窓の外の風景には
たった一つ不満がある
それが
微妙に精神に作用していることを
気づかないふりしている
瓶入りの蜂蜜は
少し濁り始めていた
匙を入れて掬い出すと
想像以上に金よりも ....
そして穏やかに日は暮れる
夕方の公園には
足跡だけが残されている
子供たちや
その親の
杖をついた跡もあるから
お年寄りもいたのだろう
桜の枝が手をのばすベンチの下で
そん ....
コンクリートの塊を
墓石代わりに頭に載せて
誰が強いか
潔いか
魂較べする
普通選挙が施行されたときは
嬉しかった
そんなことを言う人は
居なくなった
歳月は人を殺す
....
いつからか
いつだって
夕暮れにはどうしたって寒さを感じてしまうので
羽織るものを探して
溶けるようにして逃げ込む家並み
指先の冷たさで、触れると
いつだって君は飛び上がって
降りて ....
緑の並木道
とおり過ぎてゆく人たちと日々たち
僕は空中歩行
さりげなく浮かぶ雲
消えては生まれてゆく
自由みたいに
風の声に沿って歩いてゆくと
いつかまたあの丘へ
そして遠くか ....
ぼくたちを結ぶ機会を握ってる獣は未だ箱舟の中
辿り着く場所はどこだかわからないゴタゴタしてる神様の庭
迷い込む羊の群れのただなかできみとよく似たガラスを探す
抱きしめるガ ....
バスルームで遂げた自殺の
記憶が
洗面所の流しっぱなしの 水道から
流れてくる
畳まれた膝の空気
見つめるガスコンロの炎と炎の間に
両眼を投げ入れ ....
あのひとが好きで
好きで
もう死んでしまいたい
こんな感情は
刹那的で
明日の朝、目が覚めたらきっと
忘れている
桜に似ている
降る花びらの中を今日、歩いた
小さく舞う白 ....
1.
かみさまは、どこですか。
2.
かみさまは、どこですか。
道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩 ....
散歩する
ひとりで
世界に抗うための 肝試し
夜の墓地
君の他には誰もいない場所
君は闇の静かな渓流の中に
ひとつの影を見る
誰もいないはずなのに
墓地をうろつく黒い影
君は見る
....
何も無いこの毎日に
今もときどきランドルのことを
思い出す。
ランドルの描いた
あの冷たい森のことを。
堅固すぎるビルとビルの間で
わたし、記号に埋もれて
貴方を待っていた。
....
君と手をつないで見てる赤い空 春の毒皿どこまで喰らおか
満ちてゆく月を恨みつその日まで素知らぬふりで花摘む逢瀬
かの人を心で百度斬ったとて力なき手は髪を梳くだけ
つい ....
木々
いくつもの いくつもの
あかるさと
ささやきに満ちて
水 と
雲
眠り
よりそう風
はな と
こぼれ
触れる
空に
消える 影 ....
きみがまだ少女の頃はぼくもまた少年だった すれ違う駅
きみと向かいあって話した教室が世界のすべてであったあの夏
きみの吸ってたマルボロライトを吸ってみる吐き出す煙が重い七月
....
自分ではない誰かに上げられた狼煙が
僕に対して上げられた合図だと
勘違いしてしまう
春
生きている不思議な夢を君は見た?そろそろ君は目覚めるかもね
野山駆け野山駆けられ僕たちは遂に野山に野山られてる
回転扉を閉めれば良いのですあからさまな反射など屈折してしまう
....
探しものはあっちみたいだ
ゆっくりと
確実に
足取りは早くなる
あおそらの下
知らない内に僕は笑って
いつまでも辿り着けないきみがいる村の名前も思い出せずに
寒村に降りだす雪の音階で深いねむりに落ちる 失恋
村々が燃えてゆきます雪の夜ひとつの火の粉とゆう名のあなた
赤い傘 ....
喜びも、優しさも、喪失も悲しみも、
言葉によって届けられた
わたしは面影を探して立ち止まり、
時に夢を見たような気がする
言葉しかない世界で、
紙 ....
黒い夕暮れ
かたちのない傷から
夢のように沁みてくるものがあり
壊れがちな覚醒
鋭角的な儀式の
あるいは 金属的なサーカスのさなかに
暗く降ってくるのは
誰の声なのか
蜥蜴の閃 ....
幸福を抱きとめて静止するあなたは、蕾のすがた
胸に手をあててわずかにうつむくその、
長い祈りにも似た、沈黙
春を知る朝の、淡い喜び
風が冷たくても、
....
夕闇に
かみひこうき
投げて
どこまで
飛んでいって
くれるのか
と
思い
を
馳せる
季節は春めいても
頬を撫でる風は
まだ
冷たい
ふと
隣に居な ....
僕の心配は
むしろその力強い握手
何を込めて
支えるつもりがバカを繰り返す
遺伝子プール揺蕩う
オリジナルじゃない僕ら
サブリミナルなジャマイカンで
これじゃイカンと空元気
....
こんなにも
ひろびろと
あおいかぜのなかで
ぼくらは
とりになれない
だから
くもよ
ぼくらは
こうしてねころんで
かぜをつるのだ
そらのしずくが
ふたつ
いただきにさ ....
戒厳令の布かれた残暑
透きとおっていく言葉の
飛沫のように
あなたは白く皮膚の薄い手で
一すじの光を木箱に閉じ込めた
二人の椅子に
二人の卓上に
二人のナイフに
あ ....
いつくしみ、それから。
海辺に立って眺めると、世のなかのへりが見える。すべてひとはそこから滑り落ちていく。花や木や鳥や雲、それからコカ・コーラやマルボロは落ちていかない。滑り込むのは、僕らの時間ばか ....
病んだ春がせまい庭の片隅で
青ざめて弱々しい翅ばたきの音をさせている
だから
溜息しか出ては来ない
通りの向こうの古びた窓には
どこか見憶えのある白い顔
うすら笑っているような
うす ....
さわれそうなほどの青、空
心音の近くで
水の流れる音がしている
少し、痛い
大気圏の底辺で沸騰している僕ら
水を注いでみると、遮断機が下りて
通過していく何かがある
夕暮れに ....
この白さが
僕には真っ黒にしか見えなかった
すべてを残し
消え去るのだろう
あなたは今まで
何やってたんだ
死ぬきでやれよ
血ヘド吐くまでやってみろよ
僕は真っ赤な真っ赤な
血を
....
ビ ー 玉 や 転 が り ま わ る 春 の 山
舌 つ づ み 打 つ 手 の ひ ら の し じ み か な
鞦 韆 の 上 に 忘 れ た 漢 字 帳
脱 ....
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