Won't Grow Up自由詩1*20/10/14 21:42
ラジオの気楽さのままでよろしく自由詩1*20/10/10 21:22
天国はここ、って歌ってたやつもここからはいなくなったし自由詩5*20/10/9 8:37
からっぽの夜自由詩1*20/10/7 16:02
この素晴らしき世界自由詩1*20/10/3 0:35
羊たちの烙印自由詩020/10/2 0:05
別に詩人なんてもんになったつもりもない自由詩1*20/9/24 21:26
カサブタ自由詩2*20/9/12 21:24
いずれすべては跡形もなくなってしまうけれど自由詩0*20/9/9 22:28
足音が聞こえないやつこそがいちばん長い距離を歩いている自由詩2*20/9/4 0:45
BURN自由詩1*20/8/24 22:30
夜の始まりに甘いケーキを自由詩020/8/23 22:57
Terminal Frost自由詩1*20/8/16 22:29
失点自由詩2*20/8/8 23:02
歩くことひとつにしたって語り尽くせるようなものではない自由詩1*20/8/1 18:37
鏡像自由詩1*20/7/29 4:26
乱反射する生の所在地自由詩2*20/7/27 17:03
世界中のさよならの鐘をふたりで自由詩3*20/7/25 0:23
夢を見るのは悪いことではないけれど自由詩12*20/7/19 10:02
Fuck the Facts自由詩3*20/7/16 15:44
それは広がり続け、そして深くなり続ける、そして二度と狭まるこ ...自由詩2*20/7/10 23:43
たったひとりのためだけのものぐさな神を引きずり出す自由詩3*20/7/7 5:40
目を開け、自分で立て、常に新しく始めろ自由詩3*20/7/5 1:14
踊ろう、マジな月の下で自由詩1*20/7/3 23:21
赤く塗れ自由詩1*20/6/30 8:42
骨になったら壺のなか自由詩020/6/28 22:19
ソファーにこわれもの自由詩3*20/6/24 1:58
独白は灯りの真下を避けて自由詩1*20/6/22 22:04
その世界の爆発はいつだって生臭いほどの赤みに満ちている自由詩020/6/19 22:38

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