あのとき咲いていたのが清らかなみずいろの花だったら

あたしたちはそれぞれの家へちゃんと帰れたかもしれない
飴玉を噛み砕くように
その{ルビ皹=ひび}のはいりかたのように
割れてしまうのは
誰で
何故なの
五月だ
熱くも冷たくもない
こんなふうにあるだけの季節に
遠いからうつくしい
空はそ ....
取り違えられた

色の壁
名前を聞かれて
「青」
と答えてしまう

投げた
配水管の中に
あいまいな
猫が
右目がつぶれてしまって
横たわっている
弧を描いたらしい
血が ....
塔を隠した樹々たちがくりかえす
やわらかな墜落

螺鈿の微笑を浮かべる遊星たちが
結晶状に形成する空間に
浮かべられた白い柱廊に
並べられたフラスコ

時折それらのいくつかの中で
新 ....
擦り切れている背表紙を
後生大事に持ち歩く
付箋に躓くことを繰り返してしまった

左手には一束のシャレード
紐解いている間に
夏の森は
微笑や涙やトキメキを頬張って
色彩を奏ではじめて ....
円筒世界の歩幅を
定礎を割る両足を
暫定する夜の橋梁を
凍える秒針を
いつぞや清澄な呼び声に
言葉たちは微笑を得る
ただ暖かな電球の列を
内側の丘陵から灯して
傘だけが望ましい
針葉 ....
夜のアゲハ蝶の行き先は、決まって、
忘れられた夢のなかの王国の紫色の書架がもえている、
焼却炉のなかを通る。
くぐりぬけて、
グローバル・スタンダードのみずが曳航する午後、
雨の遊園地で、イ ....
雨上がりの世界
虹はもう、霞んで
短い終末を迎えた街に
新しい世界がやってくる
 
 
隅っこでうずくまったままの
黒く淀んだ
嫌われたものたちの声が
 
啜り泣いているのを
人 ....
泡になって消えても

犯されたいのはあなたにだけ

依存してゆく夜

痩せた胸に突き刺す残像

魅せられて


堕ちてゆく蒼い闇の底
世界の終わりを思わせるほど明るい日
地の果てのようながらんとした広野に
世を捨てたようにひとつ立つ古い塔のそばで
君は僕を待っていた

僕らは手をつないでだまって塔をのぼった
ひょっとして ....
花束を車内いっぱい敷き詰めて水没してゆく春の陽とひと



野の花や少年少女の髪揺れる風泥棒が口笛吹けば



集まればいつしかはなれてしまう春むかしどうきゅうせいと来た海
 ....
鈍く 深く
光り出す、碧に
そっと手を伸ばして
触れる

小鳥たちが歌う
「ねぇ、今日は」
もちろん
これは想像の範囲内
なのだけれど


まだ
あの白は

寝ぼけている ....
白くつめたい指が摘んだ菫の花束
破綻をつづけるイノセンス
誰にもわからない時を刻む時計
虹色に震えながら遊離してゆく旋律
救いの無いシナリオ
かすかに聴こえる古いオルゴール
のようなノスタ ....
{引用=始めませふ 安易な位置づけ
       
               椎名林檎『真夜中は純潔』}








{引用=デイストオシオン}


うねりゆく夕空 ....
今、踏んだ、枯れ枝
その中に眠っていた想い
遠ざかってゆく
永遠に

今、放った、貝殻
僕の手のひらの温度を引いて
遠ざかってゆく
永遠に

雲は遠くの水平線に砕け
 ....
君という雨に打たれて
私のあらゆる界面で
透明な細胞たちが
つぎつぎと覚醒してゆく

 夏の朝
 影に縁取られた街路
 やわらかな緑の丘
 乾いたプラットフォーム
 きらめきに溢れた ....
朝起きると武士だった
(拙者、もうしばらく眠るでござる
と、布団を被ったが
あっさり古女房に引き剥がされた
長葱を{ルビ購=あがな}ってこいという
女房殿はいつからあんなに強くなったのだろう ....
きっと、知らない町なんだと思う
不器用に建ち並ぶ、高層マンションに隠れている
ありふれた日常だとか、錆付いたマンホールの下から
伝わってくる、救いようのない虚しさだとか
見慣れた信号の色と形で ....
{引用=街}
街は
灰色にかじかんで
遠くを見る


{引用=鳥}
丹念に編み込まれた
木々のレエス
鳥が壊す


{引用=画廊}
画廊の扉は
今日も閉じられて
あの絵も ....
喜びのうたが
空から零れてくる

おはよう、おはよう、おはよう

躍動するエネルギー
まあるく紅く凝縮すると

ほら、朝が来る

大きな蒼い空に雲

浮かび、たゆたい、 ....
青くかわいた微笑が枯れている
丸められた角を
階段とする
素数が熱せられながら
現象をのぼっていく

さようならは一度きりであって
すがすがしい光ならば
いつであろうともやわらかく待っ ....
夜の雨の
斜線、斜線、斜線、





秋の真昼の真下
やわらかい一続きのわたしの輪郭は
ある一続きの輪郭の生きていることを
やわらかく深く知ってしまった、そして ....
?.


一日中ひどかった雨も小降りになって
窓から見る白樺の木は
ここ最近やっと葉を落とし始め
冬時間に変わって
六時にはもう日が暮れてしまうようになった
公園の明かりは ....
              ―刺青


そこには船があって
ずっとずっと遠くで
何かを引きずりながら
航海を 続けている

そこには涙があって
ずっとずっと近くで ....
このアパートに住み着いている猫の話では
世界はすでに終わってしまったらしい
猫は目を細めて悲しそうにしているが
世界がいつ始まったのかまでは教えてくれなかった

仕方がないさ、と猫は言う
 ....
あの階段を
登っていくと
そこには

あの階段は
すぐに消えて
その後は

あの階段で
すれ違った人に
再会できずに

あの階段が
君にも見えたなら
そのときは
ある日
夜、歩いていたら
街灯がやたらと
光って見えた。

何度目をこすっても
光って見えて
どうしても
吸いつけられてしまった。

だから、
もう
帰れないと思った。
 黒揚羽 日に咲く羽音 染めてありし世



         零の



( 、血のうずく
私を見つめる
その目は
黒く透けていて底もなく
ゆらぎもせず
胎内で夢を見ていた ....
温かな 身体溶けて
消えてなくなる この形
その奥の 白いもの
最後に残る 形そのもの

硬ささえ いつか無くして
さらさらな 粉になって
小さな壺に 納まって
時々誰かが 拝みに来る ....
僕に魔法をかけてほしいんだ。



そうして浄化して。

僕の中にある汚れたキヲク全てを。


















助けは来ないよ、永遠に ....
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