舟が
天の使いが
父を迎えに降りてくる

モニターの
緑の輝線
彼の何かを告げている

母と私は部屋を出て
お向かいの
やけににぎわう居酒屋で

白身魚の天ぷらと
焼き鳥とサ ....
初めての学芸会は
サルカニ合戦の
蟹の役だった
いとこのよっちゃんは
猿だった

元の話は
硬い青柿をなげつけられて
つぶれた蟹の卵から
子蟹が出てきて
助太刀を得てみごとに
親 ....
いつも 
車両に乗り込んだ人は
先から乗ってきた人に
目で挨拶を交わしたきり
閉じたままの窓の外へ
視線を泳がせたまま
死んでしまう

いつも
死んだ人間が運ばれていく車両に
今日 ....
スーパーで並んでいたときのこと

小学校一年くらいの男の子が
母親とおぼしき人に
何やら言いに行ったかとおもうやいなや
ばしっと音が響きわたるほどの勢いで
頭をはたかれた

理由はわか ....
私は十三年間
薄暗い工場の中で
機械の一部になって働いてきました
小さな子どもを連れて離婚した
若くもない女には3Kの仕事しかなかった
子どもを保育園に預けて働いた

毎日々
ベルトコ ....
Vの発音 Vの発音 Vの発音 Vの発音
言語聴覚士に何度も発音を矯正される
だけどまだできない
標準的なVの発音

ボールを投げて キャッチして
ボールを投げて キャッチして
作業療法士 ....
銀盤の周囲には
金や策略やら
得体の知れない黒いどろどろが
埋まっているとかいないとか
それと比べたら
ライバルのスケート靴に
画鋲をいれちゃうなんて
(そういう少女漫画があった)
わ ....
熱燗の、おちょこの横の
受け皿に
五匹のししゃもが銀の腹を並べ
口を開いて、反っている

いつか何処かで観たような
あれはピカソの絵だったろうか?
絶望を突き抜けてしまった人が
空を仰 ....
釣り堀で釣りをするのがすきだ
どこへもいけない水の底で
大きな魚がひそんでいる

敵は慣れたもので
エサが沈んできてもあわてない
口先でふれては
はねかえる糸がエサを落とすのを待って
 ....
少女がしゃがみこんで
草むらを見ている

ふいに振り返り
その昔
あなたはわたしだったのと告げる

小さな瞳を通せば
草むらは森になり
水たまりは湖になり
その村の地下組織に住まう ....
【透明なマグマ】


あれからというもの踏切が 透明なマグマだ
車を走らせていて
次第に車を減速させ
遮断機が ゆっくりと降りている
車と車の隙間を ゆっくりと歩いていた猫が  ....
道をほると
どんどんとほると
一体なにがあるのかとのぞきこんだ
黒々とした土の中に
なにがあるのかと期待した

ユンボでかきだされる黒い土は
内臓のようにみせてやっぱり土だった

そ ....
お風呂の中には水がある
どこからきたのか知りたくて本を読む
おぼれそうになりながら
読む本をささえる指
わたしはどこへゆくの
流れる水になって

言葉はあふれても
どこへもゆけないの
 ....
キツネうどん

体が疲れた時は
キツネうどんを食べるがよい
関西のキツネはねー
甘味がするでよねー
つるつると入ってゆく

キツネうどんはねー
大阪がよい
夫婦善哉のねー
 ....
コリン星なかったことにしませんよ  カーテンを開ければ あたり一面銀世界

「朝食食べたら、雪だるまを作ろう」
ホストファーザーが誘う
「えっ!でも私会社に行かなくちゃ!」
「えっ!何を言ってるんだい?こんな日に会社に行くバ ....
おおゆきが降った夜
雲の切れ間で
三日月につかまって
空中ブランコしてたのは
木の葉の舞う頃
行方不明になった黒ネコ

最初は新聞の折り込みチラシ
猫のアップの写真の下に
「飼い猫を ....
夜店の風鈴のように
蔓棚から垂れて枝にぶら下がり
秋風に吹かれている卵
茶色く毛羽立った上着の中は
半透明なグリーンの輝き

物珍しさと
手間の掛からない栽培が
流行を呼び 
夏は陽 ....
その人に投げかけた孤独が
勢いよく跳ね返されてきて
私の胸に鮮やかな痣がプリントアウトされた夜

傷だらけの そのくすんだ球を
手毬のようにつきながら
迷い込んでいくサイバー・ラフォーレ
 ....
にわか雨が去ると
真冬の風が通りみち
樹木も人も躰を震わす
「バーイ!」
「バァーイ!」
交差点の娘たち
無敵の若さにさざめいて
もっと綺麗な明日に生きる
ヒラヒラと手を振って
ひと ....
冬になる前に
庭のバラを剪定した

咲き遅れた蕾の枝を
花瓶に挿しておいた
膨らみかけていた他の蕾は
次々に開くのに
その白薔薇の蕾は
しばらくはじっと蒼いまま

ある時
限界を ....
膝下五センチのスカート丈
三つ折りの白い靴下
おかっぱに切りそろえた髪
私は校則通りの平凡な中学生

ふくらはぎ下までのスカート丈
伸ばしたままの靴下
パーマがかかった茶髪
そう、あな ....
化粧を落としても
わたしは見えない
そこには
皺と染みの増えた顔があるだけ

わたしはまだ
様々なことに怯え
かたかたと震える
小さな小さな
わたしだというのに

化粧を落として ....
まぁそんな顔するなって
行くなら行けよ、俺はここで待ってるから
まぁあれだ土産もって
帰って来いよ、俺はここで待ってるから

目を覚ましても
夢すら見られなかった別の人生が通り過ぎて行く
 ....
叔母さんが亡くなった
いとこが
「顔も見てやって」と
お棺のふたを開けてくれる
御顔を覗くと
少しも苦しそうでないので
ホッとして
「おばさん」て小さい声で言って

お葬式には少し慣 ....
「今」という車窓から 地球を覗き込むと、中心は相変わらず たぎっている
「まいど」という だれかの声は きっと 
腕時計型端末を耳に当てて 
 最新の黄昏方をしている 


黄砂も ....
私は人魚になりたかった
折り紙で作った貝のブラジャー
母の真珠のネックレス
油性ペンで足に描いたウロコ
市民プールではドルフィンキックばかり鍛えた
私は海に帰りたい

ひしめきあう社会の ....
諦めなければ
叶わぬ夢は無いと
人の幸せばかりを
追い願い続けた君は

自然分娩で
助産婦の手を借り
自宅出産で
十才の女の子を頭に
五人の子供をもうけた

つい先だって
今年 ....
表情の少ない
甥と姪が泣いている
眼を腫らしてはにかんでいる

泣くことなど想像もつかなかった
山男の義兄が
もう少し生きて欲しかったと泣いている

葬儀の場は
涙の大きなプールで
 ....
グワシにもI LOVE YOUにも見える手話
平瀬たかのりさんのおすすめリスト(872)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
舟の儀式- umineko自由詩21*14-2-24
勧善懲悪- Lucy自由詩13*14-2-22
いつもの車両に- イナエ自由詩12*14-2-22
ただそれだけのこと- そらの珊 ...自由詩20*14-2-22
【_私の履歴書_】- 泡沫恋歌自由詩36*14-2-21
矯正- 夏美かを ...自由詩30*14-2-21
そこぢから- そらの珊 ...自由詩11*14-2-21
ししゃも- 服部 剛自由詩21*14-2-20
泳げない魚- 朧月自由詩714-2-20
小さな村のお話- そらの珊 ...自由詩12*14-2-20
【紫】ほかならぬむらさき_オムニバス三編- るるりら自由詩23*14-2-20
ちきゅうの内臓- 朧月自由詩1014-2-19
文字風呂- 朧月自由詩514-2-4
キツネうどん- 生田 稔自由詩714-2-4
コリン星なかったことにしませんよ- 北大路京 ...川柳614-2-2
スノーマンと雪だるま- 夏美かを ...自由詩33*14-1-12
黒ネコのタンゴ- Lucy自由詩15*14-1-6
キウイフルーツ哀歌- イナエ自由詩13*13-12-24
サイバー・ラフォーレ【電脳の森】- 夏美かを ...自由詩25*13-12-19
さよならの刻- salco自由詩1213-12-13
白い蕾- Lucy自由詩18*13-12-9
さくら色の息吹- 夏美かを ...自由詩32*13-11-27
仮面- 小原あき自由詩9*13-11-22
君のいんもう- 虹村 凌自由詩213-11-22
お葬式- Lucy自由詩16*13-11-20
世界の半分に捧げる歌- るるりら自由詩19*13-11-20
さようなら、人魚姫- ハーブ園自由詩613-11-20
私信_一足先のけこちゃんへ- 板谷みき ...自由詩6*13-11-19
葬式- ……とあ ...自由詩22*13-11-19
グワシにもI_LOVE_YOUにも見える手話- 北大路京 ...川柳1313-11-17

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30