すべてのおすすめ
どれだけ
つまらぬ嘘を聞いたら
あなたを嫌いになれますか
さびしがり屋の
つよがりをみせに やってくる
そんなあなたを
待ちくたびれ
生きていれば
いいこともあるさって
一緒 ....
あ、
鈴虫が鳴いているぞ
あ、
夜空には、まんまる。――お月様だ
あ、
庭の草むらが揺れた
あ、
眼の光る、狸が一匹。
あう、
あぐらを ....
そう
お月さまをバラバラしたの
あたし
とんかちでね
えいってやったの
いいでしょ
これでおあいこよ
伝えたくて
伝え切れないもの
捨てたくて
捨て切れないもの
慌てふためいて
掴み損ねたもの
握り締め過ぎて
壊してしまったもの
煩わしいものたちを
もう一度抱き寄 ....
泉屋のクッキー缶の中に
アルバムに入れていない古い写真が一枚
モノクロームの色あせた写真には
小さな自分と親父が写っている。
庭の小さな葡萄棚の下
ふざけているのか本気なのか
親父に髪 ....
裂礫を繰り返して
果て、
新しい暮れに出会う
カワラヒワの子供は
膨らみすぎたその羽根を
もどかしげに絡げ
留める
望まれる正しさを経て
邂逅する
みなそこの白骨
長いあいだ
気づくことがありませんでした
そう それは、旅人たちのしごとなのですね
忘れそうになれば 時にさそわれてくる
軒先に落ちてくる雨色の
無定期の知らせは、
空を裂く
雷 ....
この季節になると思い出します
行きも帰りもバスでした
山奥の芋煮会場に着くと
澄んだ風が吹いていました
肌が乾いてなつかしい気がしました
網目になった体を
すうすう吹き抜けてい ....
巨きな木箱は赤杉の
爪をたてるように 水をそそぐ
息をふく焼け石を投げ入れ 囂々
貝を煮る
牙をとぐ 原始からの導きは
何をも与えられていながら、
選ばず それだからこそ月明の
静謐な ....
マミが笑って ユウコが溶けて
窓からの日差しで
宙に舞っているわたぼこりがよく見えた
溶けたというのは
消えたとか 死んだという意味ではなく
とても細かく分散され
地球に散らばったとい ....
お風呂から上がると
生き返ります
そのあと水を飲むと
もっと生き返ります
ひだまりで昼寝をすると
生き返ります
そのとき誰かとぎゅっとすると
もっと生き返ります
美味し ....
よく見知った鳥たちの
生まれる音が遠くから
ここまで
骨がぶつかり合っているようにも思える
低い腰つきと
正確な手さばきで
つぎつぎと収穫されていった
ばんざい 収穫だ
ばんざい 越冬 ....
テレパシーが使えるなら誰も苦労しない、だなんて
痛烈な意見にお腹が痛くなっても
やり場のなさはだいぶ楽になった
初めは鑑賞で良かったのになと
泡がどんどん膨れ上がっていく様を自嘲する
....
今日限りのビタミン
祈るように弾かせる
くり抜いた芯は自由で
果肉は砕かれてしまった
水溶性
だと知っている
だから繰り返すのか
{引用=かわいちともこさんのイラストから
http://nib-s.org/}
くずれおちる塔の
やせほそった背骨のすべてから
祈りの声を響かせている
恋うる人の手を握る手と同じ形を一人 ....
象が楽しげにリズムを刻む
涙を流しながら
体を揺らし
少女はあなたに言うのだ
「彼にはあなたが思うような強さや弱さや意味や価値はないのよ 客観的に見て」
象が ....
典麗の色香は、純白の
輪舞する翅が揺れている
{ルビ無言=しじま}なひろがる花弁にぽつねん
ショー・ウィンドーの森の囲いにたちんぼが、
哂い声をあげた夢は、
苔むした褥を足にして
胡蝶 ....
酒で意識が蕩けていく瞬間
わたしが何を想うかは知らない(誰も知らない)
男友達の顎の下の陰であったり
女友達の腕の白さであったり
簡単には片付かない酔うままの気分で
わたしはよるをはかりもし ....
{引用=うずくまる。
からだの表面積をちいさくして
世の中の37%を遮断する。
わたしのまるいふくらみと
わたしのしろいふとももをくっつけて
ひとつ。にすると
やわらかな鼓動を感じ ....
空に伸びる
まっすぐに、高く刺しつらぬくように
あんたのとがった先で、身動きをやめた
その瞼を閉じたすがたが追うのは
玲瓏なさやかな風、そして
ささやく色づき始めた秋の街
ザワと色をな ....
小さなことを愛せたら
小さなものを愛せたら
もっと世界はきれいに廻るだろうか
いや、
大きなものも
小さなものも
ほんとは天秤にかけたらつりあってし ....
空の意図を
誤って手に入れた
微動せず色を織る
超えるとはそういうことか
静心なく
手繰って往けば
いつかは千切れるだろう
ああ、試すでもなく
ああ、赦すでもなく
....
張り詰めていた
こわばっていた
一本の糸の上を
緊張して歩いた
一歩 一歩
まちがえないようにして
まっすぐであった
でも疲れてた
疲れてた
顔を上げたら
落 ....
・
エスカレーターに乗れば段を踏み外す
券売機のタッチ・パネルはいくら押しても反応しない
施錠をすれば鍵を無くす
自動ドアには挟まれる
わたしは
文明というものに適応するように
生まれつ ....
割った石を硬い石で叩いて
形を整えて積みあげる
石と石との間には剃刀も通らない
石の壁は数百年を経ても崩れないで
空に近く雲をしたがえて
城塞と都市とを保っている
毎朝通勤電車の始発駅 ....
■秋
すべての色を飲み込んで
ただ透明である、秋
■チャイム
夕陽が窓ガラスに映ったとき
風がいつも置き去りにするもの
■図書館
古びた新築の匂いがする
■デジャヴ
....
風来は たいふうの
すきほうだいに 人をもてあそぶ
時雨のあらがいようもない
もうまわりは すっかりうす暗がりで、
背にする重たい気圧 に 青ざめてしまうほどに
息をひそめ ....
心待った家路の果てに
ゴールデン・プラムの たわわな枝の
くちびるを這わす 実は あまく
ちっぽけなあたしを待っていて くれる
鳥たちを 楽しませないために
そう ジャムにしよ ....
光が花をまね
朝になる
一房一房が
波を追う
雨
丘を昇る霧
向かい合う手
結晶
くちびるの色を
手鏡に塗り
歯は透る{ルビ雷=らい}
透る{ ....
黄昏に生まれた人と木たちよ
空に憧れるのを同じくならえ
一足ごとに掌を赤く染めれば
四角いテーブルを共に囲もう
凍った時計を溶かすことなく
戯けた踊りを明日ならおうよ
同じ過ちから ....
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