帰ってくるよ
夏が帰ってくるよ
この火で埋められた季節に
死者たちが帰ってくるよ
*
ただ白いだけの変な鳥がいます。暑い夏の日差しを受けて、きらきらとその翼が輝いています。飛んでいる ....
夏雲がゆっくりと渡ってゆきます
手をかざしても よくは見えないけれど
僕らの記憶は 眩いあのあたりで
いまも青空にまみれて 遊んでいるんです
水色をまとい眺める水平線南の国は晴れだよ兄さん
マスカラの黒に瞳が見え隠れそんなふうに怒るな妹
空き瓶をカチリといわせ運んだね僕にとっての紅姉さん
紫の水晶送 ....
言葉の裏と表を引っぺがしてそれぞれを感情と混ぜてミキサーにかける
出来上がったものを呑み込んでしまったところで、
言葉の裏から出来上がったもの
表から出来上がったもの
それぞれに裏も表もあって ....
あたりじゅうすべてが蜃気楼と化してしまいそうな
夏の午後
裾の長い木綿の部屋着に包まれ
籐の長椅子で微睡む一個の
流線型の生命体
窓からのゆるい風が
肌にときおり触れて過ぎる
ほの甘くあ ....
ティーンエイジャーの国境線越えたら
とびはねた言葉が口から出なくなっちゃった
もっとね
頭おかしい子でいたかった
授業ではきちんと正しいことを教えてくれて
それはそれとして頭おかしい子でいら ....
帰り道に迷うのは
せめて僕のほうだったらいい
通りすがりで、そっと交わす言葉からは
いつだって真ん中のところが零れ落ちていく
駅の階段を
夏に降りていく
君は一つの呼吸で
手を振 ....
つながっている
その声に
心がうつって
つながっている
指を絡めるように
ひとつのことばと
その隙間に
つながっている
瞳を
間近で見ている
ように
....
容赦ない夏の
どこかの軒下で
わずかな風を拾い集め
リンと鳴ったところで
気休めなのだろうけれど
気休めに救われる
瞬間もある
声にならない声が
遠くから鳴り ....
かなしい夏 ?
夏の首すじが
眩しい
何もすることのない午後
空気さえ発光している
しなやかな夏のゆびさきが
飽きもせずあやとりしてる
夏はあの木立のてっぺんあた ....
昔キミは
虹の向こうに行けば
死んだ人に逢えると
幼い私に教えてくれた
ねぇ この虹の向こ ....
窓の外側に
内側から腕をさしだす
こうも空気に差がないと
飛び落ちても気付かないかもしれない
ぼんやりにゆっくりと浸食されて
ぼくは
蝉の声を、聴いている
....
もういやや。
もういやや。
もういやや。
もう・・・ 。
(ここで突然、私が
英語を喋り出したら面白いのにな。
何かに取り憑かれたみたいに
知るはずもな ....
夏だ
充分に言葉を選べ
テストでは「モラトリアム」と判定されても
その紛れもない中途半端さこそが
僕 なのだ
全き陽光からも水からも逃れて
冷房の効いた古臭い喫茶店を
渡り歩こう
....
どこまでも青い空を
久しぶり見た
アスファルト
国道のずっとずっと先の
向こう
遠いむかしの空が現れる
プールで
肌を焼くのが夏休みだった
甲羅干し
白い肌で黒髪のお姉さんは
....
深くまでつづいている
いつか見失った道の先にある、森で
夏の日
ぼくたちは、生まれた
頭上には空があった
ぼくたちと空の間を通り過ぎてく風があった
ふりそそぐものは、光
光とも見 ....
悔し紛れの薄闇は
投げつけた卵の黄身のなかにかくれた
まだ夜は知らない
夕焼けばかり見ている
今日はもう帰らない
ビビッドは細胞を壊すの
今日はもう帰らない
太陽 ....
悪い子にはなれなかった
投げやりにほどいた長い髪を風になびかせ
夏雲が縺れあう丘の空の下
夢を{ルビ歪=ひず}ませて
立ち尽くしていただけ
「君」がきっと街からここまでさがしに来てくれる ....
「行き先」
僕の
進むべき道
行くべき場所
居るべき場所
愛すべき場所
慈しむべき場所
哀しむべき場所
求めるべき場所
戻るべき場所
帰るべき場所
在るべき場所
また
生きるべ ....
たおれるって
あきらめることでは なくて
おきあがれない こと
かよわなくなった こころ
暗く 憎しみばかりつのる時
灯は しずかに 病みを照らして
今は 夜
ただ ....
ここにあるものを
遠いことのように
海辺にはひとりで
いつも見る夢に
ひれ伏すようにして
倒れる
砂の積もっていく音
どこかから落とされる音
仰向けに空
口を開ければ世界が
飛 ....
大阪の下町。
見るからにヤクザといった風体の男二人が、道端をゆっくりとふらふら歩いております。
「兄貴・・・・。兄貴。」
「・・・・なんや、マサ。」
「・・・・・・・・・・兄貴。」 ....
水無月の海にあじさい色の傘の花
哀しみの膜に包まれていく予感
この哀しみの粒も海に飲み干され
輪廻する永遠の中に浮遊するようで
ゆ
ら
ゆ
ら
ゆ
....
交差する車両たちに囲まれて
立ち尽くす
PM7:00
正しい世界が見えるような
そんな気がして
見上げた
低い天井
あの日あこがれた草舟は
ゆっくりゆっくり 沈んで ....
かけおりた坂道のおわりには
ボーダー柄の、夏が
波のような顔をして
手をふっていた
それから、 と言ったあとの
あのひとの声が
ノイズにのまれて、ちらちらと
散ってしまったので
....
定型に望みを賭ける
形なきものにかたちを与えるように
カメラ無し三脚立てて五歩下がり
瞼が切り取る秋の夕暮れ
君のこと好きで好きで気が狂いそう
君の字に宿る君の ....
みんな投げやりだってこと
私たちは
体感したいのだ
本能には抗えないってこと
おなじ
罪人になりたいんだ
しかたないよねって
あなたの言うままに
ハンドルを切る
国道は
....
エジプトに眠る少年少女らの夢であるかもこの世のすべて
着物から覗くあなたの白い脚 幽体離脱の感覚を知る
水色の街へと渡る鉄橋の錆びた思い出ながれゆく河
....
なーんも、やる気せんわー。
俺もー。
俺もー。
俺もー。
俺もー。
夏を告げる鐘が鳴ると
少年たちの中で 天国が走り出す
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