あなたのみらいのために祈らせてください
そう語りかける女の瞳は
目の前の現実であるわたくしではなく
どこか遠い国を見ているようでした
ミライは
いつの間にか
ミイラにすり変わってい ....
はじけてる星屑を盗んできてよ。こんぺいとうじゃだまされない。みんなしてるみんなって、どこのみんななのか氏名住所を挙げてみなさい。わたしのわたしで描くわたしきり、とけないマシュマロを食べたら、冬 ....
星の出す答えを
ノートに書き写す
生徒たちは
みな遠くの空を見上げ
道に躓いては
ばつが悪そうに笑う
天体模型を並べ
地球と金星の自転の
逆さまに引かれ合う
それを恋物語と読 ....
雪の降る日に、{ルビ姉=あね}さんは
半年前の忘れ物を取りに来はった。
今朝、思い出しましてなぁ。
そういって、姉さんは
その日傘を抱えて帰りはった。
なんで、こんな日に思い出したん ....
キミが放っておくから
ボクはすっかり錆びちまって
ダッシュボードの上は
白い埃が積もってるけど
ベイべー、雪合戦するほどじゃない
底意地の悪い奴は
どこの世界にもいるのさ
ヤワな雪玉に見 ....
だんだんと
忘れたように
白くなる手足をして
朝 晩 かまわず
ひとを待つのは
あさましいことと思いながら
紙のような心に
置いた石ひとつ
どうにも平べったくて
転がることも ....
セーターの袖
靴下の親指
カッターシャツのボタン
私たちホコロビガールズ
チロリ
ナロリ
テロリ
あの子もこの子も嫌いなの
その子とあっちの子は好きなの
心 どっ ....
いつも傍には
君がいることが
当たり前だったのだ
いつの間にか
僕が殺すことが
必然であったのだ
だから後悔することなんて
何も無い
はずなんだ
黒い夜に
ベッ ....
馬鹿でっかい鰤のアラと
ぶあつい銀杏切り大根の入った
湯気のたつ味噌汁を啜って
海苔と胡麻塩の握り飯を食う
あー、うめぇなあ
海鳴りの音を風がさらう
子どもたちはまだ眠っていて ....
半導体に埋め尽くされた街角は、
青白く発光する。
イルミネーションの木立ち。
凍てついた夜空を飾る、
あの星たちが青いのもLEDなのか。
光の速さは毎秒三〇万キロ。
一秒で地球 ....
足元まで
まっすぐ伸びる光は
新しい陽だ
地平線よりもずっと向こうまで
伸びている、終わりがない
直感で分かる
少年少女を照らす新しい陽は
希望の光か 影の援護か
....
体が動きません
息が少ししか出来ません
瀕死です
妻に毒を盛られました
してやられました
瀕死です
今日の晩御飯の味噌汁に
入っていたみたいです
妻はなめこ嫌いなので
....
もうずっと遠い昔に
絶望から一歩を踏み出して
歩いてきた僕だから
これ以上裏切られることもないし
やけのやんぱちにもならない
光りあふれ
花咲く道の途切れる先に
真っ暗な口を開け
....
君が私を突き飛ばしたあの日から
私は私を捨てて
君を殺して 食べました
鮮血 美味い 全て 美味い
骨までしゃぶったよ
でもひたすら ごめんなさい
冷たく暗いアスファルト ....
ビールは水曜のネコ。
おつまみは柿の種。
映画は、「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」のスプートニク2号で月にいったきり帰ってこなかったライカ犬に比べたら僕はまだましさと言うイングマル少年、「トレイン ....
あたしはすごく疲れてしまって
家までたどり着けるのかひそかに心配で
空気はきんきんに冷えていて
闇を泳ぐようにふらふら歩けば
月が煌々と夜空を照らしているんだった
なのに街灯の明かりの下で ....
夜と朝が交差する一瞬
藍色の空めがけて解かれる
淡い黄金(こがね)の帯
その真中を引き裂いて
真っ直ぐに飛んで行く
お前は名も無き一羽の鳥
霊妙なる森の奥深く
未だまどろみから醒め ....
冬
誰もが道行く姿に目をみはった
くすんだ家並の下町
それは何よりも奇異に映えた
女は山の手の私立病院に通う
病人ではない、看護師で
給料とボーナスを貯めて八年
恋人のひとりも作ら ....
丸ごとの白菜は
野菜というよりは
赤子のような
生きている重量があって
大切な預かり物のように
抱きかかえれば
ここは冬の入り口
ひと皮むくごとに葉は
正しく小さくなる
まるで
....
この街は明るすぎるんだ
いつか電気回路ショートさせてやる
月がいつもより暗い気がする
きっと街が明るすぎて
目が眩んでいる
いつの間にか
僕は小さな稲妻を走らせることが
....
いつも背伸びしてしまう
疲れた時の息抜き
ではなくて
無理に見栄を張ってしまう
いつも空回りしてしまう
君をがっかりさせたいん
じゃなくて
笑い合えたらそれでいいのに
....
靴底に引きずる秋がしなびた、爪先から凍っていく
自販機は無関心に沈む
誰にも覗かれない口元で
そっと胃の中の小銭を罵倒して
木枯し
僕の夢もいでぼろぼろ
木枯し木枯し
乾いた唾液がへ ....
水槽の中を泳ぎ回るネオンテトラを見続けています、
いますと、空に浮かぶように小さくて、愛らしくて、
、こうしていつまで眺めていても見飽きないのです、ですが、
話かけていると話かけてくるので ....
これが、わたしにとっては、この世の中でいちばん美しくって、いちばんかなしい景色です。1962年11月27日岩波書店初版本「星の王子様」130ベージの景色に似ているけど、すこし違います。
....
取り忘れたのだろう
束ねられた
豊かであった髪を
解体しながら
(舞踏会は終わったわ)
ていねいに
抜き取ったつもりでも
女の指から
逃げおおせた
小さな
黒いそれが
おそら ....
よく通う小松座の前で
あの子が煙草を吸った
白い息を溜め込んで
何か言いたげな顔をした
適当に並べられた蕾を見て
どれが冬に咲く花か分かるか
マフラーに顔を少しだけ埋めて
かじか ....
陽が沈むころ
コウノトリのコウちゃんは鉄塔に帰ってくる
ねぇ、コウちゃんいてないわ……。
洗濯物を抱えて二階から降りてきた妻がいう
鉄塔のてっぺんで夜をすごすコウちゃんは、まだ三才
個体 ....
それなりに成績は良いほうだけど、
発想力とか推理力とか、
所謂持って生まれた知的能力はおそらく平均以下。
それでも頭良い人の振りはできちゃうの。
最近読んだ本に小難しい小説を挙げてみたりね。
....
私 もうずうっと前から
森の奥の大きな切り株で
寝たふりしてるの
小人のエキストラ7人も雇っちゃったの
クソまずいアップルパイ作って吐いたの
あなたをお待ちかねなの
ちょっ ....
休日だから
チュッパチャップスはくわえたまんま
外はきれかけのボールペンみたいな
ぷつぷつとぎれる雨がふる
エンジン炊きたてだったから
中はまだしばらくはだざむいね
♭
いつのま ....
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