どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 .... 朝起きたら
田中だった

田中くんおはよう
よう田中
あ 田中君だ
田中の言うことなら間違いない

田中さんこれ受け取ってください
下駄箱で告白までされる

本当の事を云 ....
泡立たず
飛散した
夏の光の下
沸騰前のアスファルト
その沈黙、の蒸れ上がり
その、陽炎


提げた虫籠の中
音から立つ
蝉の
匂い
それを
汗を分泌して拒み ....
吉岡君
電車の中で思わず声をかけそうになった

よく考えてみれば
こんな時間、こんな場所に
吉岡君がいるはずもないというのに
あの日と同じ顔
学生服のままで

そんな僕はまだ
 ....
あおいみどりのなかに
まわる
スプリンクラー
目で見る
満ちゆく初夏のとき


日々は
やわらかに途切れていく
うたうように
そうして また
繋がるために

むすうのひまつが ....
  けだもの


かぜ 

そよいで
いる


だもの
悪いことを平気で出来るようになって
いつもどこかで誰かを傷つけて
そんなこと望んではいないのに
そんなことがあっても何もなかったように笑うことができる
人をいっぱい嫌いになって自分もきっと ....
困ったな
すごく困った
気持ちいいところ
ずっと押されてるみたい
ビリビリビリビリ
警報が鳴ってる
ドーパミン大放出
わたしもあなたも
快楽に弱いのは一緒
すごい
気が合うね

 ....
朝、とても慌てていて
とにかく、慌てていて
うっかり捨てそびれていた
穴のあいたパンツをはいてきてしまった。

気がついた時には
私の体は宙に舞っていて
遠くで
誰かの叫ぶ声がして ....
すっかり草に覆われた
ぼくらが秘密基地と呼んでいたここに
今年もまた暑い季節がきました
打ち捨てられた自転車が
見捨てられたこの場所に
あの頃のまま忘れられて

なにが秘密だったんだろう ....
廃校の壊れた椅子に腰かけてひとり君待つ四学期かな


朝礼で神を失う君を見てはるか昔のあの地を思う


漆黒の絶縁テープ巻きつけてアルバム燃やす十月の夜


体育館裏の壁際いつまでも ....
ゆふぐれに君とふたりで春の墓地ここでひととき幽霊しようか


「五千年前の約束忘れたの?」花火しながら妹が問ふ


昆虫がふたりの為の出会いなど知らづに運ぶ花粉かな


警報機こわし ....
誰かが扉を開け去っていった
レモンが置いてある部屋に
出し抜けに押し寄せる大量の泥
僕だけが
部屋にいないので
どうすることもできない
にゃんでか知らにゃいけど
「にゃににゅにぇにょ」
が言えにゃくて、全部
「にゃににゅにぇにょ」
ににゃる
日常生活に支障はにゃいもにょにょ
こにょままでは
僕が僕でなくなってしまう
 ....
濃度を増した緑 の根元
アスファルトには 日陰がある
かつて人だった空間には
かつて花束だったものが 積もっている


湿度に黒ずんだ日陰 の隣
アスファルトには 日向がある ....
彼女と喧嘩して
いい加減にしろ
と怒鳴るつもりが

いい加減にすれ
と言ってしまった

こらえたがやっぱだめで
吹き出してしまった僕の
少し後に吹き出した君

ふたりで涙を流して ....
一日を過ごすたびに
何かを覚える事を期待されているけれど
僕はそんなに沢山の事を覚える気はないし
たぶん覚えることはできない

おぼえられることは
好きなことだけ
例えばあなたの好きなタ ....
居るような君の気配を探している沈まない陽の五月の駅で

不意に出るひとつ外れたアクセント「そやね」と夏がちかづいている

このまちが逆さにうつる残り水その向こう側に居るはずなのに

あ ....
ぼくの恋人はスベスベマンジュウガニだ
すべすべした感触にぞっこんさ

だがぼくには妻もいるし
彼女に会うためにそうちょくちょく海に通うわけにもいかない

シャツの裾をつまむハサミを振り ....
いま、右手首がひじょーに痛い。うちの飼い猫の血膿をふきとろうとしたら、ズタズタに深くひっかかれた。場所が場所だし、猫の爪は鋭くてカミソリみたいなものだから、自分で見てもリスカの傷に見える。おもしろがっ .... ひらひらと
白い羽根が飛んでいた
どこから放れて
どこへ行くんだろう

緑一面の麦畑と
鉄塔に挟まれた空を
ゆれてゆれて飛んでいく
蝶々なのかもしれない

遠く遠く遠く
離れてい ....
底面の アスファルトまでも
濡らす五月の緑を
どれほど丁寧に踏みしめても
足音は奇妙に乾くのでした


その足音に含まれた 一連の私は
ぱらぱら 小さくほどけ散るところで ....
影と
影が
重なり合うので
夜でなくても
うずくまりながら

なにかしらの気配が
ぐるぐると周回する
忘れられたまま
中心もないのに

ライカ
私の声が聞こえますか
 ....
寝坊した夏が廊下を歩いてく 桃のジュースの腹をかかえつ

空いろのシーラカンスがゲップをすればこの裏庭に風が吹くのだ

カオティック・コースターだよお立ち会い 飛び出す顔のお兄さんだよ

 ....
望遠鏡で
月を覗いたら

傷が付いていた


のは

望遠鏡の方で


月は今でも

美しく欠けていて
壱.
   アタシの眼に映るこの灰色の空は
   貴方には何色に見えているのでしょうか

弐.
   アタシの羽根がちぎれても 空がソコにあるのなら

参.
   君が 繋いでいた手を ....
世界の色に 少し気付けるようになった頃

夕立が止みはじめている
負けじと鳴いていた蝉時雨が 世界の全てだったとき

君は僕のバイトの帰りに合わせて 電話をしてきた

君は君に今日あった ....
とろとろと笑う
あなたの目のしたのしわ
みぎ と ひだり
違うようにおちている 目じり
かわいく


ひざの上からまだ
離れない
おもく あまい 温度
生きていること
わたしに教 ....
一本のラインが羊を造形する、その工程は普遍化の道程を離れ手工
業の未分化へと進んでいる。進むことは進歩ではない。進むことは
退化ではない。多様化と呼ばれる分岐信仰がラインを圧迫するポイ
ント ....
そらみみひめさま
センチメンタルなかんじ


わらうの つごうのいいことばかり云って
くつはぴかぴかの 
はしたないくらい
ほらほらほら、って はしっていっておっかけたくなる
ような  ....
有邑空玖さんのおすすめリスト(517)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
光、スロウ、アウェイ- nm6自由詩5204-6-10
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なつ・白夜- チアーヌ自由詩7*04-6-2
死ねない日。- 大西 チ ...自由詩13*04-5-31
夏の日- ワタナベ自由詩15*04-5-30
死期- 本木はじ ...短歌1304-5-28
廃失者- 本木はじ ...短歌2604-5-24
喪失- 本木はじ ...自由詩404-5-21
にゃ- たもつ自由詩3504-5-18
容器の中の夏- A道化自由詩1104-5-18
すれ- ミサイル ...自由詩61+04-5-18
少年- 小太郎自由詩504-5-17
君を探している- たにがわ ...短歌804-5-13
スベスベマンジュウガニ饅頭- RT自由詩5*04-5-12
外に出て行くためのリスカ- 佐々宝砂散文(批評 ...27*04-5-11
羽根- 霜天自由詩804-5-9
五月の枯渇音- A道化自由詩1004-5-3
ライカ- いとう未詩・独白11*04-4-28
人生の夏休み- 石原大介短歌6*04-4-18
月で満ちて- あとら自由詩1204-4-14
琥珀色の石- 黒蝶自由詩2*04-3-27
『僕は蝉時雨に幻聴を聴く。』- クローバ ...自由詩4*04-2-20
あまねく_そら- 自由詩304-1-24
羊/綿羊/工場とその周辺- いとう自由詩1003-10-15
そらみみひめさま- なを自由詩303-8-21

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