すべてのおすすめ
北の北の大みそか
美香子はおこたでうす茶色の玉ねぎ一つ見つめてた
小さなめんこい玉ねぎを
電気きれた ガスもとまった お水もとまった
おさいふには一円玉が2つだけ 石油を買いにいけない ....
朝の
アスファルトの冷たさの上に
巣から落ちた小鳥が震えている
拾い上げて
掌の中で
戸惑う様を見つめる
鳥が
一羽の鳥が
号泣しながら
地平線の向こうに飛んでゆく
....
水平線に帽子を被せている人を見た
世界と対等に向き合うということは
それほど
難しいことではないのかもしれない
子供たちに蹴飛ばされた波が
海の向こうで
砂浜に描かれた絵を消している
....
ことしもまた春が来て
暖かくなって
やがては暑くなる
またしても
煩い季節になりつつある
驕れる者 久しからず
正しきも
疚しきも
また同じ
そんな世捨て人のようなことを
つぶやき ....
始まりのない折衝が
握られた手の中をさまよう
静けさの折り目が分かれてゆくときの
小さな軋 ....
飼い馴らされるな
牙を剥け
眠る位なら痛みを感じろ
思考の停止は死と同じ
君が満足する物を
奴らは果たしてくれるのかい?
君は満足できるのかい?
いつも? ....
舟を流す
船という形を流す
手紙は乗せない
自分の名前も土地の名前も書かない
からっぽの方舟
形だけが少しずつ違ううつろ船
笹舟にさえひとは何か
思いを浮かべずにはいられないけれど
....
早朝ニワトリと共に起きちゃって
洗顔、歯磨き、お化粧即効
一着しかないスーツに着替えて
let's go to office!
駅まで歩く曲がり角
もうお肌も曲がり角
もう人生も曲 ....
真っ新な紙に文字が沁みる
字面になり損ね、はじけたもの
とばしった点と点
不必要に思われたものが
繊維を沈み込んで行く過程で
必要なものゝ如く
一本一本に記憶を残して行く
....
「カイテイデミズカラノオヲカンデネムル
あなたは北で生まれたのね、
わたしは南。
北の子、
海の底で眠るあなた、
雷神が来る、もうすぐ
あなたを倒しに――
雷神がわたしを倒しに来 ....
裁くことは可能だ
だが公平ではない
愛することは可能だ
だが公平ではない
博愛主義とは何だ
ひたすらに
わけあうことか
私の精神は
無限ではない
私は
命のベクトルを
....
ゴミはゴミ箱に捨ててくださいと彼は言う
イメージと詳細にしか興味がない彼は
ある日からゴミ箱の中に住むようになった
今日もゴミ箱の中はイメージと詳細でいっぱい
そのことに彼はとても満足している ....
山道を左に入って
舗装されていない砂利道を1キロくらい
そこに
わたしとあなたの
思い出が
白っぽい蜃気楼になって
佇んでいる
わたしは怖いから行かない
たぶんあなたも
....
私の「はい」が 君の「いいえ」で
君の「はい」が わたしの「いいえ」でもいい。
答えはなくて
同じであることが良いというわけでもない。
そう
同じでもいい 違ってもいい
大切なのは
互い ....
黒縁の眼鏡をかけた教授の講義が一段落すると
スクリーン上に映し出されたままの
夏の星座がゆっくりと回転し始める
古びた校舎の窓側を覆う暗幕は
その歳月 ....
【1】
器質性勃起不全を患った男と、深達性弐度熱傷を負った女が、滝の渓谷で向かい合わせ。
その間に、
煙草の空き箱で作った小さな傘。
その下に、
小さな山椒魚が串刺しにされて ....
Ser immortal es baladi;
menos el hombre, todas las criaturas lo son, pues ignoran la muerte;
lo ....
・
初夏の山は
いいにおいをしたものを
たくさん体の中に詰めて
まるで女のように圧倒的な姿で
眼の前に立ちはだかってくる
たまに野良仕事をしている百姓が
山に見惚れていることがあるが
....
役職は個人の放棄に近い。
役職で呼ばれて喜ぶようでは。
そこにはあなたという
個性は含まれていない。
「先生」と呼ばれることと
「人間」と呼ばれることは
言葉が違うだけで
同じく ....
ああ この
生まれてくるもの
が
帰りたかった場所
だったのか。
日々が、やはらかく、
差し込んでいる
隣に笑顔が、ある
ここで 揺られて
羊水を思い出す
胎内に鼓動
....
世界とは万華鏡に映った地獄である。
それが風に吹かれてくるりと回っている。
春がじかん切れとなり
贅沢な地下鉄のゆれにまかせて
それぞれ 肩から鳥を逃してゆく
そらにまいあがれ、ちぎれないままで
そらを
みじゅくな鳥が
春の隅っこを
ゆっくりと ....
いずれにせよ桜は散っていく
まるで、まわりくどい恋文のように
あなたと僕の間を、{ルビ廻=めぐ}っていた感情は
不意に来たあなたの訃報でかたちとなって
ただ、ひたすらに他人でありつづけた奇 ....
パパpapaなんでトトロ
はあーうーってゆうか知ってる?
アウ タ コタン (アイヌ のコトバ)
隣 の 村
はあの世のことを言うけど アウ とは 会
....
(高架下で)
雨が静止する、ノイズは、
細かい
画家は絵を描き、___
作曲科は音符を記し、___
詩人は、川岸、
意味を、安楽死させる___
....
心配事の多い夜に
あなたがまつげを上に向けて
なにもない灰色を
そっとめくる
そらのうらがわには
てんごく なんてものはなかった
ただ
春めいたゆうやけがとろけていて
おも ....
重ねるほどに
見えるものまで見えなくなる
それを情け無用と切り捨てようにも
思うが侭にならぬ身体と
曖昧な優しさで隠す意志の弱さ
諦めることさえ捨て去ってしまい
手の中の小さな夢を ....
疲労の日
弾丸の詩口より寒い報告書
それはさせません
どれが静かに叫びましたか
どれが塵を払うお金の
どんな雨季への小さな指の間隔まで
その日数倍のバスの間に敷かれたことでしょう
....
わたしたちはゆるやかに
つながっていくだろう
春をわたる風のように
だいじなことは
たぶんきっとあるだろう
だけど
それがどうだというのだ
わたしたちはとうめいになった
....
少年は手にもっている一つの林檎を空に向かって投げる
するとそれは翼を拡げる鳥になった
少年は青い空が好きだった
空の中は永遠に汚れぬ世界であると信じていた
少年はどこまでも途切れぬ煙突 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60