偽物のイマジンが街を闊歩している
俺はガイガーカウンターを海馬に埋め込んで
徹底的に感染を拒否する
ヒステリックな世間の声
真剣さこそが真実だと
信じて疑いもしなかったやつら

パリコレ ....
海岸に流れ着いた死体は
名前のないまま葬られた
世間から隔離された
小さな漁師町の住民たちの優しさは
どちらかといえば退屈から来るもので

テツは一五歳
マチは一六歳
ラノは一四歳だっ ....
ラジオペンチで脳味噌をむしるような音が右耳の奥の方で聞こえている、少し湾曲していて、角度によってはまるで聞こえない耳の中で…たったひとつの音譜のスタッカートで塗り潰した楽譜の初見演奏のような旋律だ .... 二七度目のクラクションのあとの殺人事件、三十代のサラリーマンは運転席で生涯の幕を閉じられた、みぞれ交じりの雨が降る二十二時のことだった、アスファルトに流れた血液は真っ先に車道脇の排水口へと姿を消した、 .... なにもない
なにもない
なにもない部屋を塗り潰して
深海の色に変換した
息の続く海底で沈んだまま
太陽に焼かれる夢を見る
三月
手のひらのなかで
なにかが
握り潰された音がしたけれど ....
眼球のピントは崩れ
右目と左目があさっての方を見る
世界は歪んでいる
その目には確かにそう見える

交通課の事故処理ばかりを目にした一日
救急車で運ばれる誰かの呻き声
深刻そうな顔し ....
辺りを見渡せば意図塗れの言葉を吐いてる魂の貧民窟に住んでるやつら
俺が笑っているのはお前らの自尊心がひどく間抜けで仕方がないからさ
いまその場で誰かをやりこめることしか頭にないんだろう
目先の価 ....
騒々しい球体がずっと頭蓋骨のあちこちを転がり続けているみたいな目覚め、ふやけた景色が見覚えのあるものに戻るまで起きていないふりをして憂鬱をやり過ごし、生存確認のような慎重さで身体を起こし気温の低さ .... あなたは世界をかくすほどの傘をさして
しのび足のような雨のなかを歩いている
ひらひらするくるぶしまでのスカートはすこしだけ濡れて
きれいにふちどられたショートケーキのようだ

つばめは果 ....
閉ざされたままの部屋の、すりガラスの小さな窓のついたキッチンの床に腰を下ろして、目を開けている時に見える夢にうつつを抜かしていた、部屋は隙間風ばかりで寒く、記憶とともに凍てついていて、それはもはや .... 老いた肉食獣の牙のみで作られた寝台に横たわり、遺伝子に染みついた生温かい血の記憶を弄っていると、脳味噌の隙間に瞬く光がある、針の先のような小さなそれは、けれど深くまで届くような鋭さも感じさせる、俺 .... 亡骸の幻影を抱いて
流木の間を
記憶を縫い取るように歩く

靴底を受け止める
砂浜の感触は優しく
けれど
優しさというのは
時折
無関心と同じで

巡回機のようなカモメたち
薄 ....
見知らぬ駅に降り立つ夢、駅の名も、電信柱に括りつけられたスピーカーから流れているローカルラジオの内容も、その時電話していた相手の名前も、その内容も、駅側のモニュメントのところで出会った年配の男のこ .... 瞬きのように
古い明かりが
点滅を始めて
一日のおわりの
非常信号みたいに

すべての支度は終わった
あとは眠るだけ
眠りなどしないだろう
往生際は悪いほうが潔い
ほんとうに美徳と ....
波を押し返そうとするみたいに冷たい風がひっきりなしに吹き付ける二月の海岸には僕ら以外人っ子ひとり居なくて、そのせいで僕たちは足跡ひとつついていない砂の上を多少の引け目を感じながらずっと、アイロニカ .... おれの首筋に手を伸ばしてくるやつら
おれの息の根を止めようとしてんのさ
「そら、こちらの指はここにある、少し力を込めるだけでいい」
そんなふうに撫でてみせるんだ
おれは気付かないふりで、そ ....
薄暗い部屋に降り積もるものは
決して言葉には変えられないものだから
静かに瞳を閉じて
それが浸透するのを待ちなさい
あなたは自らそれを
うたにしようとしてはならない
血に変わる前に解き ....
アシンメトリーな幻覚の調和、眼球をくるむみたいに薄く広がり、俺は制作途中のアンドロイドの頭部のように身じろぎもしない…そういうとき、どんなふうに動けばいいかなんて判るやつは居るか?居やしない、賭け .... たしかレイモンドとかいう
古臭いペンネームの小説家の女が
205の明かりを消したところで
向かいのマンションは奇跡的なビンゴゲームの
結果みたいに真っ暗になった
午前二時には珍しいことさ ....
冷えた水道管が時々、石膏ボードの向こうで短い悲鳴のような音を立てる、闇雲に詰め込んだ食事を腹の中で撹拌しながら、窓を這う虫の数を数えていた、ここ数日、ひどく目を凝らし続けていたせいで延髄のあたりが .... モニターの中では性具のような光沢を持つ拳銃をこめかみに押し当てたブロンドの若い女が眼窩いっぱいにまで目を見開いて笑い続けていた、それが冗談なのか本気なのかすぐには判断が出来なかったが、引鉄にかけた .... 冬の日はどこまでも喉に突き刺さり、痛みと共に脳味噌で弾けるシグナルはいつも、とてつもなく鋭利な刃物によってつけられた鮮やかで細い傷みたいで、呼吸によって生まれるものを俺は血だと錯覚してしまう、勝手 .... 時間を掛けて、俺はそれを解体する、もう暴れることはない、俺に手を掛けさせることは…もともと、そんなにたいした手間じゃなかった、背後から延髄に一撃、それだけでよかった、意識のないままの悪あがきが、数 .... 鈎爪の傷跡みたいな疼きの記憶、冷えた床の上で陽炎のようにゆらゆらと燃えさかる、心許ない火柱の真ん中の羅列が今夜俺を掻き回している…ラジオ・プログラムはチャイコフスキーを垂れ流していて、その旋律は医 .... 分厚い硝子瓶の表面には精巧な細工が施されていた、じっと眺めているとそのうちに、想像上の神殿の回廊にでも迷い込んだかのような気分になりそうな気がした、おそらくは花瓶だったのだろうそれは、なにをいけら .... そもそも最初に仕掛けてきたのはてめえだろ
やり返したらブチ切れるってどうかしてんじゃねえのか
俺はイーブンに戻しただけさ
いつまでもゴネてるとマジで容赦しねえぞ
てめえ、ブ、ブ、ブ、ブ ....
回転する序曲の韻律はすべて逆さまだ、首を傾げたって上手く読み取ることは出来ない、そんなときは頭で理解しようとしないことだ、頭で理解すれば理屈っぽくなるだけだ、イメージを読み取るのさ、まんざら素人で .... ある休日の午後のこと、見覚えのない番号から電話がかかって来て、退屈に任せて出てみたら懐かしい人間からだった、もう二十年近く前かな、同じホームページサービスで知り合った男だった、お互いに詩を書いてい .... 苦しみの記憶のように手のひらは赤く血走っている、毛細血管のなかを歪みが駆け巡っている、おれは繭のようになにかを抱えようとした姿勢で横たわっている、脳裏には真っ白い壁を放射状に散らばっていく亀裂のイ .... さようなら、うつくしい雨が消えていく
冬の破片があちこちできらめく街
ささやかに風の模様が刻まれた傘をたたんで
きみはアーケードの中へ姿をくらませた

九十日垂れ流されたクリスマスキャロ ....
ホロウ・シカエルボク(1118)
タイトル カテゴリ Point 日付
満足できない自由詩4*20/3/29 10:55
からっぽの世界自由詩8*20/3/22 23:46
生きてるノイズが屠るものは自由詩020/3/19 23:10
長い自殺みたいな正義に囚われたやつらの顔を見てみなよ?自由詩2*20/3/16 15:39
深海の寝床で自由詩2*20/3/14 22:37
耳の傾け方を習うのは何よりも難しい自由詩3*20/3/12 22:45
決闘か人殺しか(あるいはみみっちい小競り合いか)自由詩2*20/3/8 22:05
アイ・ガット・リズム自由詩3*20/3/5 22:36
雨の日、うつくしい使者と自由詩8*20/3/1 22:27
画用紙の上に散らばっていくクレパス自由詩1*20/2/27 23:02
血塗れの船で果てしない海を渡れ自由詩2*20/2/23 21:13
今夜、この砂浜に座って自由詩7*20/2/20 22:05
ないものがあらゆるものを塗り潰す自由詩2*20/2/18 6:42
アラウンドアバウトミッドナイト自由詩4*20/2/16 22:38
あの娘は灰色の中に消えた自由詩3*20/2/13 22:32
プラットホームなんかたいした問題じゃない(どちらかの手に切符 ...自由詩2*20/2/9 21:53
わたしたちは死体のようにただ希望を受け止める自由詩2*20/2/6 22:27
機械的な清潔の上に横たわる混沌のあらすじ自由詩1*20/2/2 21:59
こちらは閉じられ、あちらはよそを向いている自由詩3*20/1/31 23:29
サウンドとヴィジョンだけの短い夜の話自由詩2*20/1/31 22:02
同じ川で汲み上げた水は混ぜればひとつの水に戻る自由詩020/1/26 23:28
鏡像は俺でありながら俺ではないものを垂れ流している自由詩2*20/1/23 22:59
Eat The Rich自由詩1*20/1/19 22:00
そういうわけで俺は今夜も禍々しい陽炎と対峙している自由詩020/1/16 22:16
アンダーカヴァー・オブザナイト自由詩1*20/1/12 16:24
ブッコロ自由詩3*20/1/8 17:31
廃棄物になりたくないのなら自由詩2*20/1/5 21:49
明々後日の方向自由詩1*20/1/1 23:23
陽炎のような真実の重さを自由詩3+*19/12/29 22:16
Spring Can Really Hang You Up ...自由詩3*19/12/28 22:24

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