誰もいない
公園のベンチで釣りをしているふりをした
子どもの頃に見た 銀の魚を 釣り上げた
それは水のぬるい夏のさなかのことだった
また 夏がきた
冬が私の目の前を通り過ぎるとき
そこ ....
誰もいない風が隔てるものとは何だろう
僕がそれを感じるとき
道で立ち止まるとき 夢を見た気がする だけど
それは 日曜日の終わりを見せてくる いつも
部屋でテレビをつけると いつも
....
空を見上げた
目の前にはないが そこに自分が
生きていることを認識させられる木が生えていた
海の中でも 生きていける木だと 目を閉じた
出かけるときに心の中で土を思う
水に潜っても ....
今日も何もなく
何もない家の扉を押す 今日も
部屋の鏡に 自分のシルエット
それは不確かだが 何もない自分に
確かに いつものようにある 不確かな家の
風が吹けば 家の中に 確かに
風 ....
今日街で
出歩く人々の背中を見ていた
僕も 彼らの流れに分け入って
流れる方へと歩いていった
だけどどこへ向かっていくのだろう
ここではない 心の中で思う場所へ
だけど思いもしない ....
誰もいない
立っていた 街の中に
立っていることを特に意識することもなく
そこに 立ちつくすこともなく
夏がはじまり
目を閉じた僕は
目を 閉じたまま
また 冬が 来る
な ....
誰も知らない
夜明けが開けた時 僕は
コーヒーショップで考えごとをする
飲み物を飲む
きっとアイスカフェモカをすするだろう
いつも軽視していたことを
そして 考える 苦みの中で
....
誰もいない
風がいつも吹いている
そして 風が そうおもうときに
寂しく肩を 通り抜ける
そして ページをめくる
いつも 誰もいないから 本を読んでいる
僕がそこにいる
薄 ....
僕はゴーヤを育てている
最近 ベランダで だけど 何も無いよりましだろう
僕が育てている ゴーヤは 鑑賞するには
あまり美しい植物ではなかった
そして僕はコーヒーを飲んでいた
ぼ ....
僕は若い頃買った
ギターを売り払った オークションで
弾かなくなったから もう
邪魔だった
それから 売った
スノーボードも
僕は あいつを 思い出した
昔の 素敵な 友達を ....
女たちがまた
向かっていく 風俗街 そして
何も言わずに入っていく ピンク色の壁の中
薄暗い店の中は いつも 寂しい
そんな風にして 出かけていった
寂しい男も夜になると集まってくる ....
誰もいない夜に落ちていく
眠りの中で 目覚める時に
このまま 永遠に 僕は
帰らぬ人となりたい時もある
東京に出てきて
もう 何年だろう 悪いことばかりで
良いことはなかった 振り返れ ....
何も浮かばない時
詩を書いた 僕
何か そうだった
何かが浮かぶと思った
風が 強い日
扉を 部屋へと 開ける
乾いた 手で
中に入り
窓の外を見る
揺れる 草木を
見 ....
誰もいない夜
クレジットカードの請求額を確認していると
代々木駅の 駅前に
並んだ食堂が 頭を掠める
どこに行くというわけでもないけれど
ゲームセンターではない
そんな気がする 記憶が ....
考古学博物館で印象に残ったのは
ペンダントの形の小さな昆虫 だけど
その姿を 近所の空き地で探しても
それはどこにも見つかるはずもなかった
青銅器の鏡を前にして立ち
じっと見つめていると ....
新宿でギター弾きの
寂しい歌を聴いていた僕の
何もうまくはいかなかった 夢が
想像した 瞬間を 見つめる
帰り道はあるだろうか
あるだろうと思うけれど
道に立ち止まるとある それは ....
山手線から埼京線に乗り換えようとしたけれど
でも すでに行ってしまっていたようだった
風が吹いていた そこで ひとりだった
ひとりだったから不愉快なことは何もない
線路というのは
....
生きていると
うれしいのだと
悲しむ 意味を
時計の針に探す
賑やかな日
目が覚めた世界 僕は
開いた本は 捨てて
目を開いたままでいる
誰もいない夜明け
失った 言葉を
死ぬのかもなと
本を 電車の中で
光にあてがっていた
今日も 部屋のふとんに入って そして
メトロのキオスクで雑誌を手に
きっと売り子と約束の ....
誰もいない海に立ちつくしている時
去年の思い出を思い出している僕は
誰のためだろうということを思い描いていて
何のためなのかと腕を組んで考えていた
昔ここには来たことがあるとテトラを横 ....
粉のような人間になって
自分を粉砕していたい
そう思えるようなときがある
実際は体が疲れているだけなのだが
防波堤に立ちつくしていると
冷たい風が 体を突き刺すから 何もない心のまま ....
街角で
色々な人間とすれ違う
陽気の中を
何か忘れて
そして短い詩を書くだろう
靴を履いて
静まった街に出て行く
誰かと会いに
行くのだろう
行くだろう
わからないが きっ ....
朝は 誰も知らない ミカンだった
街の中を 歩く 遠い 朝は
朝のミカン一個で 家の扉を押した
あまり よいことは 朝はなかった
山手線に乗り込むと 新宿駅で
人の渦に 巻かれ 池袋 ....
公園の中
牛乳パックにストローを通す
遠くに緑色のタイヤ館の看板
今がただあまりにも寂しすぎた
思い出は 遠い
近くには
でも 書くことも 見あたらない
ありふれたものばかりが転がっ ....
誰もいない日に
私は寂しい目を閉ざした
眠りにつく 二月
外はとても 寒かった
プライドは 持っていたい けれど
東京の 冷たい 風が 私の体を突き刺していた
迷いながら 新宿の路地を ....
何もない日に
眠りに落ちる
思い出が何も見あたらないのに
なぜだろう
さすらいのソロキャンパーだった 僕は
昔泳いだことのある 記憶にうかぶ
テトラのつみ重なった 灰色の向こうを見つめ ....
明日への鍵を探して
歩いた
道の上を歩いた
どこにも 何もなかったが
それは本当に昔のこと
庭で 寝ていた 昔のこと
白い靴を洗って
日を体に浴びていた頃のこと
誰もが自分 ....
ろくに誰とも話もせずに
行きたいと思う場所を
思い出の中に見つめたけれど
すでにそこには何もない
色々な自分を思い出した
アマゾンの商品や 僕の
軽音楽で 響かせる 頭を
寂 ....
家に帰りたいと
思う僕は道に
部屋すらも見えなかった
部屋で 立ち止まった時に 道の
山の中を流れる世界に
心の中で 指を 触れながら
歩き続けたその掌で
色々なことを考えながら ....
僕は何もない
道の縁を歩く
そこには何があるのだろうかと
コンクリートの中に存在するものを見ていた
僕は考えていた
子供の頃に見ていた夕暮れだとか
人間は死ぬのだということだとかを
....
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