すべてのおすすめ
何者かの足音が君の耳に届いている
君は空耳だと思う
不安な風が頬に触れる
君は錯覚だと思う
ある日子どもが水に落ち
誰も気づかない
最後の吐息が泡となり
水面でかすかな破裂音 ....
私とはたたずむだけの造船師
船を壊しては 旅する 世界の中
私は 遠く舞い上がる 火の粉を見る
バラバラの部品を探し続ける
海の向こうは アメリカ大陸が広がるだろう
その向こうには ヨーロッ ....
近所のフランス人が遊びに来て
ニンジンを食べて行った
日本のニンジンはとても美味しい、と
たいそう喜んで
お礼にエッフェル塔の置物をくれた
大きさからしてどう見ても
偽物のエッ ....
彼岸の郷に咲く花を
忘れられぬ男が
夢の中より盗み出し
気付かれぬように植え付けた
時期来れば
あらぬ処より
燃ゆる命を現わし
気付かぬ者にも気 ....
身体とこころが、一番遠い日
時計はひとつだけではない
空腹を知らせてくれるのも
まぶたに重みを加えるのも
呼吸を始めるのも終えるのも
全部がばらばらに針を向けていて
アラームはそれ ....
わ・た・し・は
言葉をモザイクのように使う
言葉をクレパスのように使う
言葉を釘先のように使う
言葉を水のように使う
言 ....
弓を絞って
矢を放つような跳躍が
理想だ
一跳びで
虫籠の傍から去る
一切余計なことはせず
一瞬で決める
子供のために
理想を断たれてなるものか
小さな手で握り返した
精一杯の自己主張は
脆くも崩れ去り
斜めの世界で
命を耕しては
空の彼方が憂いを帯びる
いつもさようならは
口に出来ずに
終わりのない結末を
月の欠片が反射 ....
オーボエ奏者のボナンザがある日こう言った
20000人の観客を前にステージの上でこう言った
愛用のオーボエを床に叩きつけながらこう言った
茫然とする楽団の面々には目もくれずにこう言った
客席の ....
午前三時
世界は暗い
冷え切った部屋の中で
彼らは
午前四時
未だ闇が地上を覆う
毛布にくるまった
彼らは
月は赤く
少しずつ
地上から遠のいていく
眠れない子供らがそれ ....
一人の子が転倒した拍子に
持っていた飼育ケースの蓋が外れて
甲虫が飛んでいってしまったことを
なかったことにしたいと思って
その子がもうすぐ起き上がって
気を取り直すまでの空白を用いて
誰 ....
ねじ式の少年のように
医者を探す為に放浪することもなく
私は医者を見つけることができた
いくつもの検査
結果ステージ2
決して嬉しくない医師のお言葉
手術室へ向かうベッドのアト ....
難破船が、出港する。船であるからには。海が。あるからには。心優しい、友人たちよ。惜しまないでくれ。わたしは。幸福とひきかえに、世界を。手にするのだから。
※
棒のようなものを、ふりまわす。 ....
適当な理由をくっつけて
飽きたらそのへんに放り出して
腐ったリンゴみたいに
もう見向きもしなくなる
キモチよさが
理性のタガを吹き飛ばす
そのたびに
たくさんの残骸が
....
一人ぼっちは
口をあけた大きな
獰猛な生き物に
食べられて
腹の中
犠牲者を待つような
さびしい気持ち
夢で書いた適当なことを血とかみたいに綺麗な水にひっ叩いてみたよ
どうしてイメージは考えてる時に燃えてくのだろう
じゃんぷした ままあの耳がもえてる
どうして時計の針に考えたぜんぶ吸い込まれてしま ....
遠くの景色が色あせて見えるのは
きっと目の錯覚ではないのだと
あなたは言う
僕はその意味がわからなくて
朝から晩まで遠くの景色を眺め続けた
そうやっているうちに
五月が終わろうとし ....
まだ見ぬ女性に電話する
「あなたは、マグリットが好きでしょ。」
確信を持って私は伝えた
当然間違えるはずなどない
羊水に浮かび私達は遊んだ
35年間ぶりに再会した
ATGCの配列が ....
{引用=
五月の渚を
散歩する白い幽霊
恋人の笑顔で振り返って
消え去る
現実ではありえなかった情景に
こんなにも度々顕われ
胸を痛ませる
....
鯨に住んではや十八年。
十八年間ひきこもり。
一度も外へ出ちゃいない。
積もり積もった借金のがれに、苦肉の策で鯨に住んだが、こいつが案外居心地がいい。
絶対安全な隠れ家を貸します、ってんで ....
新緑の季節
五月の朝の陽光を浴びた
ニコライ堂 緑青に覆われたドーム屋根
明るい陽光に
くっきりとした陰影を残した
コンドルの遺産は
一二〇年経った今日も
聖橋から靖国通りに向かう坂 ....
1
絵に何一つ抱くこともない思いを、人は車で追いかけるのだろうと、私もハンドルを握っている。
2
味方が敵軍なのだと思った陣地から、兵士たちは帰ってこない。
3
やつれ果 ....
光は動き
樹は見つめる
はざまの前に立っている夜
はざまは風になってゆく
双子の夜の片方が
先に朝を知ったので
昼はななめ
夕はななめ
光が変える絵 ....
とん てん かん
あなたの息が
皮膜を揺らす
....
時間がねえのに逃避して
関係ないことしてるお前
中途半端に罠へとおちた
常にはまる切ないなんて
全く思わず呆れる阿ほう
自覚してどうすんのおい
早く準備に取りかかれよ
明 ....
ここで崖が崩れたことがあった
大勢が土の下に埋もれてしまい
まとめて葬式を出すことに決まった
それにはとむらいの家の数にだけ
茶碗をかけらに砕き
使者に持たせて知らせとする
各家がかけらを ....
廃棄された自動車のモノトーン
雑草に埋もれ かろうじて見える車体
タイヤもなく ほとんど原型をとどめていない
昔に思いを馳せたところで
この草むらから抜け出る術を知らない
....
どんなに
大事に思っても
届かぬ恋
どれだけ
努力しても
繋がらない運命
どうしても
出来ない
ちょっとした信用
どれだけ
抱きしめ合っても
足りない愛
誰もが ....
愛の花が咲き乱れる楽園にて
相撲大会が催されると聞きつけ
腕に覚えのある男たちが集結
3日3晩におよぶ熱戦を繰り広げた末
新しい愛のかたちに目覚めた彼らが
万人に幸せを分け与えんとして
今 ....
日なたで
ろうそくを点しましょう
大丈夫、
それは遠目には
よくわからないから
わかるのは
あなたの顔の
おおよその向きだけ、
でも
そんなわずかな情報さえあれば
....
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