すべてのおすすめ
一人は 黒人で
一人は 脳に 帽子を かけている
一人は 白人で
もう一人は 師匠を 感慨深げに
見下ろし
四人で うなずく
自由の 女神が 骨折している
間が あいたからだ
黒 ....
夏が終わるね
少年が
風鈴の音を撒きながら走り抜けた
この胸元ではまだ 汗のビーズが貼り付いていて
蝉しぐれが落ちてくる 私たちの地上では
色付きの花々が 太陽を仰いでいるけれど
ゆきの花 ....
未だ硬い、既に確かな
夏でもない、秋でもない、果実で
深緑は
瀕死であることを理解している
見上げれば、ひとつの一秒が
高速で遠のいてゆく
わたしは、何に対しても連 ....
記憶を押しつけられながら 地下鉄の階段を下るとき
膝のあたりが キポタン キポタン と鳴り続ける
悪意のない ただ無知ゆえの無表情が過ぎるたび
音は止まる 意地悪く
伝言板に 僕への事務的な連 ....
愛しているよと素直に言える今が幸せ
きっときっと
いつか君が大きくなっていくにつれ
私との会話は減っていき
「愛してるよ」なんて言って
抱きしめることは出来なくなるんだよね
君 ....
響くまま 風の輪をたどり
足もとは枯れ
緑にそよぐ
枯れては緑
枯れては緑の音を聴く
空にあいた鉄の穴を
夕べの羽が通りすぎる
響きは響きを消しては生まれ
まるい音 ....
侵された柔らかな海の洞窟
蒼く反響する水底から
掬い取った石英は
浮き雲が見る夢のかたち
船虫の棲む加賀の潜戸は
時を流刑する賽の河原
打ち棄てられた白磁の人形
反転しない砂時計 ....
おなかをかいている
ふところに
つもる
きのうがある
きのうはいぬと
あそんでいた
みつけていく
きずあと
いつも
こころのなかの
おじさんに
おこられているかんじ
のうの ....
――――――――――――――――――――
昔日の思想は僕の手に形をあたえる。指先を
くるむほとびた皮膜に沙漠のイマージュをな
がしこむと、僕の手指は草の葉をつまむこと
ができる。内臓の液化して ....
川縁の草いきれの中を
ひた走った記憶は
あるいは夢かもしれず
はじめは
ひとすじの流れにすぎなかった
けれど運命は
生まれる前から決められていた
旅を重ねるごとに
強さを身 ....
校舎に含まれる
散漫な光景ひとつひとつに声がとどかない
1. 朝
起立
礼
いっせいの着席にびくともしない
この校舎の設計は強度においても欠陥がない
....
おめでとう 毎日は
祝福されてあるのだから
誕生日くらいは ひとりさみしく
泣きながら過ごしましょう
それが この国の流儀です
湿った風が吹く朝に
君は薄い火を灯した幹から両手を離す
種の保存の掟は果たせたのだろうか
君の生き方は純粋で幸せだったのだろうか
最後は雲の切れ目から青空が見えたのだろうか
....
ふなりと 赤い 人形が 捨てられている
もうすぐ 季節が 笑う
一人の 生霊を もう 一人の
生霊が 育て上げ
赤い 人形は 沢山 捨てられる
田舎の馬車 弟の 遺言状が 護摩炊 ....
すきとおる泪が
青い洞門をすべり落ちる
あなたほど自然に私をさとすものはない
美しく象形した蚕の吐糸がやさしく肌を包む
あなたは私を裸にせず裸にする
新しい息吹は真珠となり
このく ....
少女は道を見ていました
まっすぐな瞳がまっすぐな道とぶつかると
きしきしと
痛む音が道の上を流れました
少女は道を行きました
はじまりがおわりに続いていたけれど
躊躇することなく
少 ....
いつもの席でいつものように
始めましょうかと手を鳴らす先生の
その指先を見てる
思考は明日のその先を見てる
今日の考え事なんてとっくに終わった
私は明日もその先も生きてる
君だって生きてる ....
帰りの道 車内
ふと傷が疼いてさ
なんだろ 考えても思い出せない
たった今あのトンネルをくぐる
裏切りに似た気持ちと共に
君の顔が浮かぶよ
胸を突く痛みの理由を 気づけない
だけ ....
辺りが突然一色に染まり
耳の奥がボーと音を立てる
これはきっと心に続く道に似ている
考えを吹き飛ばすでもなく
やっぱり今日も想いにふけて
あの時の過ち あの日の怒り
あの一瞬の ....
例えば星の海 遠い世界からの息吹
例えば散る花 終わりと始まり
例えば月光 育む源
例えば落雷 胎動
例えば斜陽 温かさに包まれて
何処にだってある
何時もすぐ側に ....
体を強張らせて震えて
逃げればいいのに
逃げればいいのに
右足が飛んできたときのこと
あたしの左目は腫れ上がって
あたしは悲鳴をあげたけど
そんなこともう忘れちゃった
痛くないの ....
僕は奈良公園で鹿の角をにぎっていた
同じころ
父は帰りの電車のつり革をにぎり
母はスーパーで安売りの大根をにぎり
妹はベッドの上で携帯電話をにぎっていた
隣の部屋の夫 ....
詩を 描きました。
小さな詩を 書きました。
相変らずそらは 真っ暗だと言うのに
いきがって 小さな 詩を描きました。
トラさんや タツノオトシゴさんは、
もう ずっと ....
帰り道は
昼の天気予報どおりに
激しい雨
ふと視界に咲いた銀色の傘を求めた
縁取り、白
フレームは銀
それを広げて歩くのが
今日の雨にはふさわしく思えて
....
ひまわり畑の上を
一羽のペンギンが羽ばたいていく
僕はその意味がわからないまま
男の人と手を繋いでいて
見送るより他なかった
ぎゅっと握ると
男の人の手は少し汗ばんでいて
何 ....
「あとにのこされたもの」
雲の隙間から
羽毛がこぼれおち
風にのる
海峡を渡り
山脈を越え
遥かかなたの砂漠まで
幌馬車が届けられない
あの砂漠まで
「月は地球の衛星である前 ....
夜店で釣ってきた金魚を庭先で
バケツに放して
しゃがんで
じっと見入る
窓からのあかり
空からのあかり
遠くに響く祭り囃子
黒い自分の影
しゃがんで見ている子供の私
その一点の風 ....
胸の奥につないだ
遠い思い出の時間は
時折
甘美なひとときを
わたしの中に
もたらしてくれるけれど
つなぎめが
とても痛くて
ささえきれなくて
今にも
ぷつんとちぎれて
....
母さん。
初めてぼくが笑ったのは、いつですか。
母さん。
ぼくに初めて友達が出来た日を、覚えてますか。
初めてぼくが熱を出した時、大変だったでしょう。
母さんのお粥は ....
おかあさんのところから
はなされた
とおいところにつれていかれた
いっしょにいたひとは
わたしをおいて
どこかにいった
かえりみちがわからない
おなかすいた
みんながい ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60