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禁止区域 日本人は 舞台の 中で
禁止区域 首をくくる 白い 精霊と
日差しの 自殺者の 下で
モスクの 中では 御詠歌が
ジャズと 共に 煙草を押し当てられ
白い 顔 ....
午後の生ぬるい図書館で 退屈と眠気のあいだを 振り子のように行き来しながら
頭の中では 隣に座った 白いブラウスの女のことを考えている
読んでいるわけでもない太宰治のページの端を 人差し指 ....
あんとき死んどくんだった
死んどくんだった
眠らせてもくれない
不眠症
書いてる間だけ気がまぎれる
このまま延々書き続けて
ピストルや首吊り紐から逃げれるかい
腱鞘炎になるまで書きつづけ ....
仮にも新橋に住む
黒田さんが酔っぱらうとゆりかもめが運転を見合わせるというのなら
掌ほどの大きな蛙を大使館になげこみたいよね
いつの間にか俺たちも年をとったんだな
なんていいながら
それ ....
まったく 目を覆うことができたらいいのに
母の背中を 掻き毟ると 血 がにじむ
茶色いかさぶた と 筋になって 血
掻かないと 大声で叫ぶ 赤ん坊のように
私が 父と兄 の 替わり を ....
雨催いが私に思い出させて止まぬ人がいる
かつて私が深く愛した人だ
二人は傘の下でなければ逢瀬を重ねること叶わず
小糠雨に温もりを奪われながらも
何処までも何処までも歩いた
その刹那の岸に雨雲 ....
窓ガラスがかたかたと鳴るのは
風のせいではない
カーテンが明るさに焦げているのは
西日のせいではない
窓に背を向けて本を読み続ける
誰かが肩に手を置く
焦げた風が髪をちぢらせる臭い ....
ヒロシマを忘れるな、と
私はうたわない
ナガサキを思い出せ、と
私はうたわない
アウシュビッツに吹いた風を
私はうたわない
東京のくらい空の波を
私はうたわない
私がう ....
失われた約束が
気づかぬうちにふたたびつらなり
忘れられたはじまりを
さざめくように呼び覚ます
降り積もるなか見えてくるもの
わたしを明るくかきむしるもの
願いを終えた ....
広大な 宇宙を 精神病棟と
隔離しろ
暗い 溜まった 水の中で
以前から 母親だったものが
泳いでいる
病む真似をする 黒い 世界
般若の 角を 母親に投げ入れたのは
誰だ?
私 ....
懇意になるごとに離れ行く
過去の前例
拒絶を恐れ僕から先に別れた
シリ・エトクへ
追いかけて欲しいなんて
我侭過ぎるね
手紙も旅費も残さず
シリ・エトクへ
見えるよ
荒磯を打 ....
全国から観光客がえっさほいさとやってくる
そんな地元の夏祭り
北の短い夏だからこそエネルギー爆発!
なんていうキャッチフレーズ
どうなのかなあ
どうだっていいけど最近ずいぶん積雪量も減りまし ....
海に近い砂の丘から
無数の骨が突き出している
かつてここで倒れた巨大な生き物の上に
浪に運ばれたものが積み重なり
石でできた枯れ木のような
蒼白い骨の森を造った
海からの風に ....
「ママ、ママ、ママ」
と呼ばれて
振り向く
ホームセンターの中
カゴの中に
ふくろうの仔
ああ、
お前かあ
覗き込むと
何度も何度も
「ママ、ママ、ママ」
ふと気がつくと
周り ....
老人の 頭を 抱いて
ヒッチハイクに 行こう
躁鬱の 女の かつらを
すすりながら
漢字検定を 受けよう
海辺の 見える
「なすがすべき」道へと
糖尿の 男の 服を着て
降 ....
土壌は 成り立っている
侍の 黒人が
割腹すれば
唖の 女たちが
膿を 持って
現れる
残酷は 紙片であろう
粉々に 引き裂かれた
丸い 新聞紙
球体に したのは
黒人の ....
荒木さんが
すっぽんが獲れたから
食べにおいでよ
と言うから
友達誘って
焼酎抱えて
出かけていった
すっぽんは
みごとに捌かれ
くつくつと
鍋の中でうまそうなすき焼き風味で
....
焚き火の火を見つめながら
煙草を吸っているから
涙もくしゃみも煙のせいにできる
焚き付けの新聞紙にはテロのニュース
世の中のもめごとみんな燃やしてすっきり
なんてわけにはいかないけど
....
私は宙にいた
ずっと空を聴いていた
私を支えていたのは
ただ蒼い闇ばかりだった
ゆれる森
立っている人
言葉をめくる声
降りてくる色
暗くやわらかな
....
空ばかり見ていたからあなたは空になった
わたしからはもう届きようがないからわたしは空ばかり見てる
空に伸びる道が世界にひとつだけあるとしたらその道のその名前は「少女」
空ばかり見ているけれど少女 ....
時は平成十七年
四川風中華大学三年
{ルビ六九五十六=ろっくいそろく}
優勝できたのもみんな
ランナーズハイのお{ルビ公家=くぉげ}ですと
ぬくゎるむ
{ルビ帰=くゎえ}りのバスで
家路 ....
僕がまだ販売員だったころの話だが、一人の女性客に「30分くらいで戻るので、良さそうなのを適当に三つくらい選んでおいてもらえるかしら。」と頼まれたことがある。おいおい、商店街の魚屋じゃないんだからとあっ ....
どこかですれ違っているとしても
ただほんの少しの我がままで
月が昇るまで、
朝陽が昇るまで、を繰り返した
無言の目が
今にも刺さりそうなほど
すれすれに突きつけて
僕はそれを見ないふ ....
ペスカトーレ きみは
きみはそれから遠い
遠い
遠い目をしたその先に
ルルル
ペスカトーレ はじまる
蒸し暑い夏またはじまる
君と歩いたのは確か
はるか
はるか遠い一日ルルル ....
朝 ・・・・・・酷く 説明つかずの
朝 早朝の 鶏が 絞められている
その 狭間に 巨漢の 狂人が
雑音の 泥を かぶり
弁財天の 嗜虐に
下劣な 感情は 捨てたと
悪魔は 人を ....
映画のポスターが貼ってあって
黄色い文字で
「瀬戸物の縫い目を飲みほして」
って、うわぁ、どんな映画だろう
楽しいことはまだあって
お父さんの真っ黒い名刺
とか
公園の植え込みに倒 ....
首を左に小さくかしげ 閉じた瞼の毛細血管に透かして
− あなたはいつも気まぐれに人を愛したり、出て行ってしまったり
− あなたが受けた傷の分だけ、貴方も誰かを傷つけたのよと
− いくら ....
軽蔑の笑いとひそひそ話とが四方を取り囲んでいる
白目を剥き出しにした形相が唾を飛ばしながら迫ってくる
一切は耳を塞がれ受け容れられずに拒絶される
正面背後上下左右に立ち塞がり穴が開く ....
おみなごは 瞼を伏せて
差し出した 手の先の
細く長く しかし
硬く乾いた 指の淵 私を 呼び止めないで
縦に小さく 裂けて たとえ 私の
深い紅 滲む ....
青空に
ふとキリンが
浮いている
なんという
虚ろな空なのだ
ああ青空
縞模様を辿ってついにここまで来ました
ここまで来た
ふと
振り返るキリンの眼には
何も映らな ....
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