夏休み
街から人はいなくなった
窓という窓
木陰という木陰
ベンチというベンチ
そのいたるところから
少しの匂いと
体温を残して
静寂、というには
まだわずかばかりの音 ....
風も木も滅びゆくときわれもまた等しく愛に抱かれて過ぎよ
降りしきる雨でおまえの声は途切 れ遠い異国である公衆電話
たった今、落ちた花びらだけ見えたった今見えなくなったただ風 ....
どうしようもないくらいの
空の返還が
わたしに帰ってきた
わたしの唇は青いことでいっぱいになる
空に着歴がある
それは長い長い数列
雲は遠くの蒸気と会話したりするけど
やがて話が尽き ....
亡霊ときみの名付けし少年の漕ぎしブランコ揺れている初夏
遠ざかる白い小舟の行く先を流れる水や風に聞く午後
紫陽花を抱きしめているパレットにきみの瞳の色を混ぜつつ
防波堤越 ....
君の歌が聴こえる朝には
泣きたくなってしまうんだ
少しだけ風の冷たい、
土曜日の始まり
齧りかけのトーストと
マーマレードのかすかな苦味
それから君がア ....
濁った瞳孔の中で赤い金魚を飼っていた君
祭りの時出店の親爺に貰ったらしい
餌の代わりに角膜を貪る赤い金魚
くすぐったいと君が笑った
夜を飛ぶサーチライトをUFOと信じる子には光るシールを
映写機に撃ち落とされた銀幕の穴の向こうの月が綺麗だ
始発にて人気女優のクローンのような女と飛行場まで
新品のアメリカ製のス ....
青き百合を水に葬る手のひらのかたちのように流れゆく指
横隔膜の失いたる平衡感覚で剣のうへももはや荒野
牛乳を一気飲みする冷たさにすべての蝶の真白く映えり
目を閉じて遠き木 ....
風船がしぼんでゆくのは見たくないだから今すぐ針を刺してよ
箱ならば開けてしまうよ血管を通うわたしのパンドラの血
飢えている仔猫にミルクあげるとき黒い何かの目覚めに気付く
....
ガランとした病院はすきだが
それに甘んじて
おしゃべりに花を咲かせている
若い受付さんは
いまどきのヘアメイクだから
すきじゃない
お医者さん
私はいま
....
深呼吸の意味を教えて下さい
と、遥か空に問うのです。
朝鳥が木々を揺らして
飛び立つ足元から 追いかけてくる
化学物質を溶かし空 空間を
切り裂き 切り裂き飛んで行く
....
{引用=
若さと馬鹿さが
衝突し
行き場のない
痛みだけが
残った
燃え尽きることは
できず
すべてを終わらせる
ことも許されず
アスファルトに
散乱した ....
六月の
曖昧な空の下
白くたたずむ部屋
横たわる私の身体から
刻一刻と
鼓動がこぼれ落ちる
けだるい指で
クロニクルのページを繰る
季節は私には
いつも晩くやってくる
忘却 ....
僕はきっと 大嫌い 等あなたには直接言わない
あなたが僕に「死んでしまえ」と言うが
僕はあなたにそんな事は 言ったりしない
どんなにあなたを憎んでても
あなたは僕に理由を訊 ....
頭上一面に広がる
果てのない青空
雲も 霞も 霧もなく
手を伸ばしても届かない
高みに
もっと高みに
果てのない青空
抱えきれないほどの
太陽光の乱反射
中空に浮かぶのは
ピン ....
薄らと厚味の増してきた肩口に雨の気配が纏わる
夜半
電車は疾うににとまっているのだろう
線路すら見えない窓に不可視の圧力などかかりはしないけれど
朝に見る抜け殻になった電車たちの舎を思う
今 ....
Where do we go from here?
把みきれない現実に
心が過剰で収拾がつけられない
はみ出してゆく言葉たちが
僕を取り囲む時空に傷をつけてゆく
瞳はいつも怯えたように見開かれてしまう
何故対峙してしまうのだろう
何故融合で ....
オーバータイム
オーバーキル
オーバーヒート
オーバーフロー
オーバーラン
オーバーロード
何もかもが過剰だ
ワーカホリック
アルコホリック
過剰は中毒だ
中毒は美徳だ
もっとも ....
狂ったように生きる
無理なく笑って困ったように反らして目伏せて
気づいてるって気づいてたい
君より先に生きてるって信じてたい
この心は右手よりも大きくなってしまった
左手よりも先に大きく ....
生きている
訳でもなく
死んでいる
訳でもない
一日の2/3は、
そんな状態
そういえば
今日の空は何色だった?
昼過ぎに
初めて外へ出た
憂鬱 ....
{引用=
人知れず咲く
水中花に
寄り添う
田螺の仮眠
せせらぎの
子守唄
寝息は
小さな泡となり
花弁を
くすぐった
ボクのこと
気づかないふりを ....
水たまり広がる波紋に耳すましきみのリズムでやってくる夏
砂浜に置いてきたもの捨てたものロケット花火と添い寝する夜
8月のリップカールのてっぺんで届きますよにぼくのメロ ....
ニット帽深くかぶる女の子が好き
何も見たくないと両方の眉にかぶせて
黒縁眼鏡の似合う女の子が好き
レンズのむこうから青空を見上げてる
気にしない本当は
気にしてないことばかりの
....
{引用=
2階からボクが覗いている
こちらを見ている
あれは
確かにボクだ
ボクは思っているに
違いない
君は異常だ
平然と嘘を重ねている
平静を装っている
....
んーと、んーと、
……ママ、いるかな?
ヘヘッ(^_^;)
そのはじまりからすでに
鋭く亡びに縁取られているのが夏で
青空と陽射しがどれほどあかるくても
そのあかるささえ不穏なのが夏で
蝉が鳴き騒いでも
祭の喧噪が渦巻いても
濃密な静寂が深々と ....
そこいら中に溢れる言葉が
私の角を削り取っていくよ
奔流に晒された丸い石ころ
転がる石はロックじゃない
貴方に言いたかったことは
いつだってのどの奥に蟠る
何時から貴方と私の距離は
....
scene.1
満月の夜はおかしくなってしまうんだと君が云う
そんな貴方に本当はおかしくなってしまいそうなのだけれど
凡庸さに耐えられないから雲を呼んでみる
小さく口笛を吹いて ....
貴方が描いた旧いをんなの画を
殺すように爪でなぞる
どうぞそのまま
浮かび上がってきたりしません様に
貴方の無念等識ったことではないの
貴方の語る美しい女の姿も
どす黒く塗り潰す
単 ....
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