唐突のようではあるが私の中に歴然としてある、死体観及び廃墟観について述べたいと思う。死体観などと云う言葉はないけれど、詰まり「私にとって死体とは何か」を今ここに記したいのである。
死体は、死んで ....
コンクリートの森で
遊ぶ子供は
四角い空をみて育つ
贅沢な大人は
退屈をお金で買って
美しい水を飲んで暮らす
ジャンクの少女が
生活から切り取った
光を集めて巣を作る
風が凪 ....
とうきょうの ひとすみでまつ アラビアの
まほうみたいな あなたのことを
溺れるブルー
ムーンブルー
波間に歌うイルカは液体になり
わーぷして あいにきたんだ し くるしい
....
もう誰も修復できぬ美しい傷痕だけが星空のごと
カラフルな性の模様にいろどられ少年少女の白は泡立つ
いつまでも高原鉄道錆び付いたままの列車を包む真緑
沢 ....
そら
そう
ほら
みて
ここ
そこ
むこう
ぜんぶ
ぼくに
とって
ふかく
やさ ....
梅雨は、いつの間にか居なくなってた。
晴れた午後、自転車をこいでた。
天気雨が過ぎ去って。
夏が来てた。
水深5キロメートルの恋に落ち プールサイドで墜落する午後
砂浜の午睡からうつら目を覚まし すいかの縞の波に溺れる
ピーラーで削がれ半裸になりしきみ 水にさらせば ....
は、真空の一点で凝縮し続ける無言する{ルビ性=さが}である。
仄暗い
道を歩いていると
星雲を繁茂する
一角で
ぽっかりとあいた
湿っている暗闇が
{ルビ濃紫=こむらさき} ....
夜明けの窓は孔雀色
今年もまたうたうように
アガパンサスが咲いている
七月はわたしの中で
いちばん甘く実る果実
君はいつかそれを 別の名前で
呼んだかもしれない
少しずつ風がうご ....
夏は容易く永遠を擬態するので
僕らの意識の最も敏感な部位は
いつでも眩暈に侵されたままだ
彼方からの気流にのって 届いたそれを
あのひとは
夏だと言った
わたしにとって
わたしの知らない、どこか
遠い場所で あのひとが
笑ったり、泣いたり、しているということは
あ ....
かつていた冷凍都市を思い出すような小説書いている初夏
再放送されてる温泉番組を観ているぼくを見ているかか氏
転校生だったあの子は元気かなどおんどおんと胸打つ花火
....
水槽の
底でひかっている石を
無断で拾いあげてみる
だれか、子どもの
たからものみたいなひかりかた
今朝見た
ふたつの夢の話をする
いつまでたっても終わらない
ゆるいカーブを描く用 ....
冷凍室に閉じ込めて
そっと 耳を寄せたりはしない
腹を裂き眼球を抉り
死なない形を創り上げて
寂しさを 裏側に貼り付ける
夜中の静けさが
硝子玉した眼に暗い光を燈すと
怯えた幼児 ....
雨が止みはじめた頃に、
傘を差しはじめてみた。
びしょ濡れになって傘の下、
僕は何かに守られていると強く感じる。
道の向こう側から、
少年が歩いてくる。
あの懐かしい長靴の黄色が、
僕の ....
吼えたくなるような夜
神経がギラギラ研ぎ澄まされて
目が光る
癒しの静かな夜
絆は曖昧で
不確かな明日に怯える
弱肉強食の人生の迷い道
時折訪れる温度の下がる
....
実際に星がまたたいていたのなんか
いつのことなんだかと
君がかたむけるアップルジュース
滴ってくのっぱらに
溶けていくスカート、水色
ライト、オールライト
そう ....
真夜中には出掛けましょう
「抜け出す」後ろめたさはありません
それを叱る人もいません
昼間グランドを駆け回っていた
少年少女は今頃健全な夢の中
グランドが闇に染まったら入 ....
空は虹色に溶け
得体の知れない甘さが
いちめんに薫り立つ夏のゆうぐれだ
長い夏のゆうぐれだ
君の記憶が
水のように透明に
けれど水よりも濃い密度で滴ってきて
それは容易く
私の現在を侵 ....
水彩の絵の具ま白き画用紙にぜんぶぶちまけようよ六月
自転車の後ろで団扇を仰ぐきみ見ていた海に落っこちるまで
ゆかた着てきみが来るからあの駅を思い出すたび朝顔が咲く
い ....
表情の中を魚が泳ぎ
わたしたちは
知らない名前まで
食べなければならなかった
表情の人は会釈をすると
良い色のうちわをくれた
その夏は
たくさん扇いだ
(2006.6.9)
夜
一羽の鳥が生れる
絶え絶え灯つてゐた
電球の切れた 丁度その辺りに
これからは おまへにだけ見える
明りを頼りに
羽ばたいていくだらう
....
{引用=夜を裂く青星の爪 雄たけび上げ
駆け下りて来い わたしのなかへ}
夜の天蓋に{ルビ静寂=しじま}はこぼれ
瞬くのは
ただ蒼い隻眼
その牙は光り その爪は光り
そのたてがみは光り ....
五月の彙報
月光のはしゃぐ五月の階段の途中できみとすれ違うだけ
降り注ぐ色とりどりの花々がきみを優しく包み込む通夜
未熟だと知ればけもののねむりから飛び立つひ ....
あなたはいつも少しかなしい
春の肌の女の子 薄桃色の乳首のように
きれい
「あなたはいつも少しかなしい」
ハッカのにおい
耳たぶをふるわせた「かなしい」を思い出して
まるくなる
私は ....
なにが響いたか
きっと飛べる ここから
電柱をみている
ジュ・リューウェ・の空
愛があっても
神様がいないから
精一杯の光で
なにを見ている
飛べる きっとここから
神様 ....
必死に壊れつづけている
飛び散る銀色のビス
耳には音楽のようにつづく歯車の諧音
プリミティヴな装置に
青い微笑み
必死に壊れつづけている
遠くから重く暗い地響きのようなうなり
は ....
一.
春待ちゆびが
くちびるにふれて
かた
むね
こし
と
跳ねていく
抱きぐせがつくからだめよ
二.
ぱた ぱた
と舞う洗濯物を
清潔とす ....
いつまでも鳴らないチャイムがあるとして今ぼくたちがいる長い放課後
約束を守れば破ることができないのバイバイ昨日のぼくら
ばらまいたマイナス+ ....
テトラポットは
青年を待っている
彼の落とす
欠伸を拾う青
手打ち網が
魚の背鰭を流れる
汽水湖の空
腰を覆う
水の束
地平線の呼吸
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