すべてのおすすめ
じいさんが
あの世へいってからずっと
8ミリを回すと
青鬼が映る
8ミリを映写し
妻や子供との暗い部屋で
(僕だけが斜め下におり)
青鬼を見る
木や鳥居の影などに
七五三だというのに ....
ふりつもる夜の殻が
ふみしめるたび
かわいた音を立てて
砕ける
名前を思い出せない花の香りが
密度を増した湿度となって呼吸を
奪う
夜の果てにたどりつく
手っ取り早い方法は
眠りなの ....
しっぽしっぽしっぽしっぽ
おまえはしっぽ
俺は
おまえの意志に全く従わないそのしっぽを
ぎゅって掴んでやるぜ
しっぽしっぽしっぽしっぽ
おまえはしっぽ
しっぽという名
....
駅を出たら
あれあれ
困ったぞ
駅前のコーヒーショップは目一杯
こりゃダメだ
ハイヒール蹴立てて
走れ走れ
歩いて8分の道のり
すぐにバテました
なんでこんなことしちゃったんだろうな ....
私は夏雲のあるこの空に
人差し指を差し込んで
この青空の
その底にある
人肌の群青に触れようとする
そのぬくもりは昔日の
小さなおまえのぬくもりに似て
あわあわと崩れそうにゆれる
いつ ....
ねまきのまま街をあるいて
みずしらずのひとにじっとみられた
さみしくてふるえだしたからだは
じぶんで抱きしめた
よそゆきじゃなきゃだめなのに
うまく笑えなくて
お化粧もしなきゃだめ ....
ロープで
グルグル
縛られて
草原に捨てられた
見渡す
地平線
沈む太陽
赤く
照らす
唇から
血
もうすぐ
夜
ちょっと
歌ってみようかな
久しぶりに ....
灰色の壁 とびこえたなら
緑の草原 清らな小川
二人は常に 寄り添うでしょう
大きなケヤキの 幹にもたれて
二人はいつも 囁くでしょう
甘く切ない 愛の言葉を
燃える心で悲 ....
[な]
――懐かしい泣き虫さんへ
長雨のなか
なけなしの茄子がなったので
撫でまわして和んでいます
仲間にはなじみましたか
訛には慣れましたか
ないものねだりの
涙を流 ....
海辺で佇む僕の背後から声
透き通るような澄んだトーンの
潮風に乗って耳に流れ込んできた
何がそんなに悲しいの?
そんな瞳で僕に囁かないで
そうだ僕は空になり
キミは海になるだけの未 ....
{引用=ほら 見て
波の向こう
青い火が燃えてる
あれは きっと
妖精の燃えかす
薄い羽を残した空蝉のような}
ダーリンはそう言って
私の肩を抱きました。
抱かれたその手は節く ....
煙草を吸って待っていたのに
人間観察をして待っていたのに
スタバのコーヒー片手に待っていたのに
既に全ての行動に飽きても待っていたのに
テメェアホ面で遅刻すんじゃねェ
とか
ゴ ....
髪の乱れを気になさるな。
血濡れた衣も気になさるな。
そなたは美しゅうござります。
この身はすでに腐り果て
ところどころに穴ひらき
覗く腐肉に蛆が這い。
しかあれど
まなこはかっと見 ....
ふと
背中は正中から割れて
わたしはゆるゆると
中から這い出した
新しい皮膚は
まだ少しだけ熱い
背中には
哀しい羽が生えている
わたしは約束の空へ
短さを張り合うよ ....
年寄りは
生きてきた時間が長い分だけ
淫らだ
人間は
そういうものだから
しかたがないのだが
そんなことを
老夫婦相手に
説いている人がいた
しかたないね 婆さんや
し ....
僕は世界の広さに悩み
君は夏の陽射しに笑った
アスファルトの熱と 急な坂道
駆けていったのは 子供の頃の僕たちで
坂の上では君が待っている
麦わら帽子はいつだって風に飛ばされて
....
みぞれの降る中
父のコウモリをさして
図書館に行く
(春とは名ばかり)
早咲きの水仙は凍え
風雨は破れた生け垣を震わせ
裸の額に夕暮れの灯火がにじむ
本当に寒くて泣きたくなった
....
いつかぼくがとおくはなれて
きみのほほをながれるそのしずくを
このてでぬぐふことができなくなつても
いつかぼくがとおくはなれて
さむさにふるへるきみのてあしに
くちづけて ....
ピーターパン・シンドローム
なんていったって
知っているでしょう、
わたしとっくのむかしに
飛べなくなっていた
いまになっておもうの
わたしはこどもである、とか
わたしはおとなかもし ....
悲しいぼくの胸を
夏の夕暮れの風が吹きぬけても、
時に現実として、
ぼくの胸のこの痛みは、
なつかしい思い出ですらありうるのだ。
この星をめぐる、
情熱に関するいくばくかの
光の残滓とし ....
山からおごそかに下りてくるベール 鳴き交わす鳥たちと静寂
朝露を飲んだ少女が忘れる過去 乾いた南風に匂うクスノキ
自転車で行く小径 素足で渡る清冽な流れ
笑顔 拭われるかすかな涙 遠くから聞こえ ....
暗雲が 死んだ
雨が 遊女だ
な
なな 男よ
暗雲を 如来に
弔えさせろ
骨が 浮かんでいる
あ
ああ
骨が ふってくるのか
暗雲よ 生きたまま
未来は 明るい
....
右頬を乗せ
鼓動を呼び起こしてみる
左のこめかみを辿る指先が
優しく髪を絡めながら
微笑みと共に止まる
重ねた月日の長さ分だけ
白いものが増えた
それでも変わらず
伝わる鼓動も
辿ら ....
水汲みや
弟たちの世話がある
学校だって遠い
夜 目を覚ます
星が道しるべ
洞窟まで
一人で
煤を立ちのぼらせ
教科書を開く
栞のあったところを指差すと
髑髏は
....
力をふるうもの
草に狂うもの
ふたたび来る雨に吼えるもの
一片の永遠に触れ
燃えあがるもの
背中に降りる手を感じ
泣きながら目覚め
羽の失いことを知り
ふたたびね ....
おとうさんは帽子と靴だけになって
夏はかなしいですね
おかあさん
虫は人になれないけれど
人は虫になれる
と母は言う
両手と両足を地べたにつける
そうやって虫の産声に耳をすま ....
{引用=
水は低いほうへ流れてゆくのだよ
}
空がようやく白みはじめた
霧の山小屋
去りゆく人の走り書き
{引用=
めざとくえらんで流れ込み
いつかは、とまる
....
日に焼けた古びた手は
私の知らない
たくさんの出会いをつなぎ
また別れをもつなぐ
いろいろな色の数珠
ひとりひとりの私連珠
ふるえる手で
なぜか
繊細な作業を
つづけてゆ ....
咲いた 咲いた お花が咲いた
心の中に お花が咲いた
赤 青 黄色と
どんどん咲いて
頭の中まで花畑!
あんまり毎日咲かれても
さすがに見飽きて・・どうしよう
枯らす? 枯らす? ....
さらさら平気な顔をして君は言ってのける
僕が君を夢にまで見ているなんて知らない
でも僕はそんなことでは泣いてしまえなくなった
昔みたいには
扇風機が忙しく首振りを続ける
そういえば僕は君 ....
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