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もうどこへも逃げてゆけない言葉たちが
｛ルビ凝＝こご｝る五月闇
夏の色が濃くなるごとに重くなってゆく空

その空の重みに耐えかねて
虚ろになる意識
否　虚ろを装う意識

綴るご　.... 僕たちの距離が
この夜にさめざめと横たわる
月の光に傷つけられながら

この夜はあまりにも澄みわたるので
とめどない放射冷却――僕たちの
距離もまた冷えびえとして

けれど見つめている　.... 青い闇の中に
うすく光って浮かぶのは
吊された
右半身だけの
白いレースの婚礼衣裳だ

その左半身を
纏って逃げ去った美しい少年は
そのまま白い流星と化したという

そもそもその衣　.... ひんやりした空気の漂う
澄明な秋のゆうぐれである
蓼のべにいろ
野菊のうすむらさきが
ふるえながら空へと
にじみあがるのである
この小径をゆくと
わたしの肌にも
それらのい　.... 僕たちが
子どものように無心に
箱庭に玩具をならべて遊んでいるうちに
気づくと　世界が
すっかり終わってしまっていたんだ

だから僕たちは
僕たちの箱庭を新しい世界として
もう一度生ま　.... わたしはわたしの中に
夜を溜める
そしてその夜を醸してゆく
深くなるように
やわらかくなるように

わたしはわたしの身体に
花を鳥を
風を月を沁みこませる
わたしの中の夜が
やさし　....

平瀬たかのりさんの塔野夏子さんおすすめリスト（6）
タイトル	投稿者	カテゴリ	Point	日付
五月闇	- 塔野夏子	自由詩	7*	23-6-1
夜の距離	- 塔野夏子	自由詩	2*	23-1-19
初夜譚	- 塔野夏子	自由詩	3*	16-8-17
秋の手紙	- 塔野夏子	自由詩	4*	15-10-17
あるロマンス	- 塔野夏子	自由詩	3*	15-5-19
夜を溜める	- 塔野夏子	自由詩	18*	13-6-1

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